今日のスケッチ。勝鬨橋。
入れ墨にも格があるようだ。
私がたまに行く銭湯。
私の行く時間帯に一緒になる、入れ墨爺さんがいる。
爺さんといっても私より10歳は若い気がする。
入れ墨は背中一面。
腕にまではみ出して描かれている。
夏場は腕の入墨を見せて、自転車で走り回っていた。
人込みでもスピードを落とさない危険運転だ。
服装から見て職人さんではなく、老ヤクザだと思う。
コンビニで勘定をしているお兄さんが、携帯の操作でマゴマゴしていたら、後ろで勘定の順番待ちの入れ墨爺さんが、早くしろと怒鳴り始めた、
いい歳をしたチンピラは始末に終えない。
ある時、風呂場のガラス戸を開けたら、全身見事な入墨、鯉の滝のぼりの絵の爺さんが、体を洗っている。
私と同じか何歳か上だと思うが、歳を聞く勇気はない。
歳のわりには、立派な体をしている。
私も脱いだらすごいんですタイプで、登山で鍛えているからか、闘志型の体型であるが、その爺さんにはたるみがない。
たるみがあると、入墨は惨めである。
白髪で白い口ひげであるが、上品な顔立ちである。
その時、いつもの入墨爺さんも入ってきたが、見比べるまでもなく、入墨の格は新しい爺さんの方が上だとわかる。
前からの爺さんは、驚いたように格上の入れ墨を見て、端っこで体を洗い始めた。
いつもは真ん中の洗い場で鼻歌を歌いながら、湯が他人にかかるのも構わずシャワーを使うのに、その時はおとなしい。
なるほど貫禄の違いだ。
あの人たちの世界では、相手の格を一瞬に見分けないと、生きていけないだろう。
私は人を見る目がなくて、バンビちゃんやアラレちゃん、ランちゃんとおつきあいしてから、相手が格上だと気づいた。
3人ともメンくいらしいから、格下の私でも遊び仲間にしてくれた。
税理士仲間は、虐められている私を想像して同情してくれる。