以前、沖縄でロハスを売り物にしたゲストハウスに泊まったことがある。国際通りに近く、立地は良かったが、部屋の鍵ですと渡されたのが南京錠で、室内には畳の代わりに南京袋が敷かれていた。なんか貧乏くさいだけで、こんな宿泊所は要らんと思った。
今回、ブエノスでの2軒目の宿として選んだのが “歴史ある19世紀の建物を改造したゲストハウス” と銘打っていた「ローラハウス」である。しかし、タクシーで着いた途端、これはマズいと思った。ハウスの周辺は雑然としており、出迎えたのは ドアマンではなく、玄関横で寝転がっていたホームレスである。施錠された玄関をガチャガチャさせていたら、中から開けてくれたが、この受付のネエちゃんが やたらにハイである。ずっとお待ちしてましたよー などと 場末のバーみたいな出迎えをしてくれた。
受付を過ぎたところにパティオがあって、その周りを5つの部屋が囲んでいる。はい、ここがお部屋です と通されたのは、床がパティオと同じ地上高。もしかして ここは地べたちゃうのん?雨降ったら 水入って来ィへんか、という不安な部屋である。幸い天気もいいし、まあええか、と不安を封じ込める。間口、奥行き各 4㍍の部屋には窓がない。天井の高さも 4㍍で、ここはサイコロ部屋か、と突っこみたくなる。自然光はドアのガラス越しにしか採れないが、前がパティオだけに、カーテンを開けておくわけにはいかない。
部屋にセイフティBOXが無かったので、受付にセイフティを,と頼みにいくと 小さな金庫を手渡された。パスポートなど貴重品を入れて、再度受付に持っていくと、その金庫はあなたが持っておくのだ、と突っ返された。こんなおもちゃみたいなもん、何の役に立つのかと思ったが、それがここのやり方というのならしょうがない。
「ローラハウス」 には、前に懲りたはずの ロ・ハ・ス が その名称に隠れているのを気付くべきだった。
受付のネエちゃんは ハイな分、何を聞いても待ってました とばかりに 過剰に説明してくれる。また 日本へのみやげとして”ハバナ”という菓子を買い、ハウスに持ち帰ったら その包装を見て「わーい ハバナだ、ハバナだ」と騒ぐ。あんたは一体何やねん、ゲストハウスの受付 ちゃうんか!と言いたくなる。ふつう こんな受付はいないので、それなりに面白かったけど、2回目は たぶん選ばないだろうという「ローラハウス」でした。