地図アプリとの関わりを振り返って | M3Variant : 高齢者の仲間入りしました

M3Variant : 高齢者の仲間入りしました

APL(急性前骨髄球性白血病)再発後、造血幹細胞自家移植を受け、社会復帰しました。
APLのほとんどはM3型(多顆粒型)ですが、APL全体の2%ほどしかない M3Variant(M3V型:微小顆粒型)のため、この名にしてます。
主なテーマは、白血病,旅行,日々の出来事 の3つです。

旧街道歩きを始めてからこの方、地図をどう携行すればいいか、いろいろやってみた。意図的に推進した訳ではないが、結果として地図を扱うプラットフォーム、アプリを利用して、オリジナルの地図を作る今のやり方になった。
しかし、当初はこのようになるとは、予想もしていなかった。これまでいろんな経緯があったなあ。技術的な話も含めて振り返ってみた。

1984年11月
横須賀にあるNTTの通信研究所、通称:横須賀通研(現在の横須賀研究開発センタ)で、通信線路設備(電柱やケーブル、マンホールなど)の情報を管理するシステムの試作版を見学した。管理情報は多岐に亘るが、設備の種類と位置を地図上に表示する機能があり、道路や家屋の地図に、電柱やケーブルが表示されていた。

マッキントッシュがやっと発売された年で、ウィンドウズは未だ影も形もなく、コンピュータとはコマンドを叩いて使うもの。マウスを見かけることも稀で、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)という語など、聞いたこともない時代だった。
試作システムの動作は緩慢で重く、見ている間に何度かシステムダウンもしたが、コンピュータで画面に地図を表示して使う時代がやって来るのかな。と感じた。

 

今思うに、これがコンピュータで描画された地図を見た、初めての体験だったなあ。もう40年以上も昔になる。

見学の時、道路や家屋の地図データは、ゼンリンという会社から提供されていると聞いた。住宅地図のシェア日本一で、北九州市に本社があるとのこと。ゼンリンという社名を聞いたのも、その時が初めてだった。

2008年
8月末、旧東海道を歩き始めた。最初は旧東海道に関する文庫本サイズの本を持ち歩いた。
翌9月、勤務先の先輩が「プロアトラス」という地図ソフトを使ってるのを知り、私も使い始めた。緯度経度と名称を登録すると地図上に表示される機能があり、旧東海道の宿場等の情報を登録した。これを白黒印刷して、旧東海道歩きに持ち歩くことにした。日本全国の地図データをPCに置くので、インストールCDが20枚ほどもある代物だった。

今思うに、地図アプリを使うのは、これが初めてだったなあ。

2012年頃
地図に限らず、必要な情報やデータはネットから取得するという時代の流れには逆らえず、プロアトラスはサポート打ち切りとなった。打ち切り後、時間の経過とともに現地と地図が合わない場所も目立ち始めた。ウィンドウズのグレードアップ等で、いつかは使えなくなるだろう。

2016年7月
プロアトラス用に使っていたデータを、グーグルの地図アプリで表示できた。この時、日本測地系のデータを世界測地系のデータにエクセルで変換したが、伊能忠敬の時代は、これより更に面倒な計算をそろばんでやっていたに違いない。気の遠くなるような作業量だっただろう。その時の記事はこちら

ところが、グーグルの地図にはプリンタ印刷用に適した地図スタイルがない。カラフルでウェブ表示に適したものは何種類もあるのだが、紙に印刷すると不鮮明になってしまい、持ち歩きには使えそうがない。プロアトラスを使い続けることにした。

今思うと、この頃からテキストエディタのマクロをよく作るようになったなあ。また、HTML や JavaScript も初めてだった。もちろん見よう見まねである。

2017年4月
グーグルの次に、ヤフーJavaScriptマップを試した。これまた見よう見まね。「モノトーン」という地図スタイルがあり、これだと鮮明に白黒印刷できた。ウォーキングでの持ち歩き用にはぴったり。
ちなみに、ヤフーJavaScriptマップは最新版が V1 で、その前のバージョンが V2 だった。何で V2 の次が V1 なんだろ? その時の記事はこちら


プロアトラス用に作ったデータのうち、これ以降使う予定のものはヤフー用に移植。新規に作るオリジナル地図も、ヤフーJavaScriptマップ用に作ることにした。

2019年
ヤフーブログが年末でサービス終了と発表したため、ヤフブロから現在のアメブロに移住。ヤフブロでは地図データの貼りつけができなかったが、アメブロではできるとのこと。
持ち歩き用の地図に使ったデータを、グーグルマイマップ用に移植し、マーカや線の位置を簡単に移動できるので、実際に歩いたルートに修正したり、写真を貼り付けて記事と一緒にアメブロに記事アップすることにした。その時の記事はこちら


一方、持ち歩く紙の地図には、従来どおりヤフーの「モノトーン」を使った。

2020年
ヤフブロに続き、ヤフーJavaScriptマップが10月でサービス終了と発表。さて、持ち歩く白黒地図を今後どうしたものか。グーグルの地図にはプリンタ印刷用に適した地図スタイルがない。
ヤフーのサービス終了予告に「代替サービスとして、以下2社の製品をご紹介させていただきます。Mapbox Japan, ゼンリンデータコム」とあったため、マップボックスの地図プラットフォーム利用に挑戦。これまた見よう見まねで何とか作成できた。その時の記事はこちら

ヤフー用に作っておいたデータのうち、これ以降使う分をマップボックス用に移植。新規に作るオリジナル地図はまずグーグルマイマップで作り、それをマップボックス用に移植して白黒地図を印刷することにした。

2021年4月
遅ればせながらスマホデビュー。それまでガラケーだった。翌月、スマホにアプリ「ルートヒストリー」をインストール。GPSデータを記録し、自分の移動ルートを記録できるようになった。

2022年3月
ルートヒストリーの有料コンテンツを使用開始。複数ルートを表示できるので、事前に予定ルートを取り込んでおき、歩きながら予定ルートとの比較ができるようになった。取り込むデータは、マップボックス用から移植して作成。

1.グーグルマイマップに予定ルートとポイントを入力し、オリジナル地図を作成。
2.1.をマップボックス用に移植して、紙に印刷。
3.2.をルートヒストリー用に移植して、スマホに取り込む。
4.歩いて得た体験や写真を1.に反映させて記事アップ。

という、今の手順が確立した。当初からこういうことを目指していた訳ではなく、地図アプリのサービス終了やネットの利用環境に変化があった時に、入手していた地図データや自分で作成したデータを新しい環境で使おう、あるいは別の使い方をしてみようと対応を変えてきた結果、こうなっただけである。

2025年01月
そして今月、2.の白黒地図を自宅PCだけでなく、ネット上でも表示できた。もちろん、自己満足でやっていることである。

---- ---- ---- ----

この記事の冒頭、NTTの研究所で地図データを扱う試作システムを見学したことを述べた。おそらくミニコンで動作させていたと思うが、現在のパソコンほどの機能も性能もなかっただろう。ユーザインターフェースなどは、現在のスマホの足元にも及ばない。


あれから40年余り。あくまで趣味の範疇で、業務として関わった訳ではないが、地図を扱うシステムはここまで進化したんだな。まさに隔世の感がする。テレビの事件・災害ニュースや天気予報も、グーグルや他社の地図アプリで作られている。

折しも、大学共通テストの試験科目に、今回から「情報Ⅰ」が追加された。近い将来、公道での自動運転が実用化され、普及するのは確実だろう。それに伴って、地図を扱うシステムもこれから更に進化するだろうな。