大串正樹オフィシャルブログ「ぐしろぐ-大串まさきの活動のキセキ-」Powered by Ameba
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>

能登半島地震の被災地視察

議員の有志で能登半島地震の被災地の視察に行って参りました。以前に厚生労働委員会でも視察(主に医療福祉関連の課題の聴取)に行きましたが、今回は別の視点です。

 

 

朝市通りや和倉温泉などを回りました。マンパワー不足や復興予算など数値で具体化できる課題もありますが、今回は地域のコミュニケーションの難しさなどの見えにくい課題を多く伺うことができました。

 

これまで考えてきた「防災」だけでなく「災害復旧の準備」も平時から必要です。被災してから急に集まって復興に向けての意見を集約することは簡単ではありません。日頃から問題意識をもってコミュニケーションをとることが大切で、このような視点も、今後の政策に生かして行きたいと思います。

 

視察の合間に解体の準備作業のお手伝いもしてきました。倒壊住宅の公費解体と言っても、解体までに私財の整理が必要で、高齢者にはなかなかの重労働です。

 

 

また、富山県にも寄って建設中の利賀ダムを視察。長期間に及ぶ大きなプロジェクトですが、豪雨災害を防ぐ上で重要なダムになります。ダムを計画段階から見ることは初めての経験で、大変勉強になりました。

 

 

 

 

デジタル・ニッポン2024 【解説・後編】

前回からの続き

 

第3章では、仮説的にデータ戦略のモデルを提示しています。ナレッジマネジメントの研究をしていた頃に、知識を固定的に捉えずに自己革新プロセスとして再定義して論考をまとめた経験があります。この時の知見を基に、データ戦略も固定的に捉えずに、技術とともに革新する二つのプロセスの連携、それ自体を戦略として捉えました。意識的な転回が若干必要で腑に落ちるまで時間を要すかも知れませんが、「制度ベースの戦略プロセス」と「技術ベースの戦略プロセス」が相互に影響を及ぼしあうインタラクティブな「プロセス指向のデータ戦略」を仮説モデルとしました。以降の章立ても、このプロセスに従って構成されています。

 

 

第4章ではインフラ整備の進展と課題について論じています。これまでのデジタル庁の取組をさらに進めて行くとともに、能登半島地震から得られた教訓も生かしいかなくてはなりません。これは防災DXのプロジェクトチームでも丁寧に論じてくれています。

 

続く第5章では、AIやweb3などのデジタル分野の技術の進化のスピードにふれつつ、技術ベースの戦略プロセスの意義を解説しています。先に成立したセキュリティクリアランス法にも触れデータ戦略の安全保障面についても論じています。根底には“Need to know”から“Need to share”へ意識的に転回していく重要性をお伝えしています。データ戦略のメタレベルの戦略とも言えますが、社会的な価値創造の前提ともなる重要な議論です。

 

第6章では、データの利活用において課題が指摘された個人情報保護法の見直しについて、かなり深く掘り下げています。ヒヤリングでも明らかになりましたが、行き過ぎた規制を改めるためにも、個人情報保護委員会の体制の見直しまで含めて提言をしています。この点については、これまでデータヘルス・ゲノム医療政策(次世代医療基盤法)に取り組んできた経験から、どうしても踏み込みたかったポイントです。

 

第7章は、ここまでのデータ戦略の議論を受けて、戦略的に制度を見直していく必要性に言及しています。国と地方のデジタル化をさらに進めていくわけですが、その前提として、まだまだ脆弱なデジタル庁の体制を強化する必要性、さらに政策立案機能とデジタル基盤の開発・運用を担う機能の分化を意図するGov Tech Japan 構想を示しつつ、これを地方でも展開する必要性を示しています。後半ではトラストサービスを含む、国際的なデータ連係基盤構築の必要性を示していますが、これらが来年の大きな政策課題にもなると考えています。

 

 

第8章はシステム信頼についての考察です。章のタイトルはジンメルの「社会はいかにして可能か」をオマージュしつつ、正統性の概念に触れ、最後に「複雑性の縮減」という言葉を使っているようにルーマンの論考を少し取り入れた社会学的な視点で論じています。マイナンバーカードの経験からも、政府はシステム信頼というテーマに正面から取り組むべきだと思いますし、この提言で示したプロセス指向のデータ戦略がアジャイルに機能して、新たな価値を創造するためには、ガバナンスそのものへの信頼が不可欠となります。ある意味で、この提言でもっとも伝えたかったことであります。

 

 

 

デジタル・ニッポン2024 【解説・前編】

先日、私が事務局長を務めます自民党のデジタル社会推進本部の年次提言書「デジタル・ニッポン2024」を取りまとめて、総理に申し入れをおこないました。

 

デジタル・ニッポン2024―新たな価値を創造するデータ戦略への視座―【本文】

 

昨年までの提言は、おもにデジタルインフラ整備に軸足が置かれていましたが、今回は議論の末「データ戦略」をテーマとしました。なかなか見えにくいテーマですが、政策的にデータ利活用の方針を定める上で戦略は不可欠です。

 

 

サブタイトルはいろいろ迷いましたが「新たな価値を創造するデータ戦略への視座」としました。全編にわたって「新たな価値の創造」が中心的なテーゼとして読み取れる内容になっています。ちなみに「~の視座」や「~に向けて」という表現は昭和の時代に論文のサブタイトルによくあったフレーズですが、令和の時代に、あえて使ってみました。

 

全体の構成も役員の了承を得て「仮説検証型」スタイルを踏襲することにしました。政策提言は一般的に断片的な議論の集大成という形をとるとことが多いですが、「データ戦略」という曖昧なテーマは散漫な議論になりかねません。その懸念から新たな仮説に基づいて検証を進めながら、まとめていくという方法をとりました。

 

イントロ部分は平井本部長が自ら書かれたもので、我が国が置かれた状況やデジタル化の必要性などが「デジ道」のメッセージに込められています。

 

続く提言の冒頭には、アンダーソンのmore is different やボストロムのsuperintelligence の論考をレビューして(先人への敬意を込めて)、価値意識の変遷からデータ戦略の重要性が高まっている点に触れて議論をスタートしています。

 

続く第2章では、デジタル庁がまとめた包括的データ戦略を概観することでこれまでの議論を総括しています。各国とも、データ戦略の実用的な定義には苦戦している様子がわかると思います。ここでの反省的な考察が、次章のモデルへと繋がります。

 

つづく

 

 

 

1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>