18.08.13(月)
この日は、今後歩くであろう、おくの細道ルートを車で下見。
酒田のホテルを出て北上。いったん県境を越えて象潟まで行った。
蚶満寺の入口駐車場まで行ったが、寺の中に入るのはやめておいた。
今後のウォークでここに着いた時の楽しみにとっておこう。
象潟から引き返して途中から高速に入り、あつみ温泉ICへ。
鶴岡から村上までの海岸は、磯と砂浜がいくつも交互に連なる景勝地である。
おくの細道のルートは鶴岡の西で海岸に出て、山形県側はこの海岸沿いに通る。
新潟県側は「笹川流れ」と呼ばれているが、おくの細道はこの景勝地
笹川流れを避けるように途中から山側に入り、出羽街道に至っている。
しかも芭蕉と曾良が異なるルートを歩いていて、遡った川が異なり、
出羽・越後国境も、違う場所で越えているようだ。
芭蕉のルートは現在の国道7号沿いで、勝木から勝木川沿いに山側に入るルートらしい。
一方、曾良は温海の少し南から小国川沿いに山側に入るルートらしい。
いずれも笹川流れの手前で山側に入り、出羽街道を通って、いくつか峠を越えるルートである。
どれも高い峠ではないが、距離を考えるとウォークでは公共交通機関を使って分割せざるを得ない。
調べてみると、地方の山間部にしては路線バスの本数が多い。1日数本程度だが、土日祝の運行もある。
著名な観光地もなく印象も薄いのだが、調べてみたら、出羽街道の小さな旧宿場や石畳区間など、
意外と穴場的な見どころがあり、思ったより面白いルートのようだ。
今後のウォークのルートとなるので、車で下見。ただ、順番に歩いていると、
ここに到達するのは早くても来年以降で、今年中に歩くことはないだろう。
これらの峠と川沿いの道をaの字形に車で回った後、小名部というところ(旧宿場?)から
旧出羽街道の国道345号を鶴岡へ行こうとしたら、通行止の表示。
ところが地元の人の車は通っていた。通れるのでは? と思って進んでみたら、案の定通れた。
通行止区間が終わったところは関川という旧宿場。「しな織センター」というのがあり、立ち寄ってみた。
「信濃」の語源でもあるらしい、シナノキという木の皮から造る繊維の織物だそうだ。
その近くの神社に、戊辰戦争の説明板があった。戊辰戦争で本州最後の戦場とのこと。
やはりこの辺り、穴場的な見どころがあるようだ。

戊辰戦争本州最後(?)の戦場
しかし、岩手の私の実家の近くには、一連の戊辰戦争の一つ、宮古湾の海戦の史跡がある。
調べてみたら、宮古湾の海戦はここ関川の戦いより後、翌年とのこと。
ここが本州最後と称しているのは、陸上の戦場で本州最後ってことかな?
旧出羽街道・国道345号を北上して鶴岡へ出た後、赤川沿いに走った。
芭蕉と曾良は鶴岡から酒田まで赤川を舟で下ったそうで、これまたウォークの下見である。
赤川の現在の河口近くには土門拳記念館があり、ここを見学。
土門拳は全作品を故郷の酒田市に寄贈し、それでこの記念館が建てられたそうだ。
膨大な数の作品全部を展示できるスペースがあるはずはなく、頻繁に展示替えをするらしい。
3年前にも来たことがあるが、やはりその時とは違う展示内容だった。
見学後、海岸沿いに湯野浜温泉へ。そこから庄内交通湯野浜線の線路跡近くを南下。
線路跡はサイクリングロードになっているとかで、車は通れない。
おくの細道ルート沿いなので、今後のウォークの時に歩いてみようっと。
善寶寺という寺があり、道をはさんだ向かいに善宝寺鉄道記念館の廃墟があった。
湯野浜線廃止後に旧善宝寺駅を記念館にしたものだそうだが、今では廃墟。
立入禁止で、旧ホームの脇に昔の電車が置かれたまま朽ち果てているのが見えた。
廃墟の記念館脇には土産物屋があり、80歳過ぎと思われるお爺さんが、所在無げに
鍋の横に座っていた。鍋の中はおでんのようだが、この猛暑におでんを買う人がいるのかな?
旧駅舎は寺院風の建物だし、門前に土産物屋もあるくらいだから、それなりの古刹だろう。
善寶寺の説明板によると平安時代に開かれたそうだ。
羽前大山付近を通って、鶴岡のビジホにチェックイン。
酒田→鶴岡は隣町のようなものだがあちこち回ったため 304.9km も走った。
この日も悪夢に見舞われた。前々日と同じく、AMラジオの放送のような音と、
誰かが耳元で囁くような声。何度もあった。
夢の中で甚平の下を渡されたが、これは前々日のホテルにあったもの。
受け取って後ろを振り向いたら、やたら段数が多い階段の上に和装の男がいた。
「おしょうさ~ん」と誰かが叫ぶ声を聞いた気がした。後で思うに「芭蕉さ~ん」だったかもしれない。
私は霊感は全くない。幽霊を見たこともない。
ただ、火の玉は一度だけ見たことがある。小学4年生の時のことである。
火の玉も科学的に研究されていて、いろいろなタイプがあり、実験室で再現できるタイプもあるそうだ。
私が見たのはオレンジ色で尾のないタイプ。これはプラズマによる現象で、実験室で再現できるものらしい。
18.08.14(火)
鶴岡を出て西へ向かい、前日通った羽前大山の先、羽前水沢付近から
峠を越えて三瀬の海岸へ。大した峠でもないがウォークの下見。
三瀬から海沿いに酒田方面へ引き返し、賀茂水族館へ行った。
クラゲがメインテーマの水族館で、3年前にも見たことがある。もちろんクラゲ以外もある。
大きな水族館ではなく、一時は経営困難で閉鎖寸前だったそうだが、
偶然繁殖したクラゲを前面に持ち出したらこれが当たり、入館者が爆発的に増加。
現在では世界で最も多い50種類以上のクラゲを展示し、ギネスブック認定だそうだ。
前々日立ち寄った「道の駅とざわ」も、韓国をテーマとした独自路線だったが、
この加茂水族館も、クラゲという特定のテーマに特化した展示をしている。
他と同じようなことをするのではなく、こうやって独自色を出すほうが人気が出るだろう。
水族館開館は 9:00 とのことで、9:15頃行ってみたら、この日はお盆休みとあってか、8:00 開館だった。
駐車場も満車寸前。15分ほど行列に並んで入館した。
見学後、外へ出たら行列は3倍ほどに長くなっていた。30分待ちでも入れないだろうな。
三瀬から国道7号を進み、あつみ温泉,勝木経由で北中へ。出羽街道の旧宿場「中村宿」で、
あつみ温泉で分れた芭蕉と曾良がここで合流した。というのが定説らしい。
ここからまたウォークの下見。北中、旧中村宿までは前日下見した。
国道から外れて出羽街道の旧道に入ったが、車で行けるのは大沢という集落まで。
その先に昔の石畳の坂道が残っているという。
石畳の坂を含む山道を車では通れないので、旧街道とは別の車道を通って、
その先の矢茸明神へ向かった。
村上市役所のサイトに、矢茸明神へ行く市道が通行止。との情報があり、
これが気がかりだったが、矢茸明神までは行け、その先が通行止だった。
また、石畳の方からの道は、オフロード車でなければ通れそうがなかった。
大沢から矢茸明神まで車で6.4kmだったが、かなりぐるりと迂回したので、
石畳と山道は3~4kmくらいになるのかな。そのうち歩く日が楽しみだ。
通行止で行き止まりの矢茸明神から引き換えし、国道7号の朝日トンネルを越え、
旧街道との合流地点である蒲萄(ぶどう)という集落から、
先ほどの通行止めか所、矢茸明神方面へ引き返すように進んでみた。
どこかで通行止だろうから、どこまで行けるかな。と思いながら進んだところ、
蒲萄峠を越えて矢茸明神に着いてしまった。なんだ通れるじゃないか。
道の真ん中に工事用バリケードを置いて、通行止めと表示しているだけなので、
バリケードを少しずらし、車で通過した。
標高263mの蒲萄峠、曾良も事前に調べて聞いていたほどではない。とか書いているそうだが、
たしかにそのとおり。いづれ歩くとしてもさほど苦ではなさそうだ。
蒲萄から南下して村上へ。村上から乙宝寺(ここも細道の宿泊地)に立ち寄った後、
新発田まで行き、新発田のビジホにチェックイン。鶴岡→新発田 172.9km