先週「夢の間の世の中」を見た後

 

この映画に誘われた。

「望むのは死刑ですか 考え悩む”世論”」

 

60分ほどの短めの映像と、監督とゲストと会場を交えてのトークが60分。
 

「夢の間の世の中」でもメインで撮られている

冤罪で48年自由を奪われ、毎日死の恐怖にさらされ続けた弟・袴田巌さんを

支え続ける姉・袴田秀子さんがトークゲストということで

行くことにした。

 

数年前から「本物に会う」チャンスを逃さず、に会える時に会うことにしている。

映像で観た秀子さんは、紛れもない「本物」だった。

そのリアル・本物・秀子さんの肉声が聴きたい。

それが大きい動機であった。

 

映画は、「死刑に賛成が反対か」という問いを、135人(だったかな)の被験者にする。

死刑制度の実際について学んだりディスカッションしたりすることを間に2日間挟んで

その前後、被験者の意見は、半数ほどが変化する。

 

映画自体は賛成も反対も主張するものではなく

ただ、現在死刑制度を支持している8割の人々が

情報が公開されず、議論もなされないままに、「感情」「感覚」で死刑を支持しているのではないか、と問題提起している。

(この調査の詳しい報告書をでこちらでPDFで全文読むことができます。

「世論という神話 日本はなぜ、死刑を存置するのか」)

 

この映画も実験も、海外政府機関からの助成金を複数受けている。

先進国で、死刑を廃止している国は、日本が死刑維持していることに注目している。

 

これらの情報を、私は知らなかったし、それほど関心も持ってこなかった。

 

私の立場としては「死刑は絶対反対」だった。

映画を観た後も「やっぱり絶対反対」と強くなった。

 

これまでも思ってきたことをこの機会に書いてみようと思う。

 

映画の中では「被害者遺族の感情」を代弁する弁護士(死刑賛成派)が出てきて

ここに私は強い嫌悪感を感じた。

残虐に殺された被害者の遺族は「同じ方法で加害者を殺してほしい」と訴えている、と

煽情的に語る。

そのいやらしさに憎悪を覚えた。

 

対して「加害者は生きて償いを」と訴える被害者遺族の原田さん。

 

遺族が皆、加害者を殺したがっているわけではない。

 

当事者ではなく、被害者や被害者遺族を代弁し感情移入する「一般人」が

「そんな悪いやつは殺してしまえ」「そんな怖いやつは殺してしまえ」

と望んでいるのではないか。憎しみや恐怖から。

 

映画の中でも「自分の子どもに何かあったら、加害者を死刑にと望むだろう」と

子連れの若いお母さんが話す。

 

では、「自分の子どもが加害者になったら?」という想像を

どれだけの人がするのだろうか。

自分自身が加害者になったら、という想像は……。

 

冤罪のほうが想像しやすいかもしれない。

無実の罪をきせられ、証拠をねつ造されたら?

それは恐ろしい。

冤罪が起こらないための制度の見直しを!これにはおそらく誰もが賛成するだろう。

 

じゃあ、みんなの目の前で無差別殺人をした奴なら死刑にしてよいのか?

 

それでは「死にたくて殺人をする」事件はなくならない。

犯罪抑止力どころか、助長している。

 

なぜ殺してしまおうとまで思うに至ったか

そしてそれを実行可能にしたのは何だったのかを考えていかなければ

抑止することはできないのではないか。

 

罪を犯す人に共感する。

感情移入する。想像する。

それって、そんなに気分の悪いことなのだろうか。

 

私たちが、忌み嫌い罰したいあの「悪い奴」に自分がなりきってみて

その人生を巻き戻してどの時点でどんな力が働いたら、

その「悪さ」が機能しなくなるのかを、考える。

 

その「悪い奴」がこの先刑期を終えて社会で暮らすときに

どんなサポートがあれば、「悪い奴」を返上できるのか。

 

そんな作業が、必要だと私は考えている。

凶悪犯罪であればあるほど、死んでもらっては困るのではないか。

 

単に正しさに便乗して

悪い奴を成敗して

自分が日々感じる社会の不条理なストレスを発散する。

そんな人が大多数なうちは

犯罪はなくなることはないだろう。

 

失敗を叩きながら失敗を恐れ、失敗を隠す。

 

悪い奴は殺してしまえ、と考えているうちは

戦争もなくならないだろう。

 


私は

日々、間違いを犯し、

人に迷惑をかけ、

やらかし、

それでも受け入れられながら暮らしている。

そのことに感謝している。

 

でもこの毎日の地続きには、

処刑台があるのだ。

 

・・・・

 

帰り道、袴田秀子さんが私の真ん前を歩いてらして、

声をかけたかったのだけれど、かけられないまま、見送ってしまった。

 

尊敬を伝えたいのか

感謝を伝えたいのか

励ましを伝えたいのか……

 

そのどれでもよかったのかもしれないけど

 

実は、その時には私の中で別の質問が浮かんでしまっていて

それはいくらなんでも道端で訊くようなことじゃないし

秀子さんご本人に何もメリットのない問いのような気がするし

失礼だし、次の上映会会場への移動する途中なのだし、、、、と抑えていたから、

声をかけることができなかったのでした。

 

でもほんとに、生のご本人にお会いできてよかった。

その存在を感じられたことは、私も私自身で居続けようと思う助けになっています。

ありがとうございました。

 

(質問内容をここに書くのもはばかられるので、

 直接会える方で興味を持ってくださったらお尋ねください。あせる

 

袴田さんの映画

夢の間の世の中の公式サイトはこちら

 

自分も人を殺せる、と感じた経験はこちら

 

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