日本一周(京都)河童に出会った日  | パイェーハリ!

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バイクと旅と釣りと独り言のブログ。Поехали!(パイェーハリ!)とは人類初の宇宙飛行を成し遂げたソビエトの英雄、ユーリガガーリンが地球を旅立つときに発した言葉で、さぁ行こう!という意味です。

 

※今から書くことは全て僕の体験談、つまり実話です。結構怖いので苦手な人は気を付けて。

 

 

 

 

10月27日

 

 

 

深夜、京都府某所の河原に張ったテント内で僕は眠れずにいた。あまり考えず石の上に立ててしまい、背中が痛くて眠れなったのだ。しかし移動するのも億劫なので、眠気が不快感を超えるまで待つことにした。

 

 

 

 

 

 

 

川のせせらぎだけが聞こえる静かな夜。ふと、その静寂の中に奇妙な音が混じっていることに僕は気付いた。そういえばさっきから時折鳴っているた。何の音か特定するため、耳を澄ませる。

 

 

 

 

 

「コッ・・・・・・」

 

 

 

 

 

なんの音だろう。奇妙な音だった。うまく言葉で説明ができない、聞いたことがない音。だがあえて例えるなら、舌を鳴らしたときの音をこもらせたような、プラスチックの容器を逆さにして内側を爪で弾いたような音。頭の中でそれに該当する現象を思い浮かべる。

 

 

 

 

 

「コッ・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

最初に書いたがここは河原だ。最も妥当なのは動物の足音だろう。夕方に失敗した焼き芋を放置していたから、それを食べに来たのかもしれない。幾分硬い音だったので、蹄を持つ動物だろうか。それならイノシシ?突進されでもしたら無事では済まないだろうが、この時はまだ恐怖心よりも好奇心が勝っていた。眠りかけていた僕の中枢神経は完全に活性化し、今は闇に響く音に集中している。

 

 

 

 

 

「コッ・・・・・・」

 

 

 

 

 

しかし足音にしてはずいぶん間隔が長い。普通カタカタ2,3歩は歩く音がするだろう。またなにかを漁っている音や、鳴き声などは全く聞こえない。イノシシ説はこの時点で有力候補から外れた。

 

 

 

 

 

 

「コッ・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

それになんとなく、鳴っているのではなく、鳴らしている気がする。その音に人為的な嘘臭さを感じた。このことに気付いたとき、僕の好奇心は恐怖心に押されはじめた。本能的に、初めて本気でナイフを抜いて握りしめる。

 

 

 

 

 

「コッ・・・・・・」

 

 

 

 

 

だが次の事に気付いたとき、僕は本能的な恐怖心に完全に支配された。

 

 

 

 

 

今テントで僕は寝そべっている。音の正体が不明なら、せめてその対象がどこに、どれくらいの距離間でいるのか確かめようと耳を澄ませた。万が一攻撃された場合のカウンターを確実に決めるため、全神経を集中させた。

 

 

 

 

 

「コッ・・・・・・」

 

 

 

足の方向で鳴った。次に左手の先、その次に頭上、そして右手の先。

 

 

 

 

 

 

「コッ・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

テントの周りを回っている

 

 

 

 

 

 

この時点でいままで経験したことのないほどの恐怖心に襲われた。本能的に、この状況はヤバイ、相手は僕の知る世界の住人ではないことを悟った。奴は僕の存在を認識し、確認しようとここに来たのだ。怖い。一歩も動けなかった。呼吸すらできなかった。その間にもあいかわらずあの音は鳴り続けている。そしてテントの周りをぐるぐる回っている。一段高くなった道端にバイクがあったが、そこまでの数十メートルを逃げ切る自信なんてこれっぽっちもなかった。なにより相手の正体を見るのが怖かった。もし突っ込んできたらナイフで応戦しよう、しかし自分から動いちゃダメだ。確実にやられる。息を止めて相手が去るのを待つことしかできなかった。その時間は1時間にも2時間にも感じられた。

 

 

 

 

 

「コッ・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

最後の音がなり、再び夜の静寂が訪れる。

 

 

 

 

 

それから5分か、あるいは10分ほど過ぎ、少し落ち着きを取り戻したところで

 

 

 

 

 

 

 

「ドボーーーーン!!!」

 

 

 

10月の暮れ、この寒い時期になにか人間ぐらいの大きさのものが川に飛び込んだ。この時点で僕は確信した。

 

 

 

 

 

 

 

 

河童に出会ってしまった。

 

 

 

体中の力が抜け、あれほど痛くて寝付けなかった石の上で僕は1分と立たずに眠りについた。

 

 

 

 

 

 

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と、お話はここまでなのだが、あれほど人生で怖かったことはいまだにない。ただ変な音をテントの中で聞いただけじゃん、と言われればそれまでなのだが、間違いなくあれは河童か、あるいは妖怪の類だった。これはいくら説明しても体験した人にしか分からないと思う。実際写真も撮ってなければ正体を見たわけでもないのだが、昔の人はああいう現象を河童の仕業と呼んだんだと思う。そう確信するほどの強烈な体験だった。

 

 

 

 

 

 

21世紀を生きている僕らにも、未知なる物への防衛本能はちゃんと受け継がれている。あの状況下で外に出て写真を撮ろうなどとは微塵も思えなかった。

 

 

 

 

 

ちなみに、その川はそれほど、山奥にあったわけではない。ものの数分で国道に出られるし、夜だって近くの道には街灯が点いている。異世界の住人は今も、そんなこの世界との狭間にいるのかもしれない。

 

 

 

 

 

そして最後に一言・・・・・・・・

 

 

 

 

河童は実在する。by無名旅人

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10月28日

 

 

明けて次の日の朝、その後は何事もなくぐっすりと眠れた。京都市街までおよそ100km。最近はこの距離がそれほど遠い感じなくなってきた。まっすぐな国道ならなおさらである。信号も少なく、走りやすかった。

 

 

 

途中、宇治川でルアーをキャストしてみた。

 

 

    

 

ナマズ釣れた!!ヤッフー!

 

 

 

 

その後、市内の観光を軽く済ませる。といっても中学の時に来たことがあるから建造物には興味がない。真の狙いは八ッ橋屋の試食でだったのは内緒。

 

 

    

 

 

八つ橋でおなか一杯になり(←オイ)滋賀県へ入った。今気づいたけど、京都市と滋賀県大津市って県庁所在地どうしが隣り合っているんですね。

 

 

 

 

夜、琵琶湖南湖にて釣りをし、適当な場所で寝た。昨日の恐怖から山の中では寝られなかった。

 

 

 

 

 

 

41/47都道府県到達