羽州街道ウォーク10日目 及位→横堀 | M3Variant : 定年退職と同時にコロナ禍に

M3Variant : 定年退職と同時にコロナ禍に

APL(急性前骨髄球性白血病)再発後、造血幹細胞自家移植を受け、社会復帰しました。
APLで通常のM3型(多顆粒型)ではなく、APL全体の2%ほどしかない M3Variant(M3V型:微小顆粒型)のため、この名にしてます。
主なテーマは、白血病,旅行,日々の出来事 の3つです。

前回歩いた主寝坂峠に続き、今回も難関の峠越えがある。院内峠である。主寝坂峠は国土地理院の地図に峠を越える道が書かれていたが、院内峠の旧道については、国土地理院の地図でも峠の前後数百mほどが途切れている。
藤原優太郎著「羽州街道をゆく」では「峠の全コースを歩くことは至難」、渡辺信夫監修「東北の街道」では「深い藪に埋もれてしまっている」とのこと。ただ、地図上で道がなくなっている箇所は鞍部の形になっていて、方角に迷うことはなさそうだ。行けるところまで行ってみよう。駄目そうならもちろん無理せず引き返す。

実を言うと羽州街道ウォークを始めた時、初夏に入ってこの院内峠が草ぼうぼうになる前に、なるべく早く越えるのが目安の一つだった。この難関をなんとかクリアできそうだ。

22.5.10(火)
新庄駅 7:55 の電車で及位駅へ。及位着 8:32。前日歩いてこの駅に着いた時も気づいていたが、「飛び乗り、飛び降りは絶対やめてください。乗車終了後は、デッキのドアを閉めてください。」という表示があった。いつ取り付けられた表示だろう。
乗降用のドアが自動でなく手動で、動いているうちに飛び乗り、飛び降りできた鉄道車両は80年代前半頃まではあった。もう40年も前のことである。
 

↓この日歩いたルートと写真→大きい地図で

 

8:40 及位駅からウォーク開始。少し南下して国道13号に出て橋を渡り、8:45 国道の旧道へ入った。旧街道ではなく、国道の旧道だろう。峠前後の旧街道は、ほとんど失われている。
8:59 旧国道は配水池の手前で通行止めとなっていた。車は通れないが、脇を通ってそのまま進んだ。その先にわりあい大きな倒木があった。今冬の雪で倒れたのかな。前後は舗装路で歩き易かったが、ここだけは通過に難儀。

9:24 旧国道の旧雄勝トンネル、山形県側入口に着いた。トンネル入口はコンクリートで塞がれていた。音がしたのでその方向を見たら、カモシカが1頭、斜面を駆け上がって行った。私に気づいたのだろう。
引き返すことも考えたが、意を決してトンネルの左側から山に入った。道の痕跡らしきところを上って峠へ向かった。傾斜はわりあい急で、斜面を這うように上る箇所があり、そこに赤い花が咲いていた。花や葉の形からツバキの花のように見えたが、少し時期外れかな。ツバキではないかも。
9:48 なんとか院内峠に着いた。山形と秋田の県境である。雄勝峠などとも言うそうだ。

 

秋田県側、峠からの下りは北向きの斜面で残雪があった。固まった残雪の上を慎重に降りたが、足が滑り、3mほど滑り下ってしまった。少し危険だったかも。
10:11 旧国道雄勝トンネルの落石除け・雪除けの覆いが見えた。覆いの近くに下りようとしたが、下りられそうな場所がすぐには見つからなかった。左右へ2・3回行ったり来たりの他、一度下りた所を再度上って峠方向へ戻ったりした。
悪戦苦闘して何とか覆いの横に出た。覆いの鉄板が錆びて落ちていた箇所があった。10:29 覆いの鉄板が大きく外されているところがあり、ここから中に入れた。覆いの中は旧国道で舗装路である。やれやれ。道のない峠の強行軍をやっと終えた。

ここ院内峠の次の山道は、約90km先の峰ノ山を越える峠道であるが、そこは「東北自然歩道」の一区間に指定されているので、遊歩道としてそれなりに整備されているだろう。と、現時点では楽観している。
覆いの中をいったん奥へ行ってみたら、旧雄勝トンネルの秋田県側入口がコンクリートで塞がれていた。塞がれたトンネル入口から引き返し、長い覆いを出た。

その先、旧国道の緩い坂を下っていると、所々覆いがあった。旧国道の落石除け・雪除けである。途中で何かの土木工事をしている音が聞こえてきて、そのまま道を進んだら、工事現場に出た。工事中の重機の脇を通り過ぎたら、現場事務所のプレハブがあったので、その脇に腰掛けて休憩。

靴を脱いで、靴の中に入った枯れ草や土を出していたら、工事現場責任者らしき40代くらいの男が来た。
「ここは国有林で立入禁止ですよ。」旧国道の道路が国有林なのかな?
「すみません。山形県側から山を越えて下りて来たら、ここに出てしまいました。」
工事を知らずに山から下りてきたのだが、関係者以外立入禁止の工事現場内に入ってしまったのは間違いない。ここは平謝り。
「何かあると困るんでねー。」「すみません。怪我しないように気をつけます。」

羽州街道ウォークや院内峠越えを計画している人で、私のこのブログ記事を読んでる人は、まずいないだろうけど、もしいたらこの工事現場は要注意です。
工事現場を後に旧国道を下り、11:00 現在の国道13号線、雄勝トンネルの秋田県側入口付近に出た。立入禁止の標識の横に、工事完成予想図の看板があった。どうやら、高速道路の橋の基礎部分の工事らしい。まだ橋の影も形もないが、この峠にもいづれ高速が通るんだな。そしたら現在の雄勝トンネルも閑散となってしまうだろうな。

そのまま川沿いに国道13号を下り、明治天皇駐跡之處を通り過ぎた後、左側に奥羽本線の廃線跡が見えてきた。11:30 廃線跡へ上り、しばし廃線跡,トンネル,落石除けを歩いた。10分ほど歩いたら新線付替箇所に出たので、そこから少し引き返して国道に下りた。

国道108号を横切り、12:22 院内関所跡を通過。矢島街道との追分で、ここから西に3kmほど行ったあたりに、院内銀山跡があるそうだ。
愛宕神社,コロリ地蔵尊の前の橋が上院内と下院内の境だったという。橋を渡って、JR院内駅に到着。ここで持参したおにぎりの昼食。及位駅から 20,151歩,12.6km。

 

院内駅・院内銀山異人館

 

駅舎は院内銀山異人館に併設されている。1988(昭和63)年に木造の旧駅舎が火災で焼失し、翌年この異人館併設の新駅舎が落成したそうだ。院内銀山にドイツ人技師を招いていた時期があり、そこにあった技師用の宿舎を再現して建てたものとのこと。

昼食後、院内銀山異人館の展示を見学。展示を見るのは有料である。見学後、ウォーク再開。すぐに21番目の旧宿場、下院内宿の中心付近を通過。
22番目の旧宿場、横堀宿の中心付近を通過し、駅への交差点を左に折れたら、70代の女性2人が話をしていた。あまりにも強い秋田弁で、岩手県人の私にも全くわからなかった。
15:02 横堀駅でこの日のウォーク終了。昼食後は、7,544歩,5.2km。15:34 の電車で新庄に帰った。

22.5.11(水)
新庄のホテルをチェックアウトし、車で院内銀山跡に立ち寄った後、盛岡の自宅へ戻った。