現役を引退した後の生き方をアドバイスした本はいっぱい出ている。老人入門とでもいえる本である。大体が前向きに生きるよう説いている。健康を維持し 趣味を持ちなさい、虚栄心は捨てて地域に溶け込みなさいなどと。。。 ごもっともな助言で、フンフンとは思うが、考えてみるに 60年かかって作り込まれた性分や習慣である、これまでできなかったことが 今更できるか? が本当のところだろう。
大体にして これらの本を書いているのは 功成り名を遂げた人が多い。裏から見ると できる彼らの自慢話である。凡人はそれができないから いつまでも悩んでいるのである。
内田樹は 60歳を過ぎてから市民的成熟を遂げるのは不可能、と言い切っている。そうだとすると、逆説的に 「暇ほど素晴らしいことはない」 とか 「ぶらぶらのすすめ」、「人の名前が出てこなくても心配は要らない」… と書いてくれる方が安心感を抱く。