しばらく歩いたところでいとは立ち止まった。


いと『ねぇ…りょうた…?

あの時…

1年のあの時…

なんで助けてくれたの?』



涼太『あの時…?』



いと『うん。給食の時間…。』



涼太『さぁ?なんでやろ。』 



ずらっと並ぶ桜の木に
しとしと降り続く雪が溜まっていく。

街頭の光と雪と涙が交わって視界がぼやけた。





涼太は答えてくれなかった。

答えてくれないことが答えだと思った。


涼太の中で特別なことじゃなくて…
ただ、困った人を助けただけ。

私が1人でいたから人助けをしてくれた…
ただ、それだけ。

それだけー・・・。


もし、また涼太と話せなくなったとしても
大丈夫。

今まで通りに戻るだけ。

今日がちょっとだけ幸せなだけ。

私は大丈夫。

泣かない。

笑え。









自分に言い聞かせた。