漫画家・高岩ヨシヒロのblogです。
代表作『松田優作物語』(秋田書店)『NBA STORY』(集英社刊)
イラスト『学研ミステリー百科7』『THE侍ビジュアル超百科』(学研プラス)
劇画コミック『一つの戦史』発売中!
A.L.E.N. アニメーションアカデミー漫画科教授。
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《前回までのあらすじ》
・4色原稿、500枚=100万円 制作期間=7カ月 というトンデモ案件がくる。
・一応、約250枚まで描き上げた。
・その時点で原稿の『直し』が来る。
・2000円単価で描き直しとかありえないので、仕事を断る旨のメールを担当に送った。
【ここからが続きの始まりです】
そんなメールを出してから、5日程経って担当氏から返事が来た。
原稿料の見直しだ。
・似顔絵(肖像画)は1カット5000円
・シチュエーションカットは5000円から10000円の間で
・資料は編集部がすべて用意する
・総額約300万円でいかがでしょう?
最初の条件からしたら約3倍。かなり頑張った提示額と制作環境。
とは言え通常請負価格よりもまだまだ安いというレベル(自分の中では)。
駆け出しの若い頃なら、この条件で請けてたかもしれない。
でも、この値段じゃ受けられませんヨ
だって、この後で『お直し』がやってくるのだから。
ホントに直しが際限が無くて嫌なんだよ、この会社は。今まで何度もやってるけど。
それに、直したところで本当にそれが正しいかなんて実際は誰にも分らない事じゃないですか。
↓ヘリコプリオンだって最近になって昔の想像図は間違ってるってニュースになったじゃないですか!
ティラノザウルスだって最近の説では羽毛が生えていたって言うじゃないか!!(屁理屈
いま史実と思われている事なんて、その程度のもんですよ!(力説
それを上から目線で「直せ」と言ってくる『記事審査室』
『記事審査室』と言うのは、会社でもベテランが多く集まる部署、所謂お偉いさんが集う部署らしい。
けどさ、彼等は学者とちゃうじゃん。ただの記者じゃん。
こっちは、自分の手でゼロからモノを創作してるのよ。一応手間がかかってるの。
正しいとか間違ってるとか、そんな判断はどうでもいい。
ちゃんとオレの描いた絵を見て評価してくれ!(心の叫び)
速攻で『お断り』のメールを出す。
担当からメールが届いて返信するまで3分も経ってなかったと思う、我ながらその決断の速さに拍手(パチパチ
この先、確実に直しの無間地獄が待っているのに、そこに飛び込むほどアホではないのだよ明智君。
さらに言えば
「もう年末だし、家族とはのんびりと正月を迎えたいものだネ」
という考えが私の脳を支配し始めていたのである。
そして担当氏からの返信メール。
(まあ、読まなくても分かってるんですが、仕事再開のお願いと謝罪文ぽい事をつらつらと)
いやね。あたしゃ、のんびり年越しそば食って紅白を観て穏やかな気持ちで正月を迎えたいんですよ旦那。
余命幾ばくも無い母と、愛するヨメと、三人でネ。そういう小さい幸せを大事にしたい秋(とき)だ。
その為にはこんな仕事やってる場合じゃないんだッ!!
それに気づいたんだ今!(今気づいたんかい!?)
幾つかメッセージのやり取りをして最終的には降りる事を納得してもらった。
明日の編集部は大わらわだろう。
知らんわ。
結果的には担当さんに大変申し訳なかったと思う。が、こっちも一応の努力はしたのだからそこは許して欲しい。
全然仕事しなかったわけじゃないので。(威張り!)
こっちは2000円で雇われたしがないフリーの絵師なんで許して(テヘペロ)
ま。ボクなんかが描くよりもいい本が出来ますよ きっと!
(無責任な発言
250枚の肖像画+背景カットは全部無駄になったけど、
元々絵を描くのは好きだし、描いてて楽しかったからそれで報酬は十分貰ったといえる。
それに、『少年ジャンプ』持ち込み時代にボツになったネームの量を考えたら、この程度の事は屁みたいなもんです。
業者の皆さま、仕事にはちゃんとした対価を払い、きちんと手順を踏んでからやりましょう。
でないとこういう馬鹿が居ますよ。
と言うお話でした まる。
―続…かないかも―