続きです。
 
この記事もネタバレ含みます。
否定的な意見も含むので、映画や漫画を初めてみる際の印象が変わる可能性があります。
どちらも先にご覧になってから記事を読まれることをおすすめします。
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映画を観たのは、クリスマス前のとしまえんユナイテッドシネマ。
劇場を出たらイルミネーションがきれいでした。
 
さて、こんな電飾の遊園地を通り過ぎる平和な私たちは、
2時間の映画のあいだ、ずっと戦時中の空気にさらされていました。
だんだんと激しくなる戦争。だんだんと物がなくなり、自由がなくなり、命もなくなり、町もなくなる、戦争。
そこに私たちは適応していった。
私もああするだろう。野菜を育て、雑草を食べるだろう。
工夫しながら、家族がいることのありがたみを味わいながら
日々をなるべく笑顔で過ごそうとするだろう。
そして敗戦。信じようとしていたものがひっくり返されて悔しいやりきれない思いがする。
親も亡くし、大事な小さな人も亡くし。片腕も失った。
けれど愛する夫も、家族もまだいる。希望がある。
最後のシーンは、強烈な緊張、悲しみ、怒りの後の希望を描いていて、
観た後にちゃんと生きる元気を沸かせてくれる。
 
本当に?
 
私は恐ろしかった。
それは、
 
「もし戦争になっても、なんとかやっていけそう」
 
な感じがしてしまったからだ。
 
これが、参加者さんから出た
この映画を一言でいうと、
 
「戦争プロモーションビデオ」
 
という中身だ。
すずさんは健気だ。
すずさんは正しい。
 
「すずさんみたいに頑張ろう」
 
そんなお手本にされてしまう。
 
二宮金次郎が勤労学生の鑑とされるように
北條すずは、貞操を守り、節約し、笑顔を絶やさず、ささやかな幸福をみつけながら家族を守る主婦の鑑だ。
 
おらそんなの絶対に嫌だ。
 
私の「後味の悪い美しい夢」の一部はこういうことだ。
映画館を出ても、醒めたあとも生々しさをもって、私の現実と地続きに戦争がある。
 
「首相もこれ観て泣いてないでしょうね」
「『これなら日本は大丈夫だ』とかね」
「『日本人ならやっていける』」
 
語る会では、そんな会話がなされました。うう。
 
さあ、では素晴らしさについて書きます。
これは、漫画になくて、映画にだけあるシーン。
 
私は、この1点において、ほんとにこの映画に「やられた」と思った。
 
それは、戦闘機が空を覆って、爆撃が始まり、すずさんが逃げる間際。
空を振り返ってすずさんのハッキリとした独白が響く。
 
「ここに、絵の具があったらーーー」
 
このセリフは私の胸を射抜いた。
 
戦禍の中で、つつましく生きる主婦としてのすずさんより
あのシーンのすずさんは、生きている存在感があった。
 
すずさんの
内側からこぼれ出た、表現のニーズ、美のニーズ。
 
「夜と霧」のフランクルが強制収容所にあっても論文をなんとかして守ろうとしたように
(そして紙を失ってからも、生還後にこの作品を書き上げたように)
 
命が危険にさらされてなお(いや、さらされてこそ?)、命が求めるニーズがある。
 
片渕監督、あのシーンをありがとう。
 
↓「映画を観終えて、としまえんのイルミネーションの前で自撮りしようとして失敗した記念写真。
 
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夫I氏のこの映画評は
「晴美さんを殺すなんてひどいTT」に尽きます。この写真でも目が赤いですね。とびだすうさぎ1
 
物語の背景をぶっちぎって進むスピード感については、OKなんだそうです。
私の周りでも、何度も観ている男性は多いので、
きっとオトコノコ的な魅力はたくさんある映画なのだと思います。
 
映画鑑賞後、漫画原作を読みました。
面白い。
面白い。
周作の魅力もわかった。
水原哲も、そういう人か、とわかった。
すずさんが惹かれていた幼馴染感もわかる。兄に似た粗野な同級生。
 
すずさんは、映画よりもっとずっと生身な感じがする。
絵の力で人を積極的に元気づける。自然に、主体的に。
リンさんとのエピソードも、むしろ物語の中心ではないか。
 
漫画を読み終えて、
この漫画を愛し、ずっと映画化を応援してきた人にとっては
あの大画面で総天然色で、登場人物たちが動き、しゃべり、生きているのは
さぞかし心躍ることだろうと思った。
漫画ですでに主人公たちと出会ってしまった人たちは、
しかも大ゴマで立ち止まって息を飲んだり、
前のページを繰って確かめたり、
繰り返し漫画を深く読んでいた人たちには、
あの映画は素晴らしいのかもしれない。
足りないエピソードも、描かれてないだけで、すずさんたちの時間には含まれているはずだとわかるから。
 
しかし映画ですずさんたちと初対面だった私は
すずさんの過剰なイノセントさに戸惑い、
起きる出来事のスピードに振り落とされ、
急接近するよく知らない男たちを嫌悪し、
戦争を憎んだ。
 
漫画は文句なしに素晴らしい。
映画は、漫画の大ファンになってから観ていたら、今回私が感じたほどの違和感はないのかもしれない。
 
そう思ったのは映画「ちはやふる」をこの正月にDVDで観たから。
ちはやふるは、漫画を読んでそれぞれの人物に思い入れがあるので、実写で人間があれを再現できているだけで相当興奮できた。もはや私には、あの映画の映画評ができないくらい。
 
というわけで
 
観た直後からかなりモヤモヤしながらも
感動もし
心をずっと動かされ続けた映画「この世界の片隅に」
この機会をありがとうございます。
漫画はこうのさんの命のニーズから表現され
映画は片渕監督はじめ制作者のみなさんのそれぞれのニーズから表現された
価値のあるものだと思います。
 
その価値ある作品をきっかけに、
私自身の感じたことを私の言葉で、私っぽい乱雑さで語ってみました。
映画をdisりたいわけではなく
これを観て揺り動かされた私の中身を確かめる旅でした。
 
2017年、さらに拙くともどこまでも深く自分自身の芯を確かめ、それをアウトプットしていこうと思います。私の命が表現を必要としているから!
あなたの奥深いところから発せられる想いも聴かせていただき対話できたらうれしいです。
(完)
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