刺青の格 | かもさんの山歩き

かもさんの山歩き

毎週末、山を歩いてスケッチしてます。
漫画も描きます。

今日のスケッチ。勝鬨橋。

 

 

入れ墨にも格があるようだ。

 

私がたまに行く銭湯。

 

私の行く時間帯に一緒になる、入れ墨爺さんがいる。

爺さんといっても私より10歳は若い気がする。

 

入れ墨は背中一面。

 

腕にまではみ出して描かれている。

 

夏場は腕の入墨を見せて、自転車で走り回っていた。

人込みでもスピードを落とさない危険運転だ。

 

服装から見て職人さんではなく、老ヤクザだと思う。

 

コンビニで勘定をしているお兄さんが、携帯の操作でマゴマゴしていたら、後ろで勘定の順番待ちの入れ墨爺さんが、早くしろと怒鳴り始めた、

 

いい歳をしたチンピラは始末に終えない。

 

 

 

 

ある時、風呂場のガラス戸を開けたら、全身見事な入墨、鯉の滝のぼりの絵の爺さんが、体を洗っている。

 

私と同じか何歳か上だと思うが、歳を聞く勇気はない。

 

歳のわりには、立派な体をしている。

 

私も脱いだらすごいんですタイプで、登山で鍛えているからか、闘志型の体型であるが、その爺さんにはたるみがない。

 

たるみがあると、入墨は惨めである。

 

白髪で白い口ひげであるが、上品な顔立ちである。

 

 

 

その時、いつもの入墨爺さんも入ってきたが、見比べるまでもなく、入墨の格は新しい爺さんの方が上だとわかる。

 

前からの爺さんは、驚いたように格上の入れ墨を見て、端っこで体を洗い始めた。

 

いつもは真ん中の洗い場で鼻歌を歌いながら、湯が他人にかかるのも構わずシャワーを使うのに、その時はおとなしい。

 

なるほど貫禄の違いだ。

 

あの人たちの世界では、相手の格を一瞬に見分けないと、生きていけないだろう。

 

私は人を見る目がなくて、バンビちゃんやアラレちゃん、ランちゃんとおつきあいしてから、相手が格上だと気づいた。

 

3人ともメンくいらしいから、格下の私でも遊び仲間にしてくれた。

 

税理士仲間は、虐められている私を想像して同情してくれる。