バブソンMBAのベンチャー日記 -172ページ目

アラン・グリーンスパン「波乱の時代」

前FRB議長、アラン・グリーンスパン氏の著書「波乱の時代」を読んだ。

波乱の時代(上)/アラン グリーンスパン
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以前、日経新聞の私の履歴書においても、彼の半生が書かれていたが、この本は、私の履歴書に書ききれなかった詳細が盛り込まれている。


彼の特別な才能(抜群の記憶力や、分析力、経営者としての独立の早さ)は目を見張るばかりだが、特に興味深いのは歴代の大統領の逸話だ。


例えば、ニクソン大統領はとてつもなく頭のきれる人間だが、好きな人間は誰もいない人物で、その人間性は好きになれなかったと語っている。


また、クリントン大統領も、極めて優秀であり、経済の細かな事象まで把握しようとする姿勢について感心したとも語っている。(モニカ・ルインスキとの事件については、大統領執務室でなんであんなばかげたことを行なったのか、理解できないとも)


彼の率直な大統領評を読むと、アメリカ合衆国の大統領といっても、欠点も持ち合わせている人間であることがわかって、面白い。




MBOの難しさとすかいらーくの今後

外食大手のすかいらーく が、臨時株主総会を開き、横川社長を解任した。

創業家社長が株主から解任されるなんて、日本の資本市場も大きく変わってきたということだろうか。


2年前に実施したMBO(Management Buy Out = 経営陣が参加する買収)は、一度非上場化することで、大胆な経営改革を実施し、早期の業績回復を計るという狙いだったが、予想とおりそう簡単にはいかなかったというわけだ。


MBOは一時期、有効な戦略オプションの1つとみなされる風潮があったが、今後その選択を躊躇する経営者は増えるだろう。


そもそも外食業界の市場環境は、非常に厳しく、今後も回復基調になることは期待できない。


日本における胃袋の数が少なくなっていくのは自明で、国内だけで戦っていくためには他社からシェアを奪っていかないといけない。また、日本人の嗜好性も多様化しており、同じ業態(店舗フォーマット)の単純拡大だと、すぐに飽きられてしまう。


現在の外食業界で勝ち残っていくためには、大きく2パターンの戦略しかないと思う。

1つは、日本マクドナルドのように、単一業態だが、徹底的にコスト削減し、メニューの改廃を継続的に行なうとともに、CM等で積極的なマスコミュニケーションを行なう。もう1つは、際コーポレーションのように、多様な業態を展開し、時代に合わせて、業態転換を実施し、消費者の嗜好に合わせる。


しかし、すかいらーくのように、大手のファミレスチェーンは、すでに既設の店舗網があだとなって、業態転換も簡単ではない。メニューの改廃といっても、業態がファミレスだと、現在の状況の打破につながるような驚きは作り出せないだろう。


すかいらーくは、当面新体制でリストラをすすめることになる。最大350店の閉鎖といわれているが、正直、経営再建のためには、リストラ先行で、不採算店をつぶし、利益のでる企業体質にするしか選択肢はない。上述のように、売上拡大の戦略は事実上極めて困難なので、経営の優先課題は必然的に益出しになる。(ファンド側の注文も100%そう)


まずは、谷新社長がリストラを早期に断行できるかに、全てがかかってくるだろう。


結局はやってみないと、わからない

澤田さんは、企業再生を行なう上での重要事項として、「5%の計画と95%の実行」を挙げた。


この言葉、日産のカルロス・ゴーン氏が、NRP(日産リバイバルプラン)を発表したときに使った言葉でもあるが、やはり「実行してみると、全然違う。」「結果を受け止めて、修正していくことが大事」だというわけだ。



ロッテリアに経営者として乗り込んでいる湯浅さんも「やってみないとわからないことが、90%以上」と述べていた。


経営コンサルティングの現場においては、まず計画を作るところから始まることが多い。

PDCAのP(計画策定)が始めだから当たり前なのだが、正直なところ計画:実行の重要性は、50:50ぐらいで捉えられているのではないかという感覚がある。



実行の重要性を軽んじているわけではないが、どちらかというと、計画策定にエネルギーを使いすぎているということかもしれない。



私も中期経営計画の策定支援を何回も行なってきたが、特に大切にしていることは、中計自体というよりは、中計の使い方だ。計画は仮説であって、そのとおりには進まない。では中計という3年ものの計画を実務でどのように生かすかだ。
(中計の実行力を高め方については、また今度触れたい)



経営者の力量の1つとは、「5%の計画と95%の実行」のバランス感覚を掴んでおくことなのかもしれない。計画の重要性を理解していながらも、実行しながら、修正・改善させていくというアプローチを、的確にとれるかどうか。


考えすぎはダメで、体を動かして、検証しないといけないということだ。


例はまったく異なるが、映画監督の宮崎駿氏も、最初はラフな構想から始まり、絵コンテを描き進めるにしたがって、主人公に対する理解を深め、ストーリーを肉付けしていく。監督自身、船出の時点で、エンディングがどうなるか分かっていないらしい。


映画製作も「5%の計画と95%の実行」ということか。