天国の駅,吉永小百合の汚れ役 | かもさんの山歩き

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今日のスケッチ。

 

水に映る白馬の山並み。

 

ホテル日本閣殺人事件は、温泉旅館経営者夫婦と元夫の男女3人を殺害した女性を主犯とする1961年に発覚した連続殺人事件。

 

主犯の小林カウは日本で戦後初めて死刑を執行された女性死刑囚として知られる。

その事件をモデルにした映画、「天国の駅」。

 

小林カウの役を吉永小百合が演じ、初めての汚れ役と評判になった。

映画パンフレットの文章。

 

「東京拘置所の処刑場で、一人の女がこの世に別れを告げた。林葉かよ──儚くも短い四十七年の生涯。 二人の夫を殺害し、世間から稀代の毒婦として指弾されながら、毅然として死刑台に向かっていった女の顔には、愛を全うした者ゆえの美しさがあった。

 

嫉妬深い傷痍軍人の夫による狂気の暴力、同情を装って言い寄る若い警官の身勝手な欲望、裕福な温泉旅館主の底深い好色。こうした男たちに翻弄されながら、かよは人生の歯車を狂わせて悲劇の奈落へと落ちてゆく。そして最後にかよの救いとなったのは、命にかえてもかよを守る男の純粋愛だった。」

 

 

カウの境遇など同情すべき点はあるし、なかなか頭のいいやり手の女性ではあるが、女を武器にのしあがり、若い愛人の警官との関係を続けたいために、最初の夫を殺害している。

 

 

裕福な旅館主のそこ深い好色となっているが、カウはそれ以上によく深く、旅館主の好色を利用している。

 

 

カウは教育を受けなかったせいもあり、取り調べの刑事たちの気さえ惹けば、死刑は免れると思い込んでおり、刑事に色気をふりまいたりしている。

 

 

吉永小百合には、美しく儚い犯人ではなく、実際のカウのようなしたたかで好色な女性を演じてもらいたかった。

 

一ヶ所だけ、病弱な最初の夫の時に、小百合が自慰をする場面があるが、美しく描き過ぎて、サユリストを萌えさせはしても、ガックリさせるものではない。

 

脚本がそうなっているからだろうが、監督も吉永小百合に本当の汚れ役を演じさせない。

 

 

映画と実際の事件は違うが、忠実に再現した方がいい映画になり、吉永小百合も芸の幅を広げたのではなかろうか。

 

ラブストリーにしてしまった点、私はすべて嘘臭く思えた。

 

男女の愛なんて、そんな高尚なものではない。

 

 

 

ただ30年以上前に見た映画だ、今度見たら別な感想を持つかもしれない。