この日は大ピンチが二つもあったが奇跡的に何とかすり抜けた。
25.2.18(火)
ヴィニャ・デル・マルのホテルのテレビでは、英語のニュースを見られなかった。このためニュースを見聞きするのはネットのみ。もっとも、日本語のニュースはネットでしか見られないのだが。
この日の朝、スマホの電源を ONにしたところ、この日乗る予定のエア・カナダからメールを受信。The recent weather events in Ontario and Quebec and the incident at Toronto Pearson (YYZ) have caused significant air travel disruptions. ・・・・
recent weather events はともかく、incident at Toronto Pearson って何だろう? 気になって PCを立ち上げ、ニュースを見たら速報があった。カナダ・トロントの空港でデルタ航空機が着陸に失敗し、仰向けにひっくり返って滑走路を塞いでいる。
何てこったい。この日の夜にエアカナダでチリ・サンチャゴを発ち、翌朝トロントで羽田行きに乗り継ぐ予定だが、そんな事故があったとなっては、ちゃんと乗り継げるんだろうか。搭乗まであと半日ほど、乗り継ぎまで1日あまりだが、それまでにどうなってるかな。しかし、これは冒頭に書いた大ピンチではない。大ピンチはこのだいぶ後。
10時を過ぎ、近くの銀行へ行った。英語の通じる行員がいたので、クレジットカードで現金を引き出せるか聞いたら、1回の引出しで最大200ペソまでとのこと。200ペソ? 後で考えると、チリの人は 1000ペソを 1ミルとか言っていた気がするので、最大200,000ペソ(約3万2千円)という意味だったようだ。1回の引出しで最大200ペソ(約32円)なんて常識的にあり得ないよね。どうもこの時は頭が回っていなかったようだ。トロントの航空機事故が気になっていたせいかもしれない。
レンタカーには、日本のETCに相当する有料道路自動料金収受システム TAGが付いていたし、手持ちの現金が約3500ペソ(約500円)でも、空港に着くまで現金を使わず、クレカでしのげばいいさ。この甘い見通しが後でピンチを生んだ。
ヴァルパライソの少し南の海岸
11:00前、ホテルをチェックアウトし、レンタカーで出発。昨日行ったヴァルパライソより先の海岸沿いに行こうとしたが、スマホがモバイルデータ通信に繋がらない状態でのナビは、やはり当てにならなかった。それでも紙の地図を頼りに、途中のカサブランカ(Casablanca)という町からアルガロボ(Algarrobo)という町へ行く道、F-90に入った。
F-90をしばらく走ったら料金所があった。自動料金収受 TAGのレーンはどれだろう? 無かった。3日前にサンチャゴからヴィニャ・デル・マルまで走った高速68号の料金所では、すべて TAGのレーンがあったが、ここ F-90の料金所のレーンは、すべて MANUAL の表示。係員にクレカを見せたが、現金のみとのこと。料金 1850ペソを払って通ったが、残りの現金は約1500ペソ。これでは今通って来た道 F-90を引き返せない。並行する無料の道も見つけられないだろう。
さてどうしたものか。この先のアルガロボの町で銀行か ATMを見つけて何とか現金を入手するしかない。走って行ったら、アルガロボの町に入る手前あたりにショッピングセンタがあった。ここなら ATMがあるだろう。
駐車場に車を駐め、中に入ったら ATMがあり、傍にショッピングセンタの案内所のようなところがあった。案内所の係員に、前日ホテルで書いたメモ
CASH:DINERO
WITHDRAW:RETIRAR
WITHDRAWAL:RETIRO
DRAW OUT:SACAR
を見せたら、ATMを操作してくれた。これで何とかなるかな。
しかし結果はNG。英語で foreign card is not acceptable (だったかな?)とか表示されていた。海外のカードは利用できないようだ。別のカードを持って来る。と言って車に戻り、2枚目を試したが結果は同じ。現金は引き出せない。係員も席に戻ってしまった。
いったんトイレへ行き一呼吸。これはピンチ。こんなづぎは、などすたらよがべーが。ATMは2台あったので、さっきとは別の ATMで3枚目のクレカで試してみた。結果は OK。20000ペソ引き出せた。
やれやれ。何とかピンチを脱した。やはり最低限の現金は必要だな。クレカだけではこういうことがある。ショッピングセンタを後に、アルガロボの町の海岸沿いの道まで行ってみた後、引き返した。
先ほど焦った料金所を、今度は悠々と通ってカサブランカに戻り、3日前に通って来た高速68号に入った。ナビはなくても標識には空港への矢印が書かれているので何とかなる。
レンタカーは満タン返しの契約だったので、サンチャゴ空港周辺でガソリンスタンドを探したが、なかなか見つからなかった。10kmほど空港から離れたあたりでやっと探し当て、ガソリンを入れた。セルフではなく係員が入れる方式だった。ガソリンを入れてくれた係員に空港までの道を聞いたら、この道を行き左へ曲がれとのこと。
言われた方向に走って行ったら、ロータリー(ラウンドアバウト)があった。ここを左へ行くのかな。ロータリーから二車線道へ入って 200mほど進んで気がついた。その道にはロータリーから出る車線はなく、二車線ともロータリーに入るだけの一方通行だった。つまり、一方通行の追越車線を逆走し始めたことになる。
止まろうとしたが、止まる前に対向車がけっこうな速度で来た。正面衝突の危険。必死で右へよけたら音がした。右の壁に当たったほか、左を通り過ぎた対向車ともぶつかったと思ったが、対向車はそのまま走っていった。その後に続き、向かって走ってくるトラックにパッシングされた。トラックはスピードを落としたので、すぐにUターンして事なきを得た。
返却時のレンタカー
この直前、逆走であわや正面衝突の大ピンチ。
ぶつかったと思った左側面はこのとおり無傷。
空港のレンタカー事務所に着き、他の車とぶつかったと思った左側を見たが、何ともなかった。レンタカー会社の職員ももちろんチェックしたが、左側は何ともなく、右側にかすり傷があっただけだった。右の壁に当たった時の傷だろう。正面衝突の危険さえあったのだから、この程度で済んだのは不幸中の幸い。奇跡的に大ピンチをすり抜けられた。
レンタカー返却の書類にサインした後、空港の国際線ターミナルへ。
往路で荷物を預けた時、乗り継ぎ先チリでの受取りとなり、トロントで受け取る必要はないということだったが、実際にはトロントでいったん受け取るはめになった。復路の今回もチェックインカウンタで、東京羽田での受取りで、トロントで受け取る必要はない。と言われた。本と? 来る時こうだったよ。と説明したが、やはりトロントでの受け取りはないとのこと。荷物に関しては半信半疑。
ただそれより、トロントでのデルタ航空機の着陸失敗で、仰向けにひっくり返った機体が滑走路を塞いでいる。というニュースのほうが気になる。羽田行き乗り継ぎ便の搭乗券も受け取ったが、無事乗り継げるんだろか。
空港のバーでビールを飲み、一息入れた。ああ危なかった。もし正面衝突していたら、怪我をして帰国も延期だったろう。
定刻 20:50 のエア・カナダ AC093便トロント行きに搭乗。