どうにも重くて読み進められずにいる本は、読書会をゴールに据えて読み切る。
という作戦は素晴らしいです。

実際に起きた事件をもとにして書かれた小説「彼女は頭が悪いから」を読んだ4人で集まって感想を話し合いました。

 

彼女は頭が悪いから 彼女は頭が悪いから
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この事件も、そして小説が出たときも、
それからこの小説の重要な舞台となる東京大学で行われたブック・トークのことが書かれた記事も
注目していました。

文春オンラインのこの記事を最初に読みました。
編集者から「中立的に書いて」と要請されたけど、中立に書くのは難しい。
と記事の筆者が書いているように、私も被害女性に寄って読んではいた。
 
けれど読書会でも出たけれど
この小説の主人公のイノセントさにあまりに同化できない、
という声も読書会で出た。
確かに。

小説の中で被害者となる美咲は、「どうせ」と唱えると落ち着く、
とても自信のない女の子だ。
善良な市民の家庭に育ったちょっと奥手な「いい子」。

加害者となるつばさは、内省しない。
東大に入るためには、効率の悪いことはすべて省いてやってきた。
例えば人の気持を想像するというような。
そして最後まで、なぜ美咲が「被害」当日にあのようであったかもわからず、
なぜ自分たちが逮捕されなくちゃならなかったかもわからない、と描かれている。
両親の期待のレールからはずれたつばさの兄が弟に語り掛ける言葉には
「キモ」「メンヘラ?」とばっさり切り捨て、耳も貸さない。
 
登場人物の全員が
共感でつながることがないまま物語が終わる。
たったひとり、手を差し伸べる人が描かれているのが小さな救いとなっている。
 
この物語の恐ろしさは、
「断絶」「ディスコミュニケーション」

たくさんの、親子像が描かれる。
よくありそうなものも、気色悪いものも。
独善的に、「まごころから」自分たちが正しいと信じて。
 
他者への理解とか共感とかは皆無で自身の・身内の正当化に終始する。

そこへもってきて。東大で行われたブックトークがまた、
物語をそのまま現実に映し出したような結果となったのがなんとも恐ろしい。
断絶は、創作物の中だけではなかったのだ。
 
週刊読書人ウェブのこちらの記事でこのイベント主催の林香里教授の発言に全く同意する。
 
「私たちがよくしていこう、闘っていこうとする相手は、小説ではない。
小説はきっかけであり、私たちにテーマを与えてくれた。
それを課題に私たちが議論をして、問題をみつけるということがあっていいのではないか」とも語っている。


そして林教授を東大新聞オンラインが取材したこの記事がすばらしい。

そもそもこの小説の出来不出来や是非を問う場ではなかったはずなのに。
東大新聞の記者さんたちにはぜひ瀬治山教授のインタビューも敢行してほしい。
断絶を越えて。
 
 
私たちの読書会では、
やはりこの作品をきっかけに、
自分自身の経験の話がたくさんできて、それが私たちにとって、とても糧になったと思う。
 
もとになった事件や、この作品の是非ではなく、
私たちが生きる現実、子どもたちが生きる現実に、私たちはどう関わっていこうか。
そんな話ができたと思う。
すでにある構造を浮き彫りにした作品を前に、
私たちは、自分の宿題をやるのだ。
 
いっしょにそれぞれの宿題にとりくむ仲間がいるのは素晴らしい。
 
次はゴールデンウィーク最終日の5月6日に、

こちらの本をもとにお話できればと考えています。
ご興味ある方、お声かけください!

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修了後、有志でさくっと飲んで解散!
くだらない話もできて満足!!

 


道端の花からも、元気をもらう。


 

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