自分の映画を上映できる映画館を企画した若松孝二
その館長に任命された木全は若松に振り回されっ放し
そんな時、若松に弟子入りを希望する若者が現れる
鑑賞日 2024年5月8日
映画館 キネマ館
色んな意味で独自性の強かった映画監督、若松孝二。
バイオレンスとセクシャルが交錯する作品を売りに当時の映画に殴り込みをかけていた・・らしいです。
というのも私が若松監督の作品を見たのは一本だけ。
しかも、コレだしなぁ。
愚かなー、男どもー
まあ、私が映画を見始めた頃の作品なので、今見ると感想も違いのかも。
本作はそんな若松孝二監督が立ち上げたミニシアターを舞台にした作品。
サブタイトルに「止められるか、俺たちを2」とあるように、若松孝二監督が映画監督になりたてだった時代を舞台にした「止められるか、俺たちを」の続編的な作品となっています。
もっとも監督が変わってしまっていますが。
ポイント
本作のポイントは若者を振り回す若松孝二。
名古屋でビデオカメラの販売を行っていた木全、そんなある
独自性の強い作品故が配給されない事に危機感を憶えた若松孝二は自分の作品を流すために映画館を開館、そしてその館長を木全に任せる事になる。
悩みつつも自分の好きな映画を流せるとして館長を引き受けた木全、ところが映画館は閑古鳥が鳴き若松の一存で当初は予定になったピンク映画を流す羽目に。
そんな折、若松を慕う井上は意を決して若松に弟子入りを志願、東京に上京する事になる。
しかし、現場についていけず程なく名古屋に帰郷、そんな折井上が通っていた予備校のPR映画を撮影することに。
若松の一存で監督は井上に抜擢、しかし結局は若松自身が撮りだしてしまう。
若松に振り回され続けた若者たちが掴んだものは?
前半は若松孝二が立ち上げたミニシアター「シネマスコーレ」を舞台にした展開、中盤以降は本作の監督である井上純一監督の自伝的な内容となっています。
なお、舞台は80年代前半ですが、予算の都合なのか撮影場所は当時を再現したセットではなく現在の風景。
その違和感が逆に面白いというべきか。
見どころ
見どころは前半、木全に夢を語る若松。
映画の情熱を切々と説く若松、その姿に木全の忘れかけてた映画への情熱が再び燃え上がる!
まあ、その後の手のひら返しは中々ゲスい事この上ないです。
とはいえ、この熱意が後半に繋がる場面となっています(たぶん)。
気になった点
気になった点はヒロイン?である金本の存在を持て余している事。
在日朝鮮人二世として自分のルーツに揺れ動く存在なのですが、その設定が全然話に絡んでこないのは無駄にしているというべきかと。
また、前半と中盤以降で話が大きく変わり、先に書いた通り自伝的な側面が強くなってしまっているのもマイナスです。
とにかく若松孝二にクズっぷりに振り回されっ放しの本作。
そのダメさ感が本作の持ち味になっています。
余談ですが、映画の再現で同じ役を演じることになった竹中直人さんはどな気持ちだったんだろう。
前作の感想は記事にしてなかったので・・