今日の絵ハガキ。
ハイマツ帯を歩く。
主役やわき役でもなく出番もセリフも須少ないが、なんとなく印象を残す俳優もいる。
私が子供の時、NHKで「お笑い三人組」という番組があった。
ラーメン屋の三遊亭小金馬、サラリーマンの一龍齋ていほう、クリーニング屋の店員八ちゃんの、江戸家猫八。
クリーニング屋の八ちゃんと、恋人の楠トシエが会ったときに「八ちゃん、おたまちゃん、うー」というギャグが大いに受け、
エンディングでは3人が主題歌を歌い、剽軽に踊りながら終わるのが定番であった。
クリーニング屋の主人が渡辺篤という役者だった。
八ちゃんが楠トシエとイチャイチャしていると渡辺篤が現れて邪魔をする。
その渡辺篤が面白かった。
大きくなって、映画を見るようになったら、いろんな役でこの渡辺篤がちょい役で登場する。
そのたびに、あっ!クリーニング屋さんだと思う。
顔見知りのおじさんが、わき役で登場している気がした。
こういう役もするのか。
黒沢映画の「用心棒」で、棺桶屋が印象に残っている。
わき役という大役ではなく、セリフのない通行や斬られ役でもなく、ある程度セリフがあり、主役やわき役を盛り立てる役、その役にもチョイ役賞があったら、この棺桶屋の渡辺篤に賞をあげたい。
しかし、渡辺篤、日本初めてのトーキー映画「マダムと女房」で田中絹代と共演しているのだ。
ちょい役専門などと書いたら怒られるほどの偉大な俳優だったのだ、
マダムと女房はユーチューブで見た。
今見ても面白い。
初のトーキー映画を意識していると見え、全編にわたってラジオの音声や猫の鳴き声、目覚まし時計の鳴る音など日常生活の音が数多く取り入れられている。
昭和初期の文化人の生活が、田園調布の風景とともに描かれているのと、劇の脚本家の渡辺篤を魅惑するモダンガールの伊達里子と、渡辺篤の日本的奥さん田中絹代の対比も面白い。
私の好みは伊達里子の方であるが。
電車の中で、見覚えのある人に出会った。
どこかで会ったはずだが思い出せない。
夜、1人で飲んでいる時に突然、思い出した。
よくCMなどに、ちょい役で出てくる人だった。
本業は舞台俳優らしかった。