下北沢の美容院に置いてあった「もしもし下北沢」。
いつもは、普段買わないファッション誌をみて
なんとなく世間の流行や話題をフォローする時間なのですが
なぜか昨日は、あ、小説がある、と手にとった本。

読み始めたら面白くて、結局、帰宅して一度くつろいでたら
「このくつろぎ時間に、あの続きが読みたい!」という衝動が休息のニーズに打ち勝ち
自転車で、高田馬場の書店まで買いに行きました。

最近実用書ばかり読んでいて小説世界に飢えていたのかもしれません。

ところがどっこい(←って最近あまりみかけないですね)、
小説を読んでも、心理学の本を読んでも同じなのかも!
というくらい、今取り組んでいる
ブライト・リスニングにも
カウンセリングにも
パートナーシップ・ゼミにも
関わる気づきが満載でした。

人間が人間を描いているのだから
小説が、心理学の書と同じくらい示唆に富んでいるのは
当たり前なのかもしれませんが
特によしもとばなな氏の価値観というか視点が
私の今の研究テーマにぴったりとはまりました。

もしもし下北沢/よしもと ばなな
¥1,575
Amazon.co.jp


いつものことながら
ネタばれ部分あると思うので

この本を読む予定の方は、
この先は、本を読んでから!
読んだ方とは、ともに感想を語りあいたいです。

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1、喪失と成長 多分これがメインテーマ
父の変死を乗り越える主人公が
「正しさの矛盾、無理」に気づく
信じていたものの崩壊
仕事、母子関係、恋愛、の中で新たな視点と軸を獲得する

光だけの理想の世界ではなく
光と闇と曖昧を持ち合わせた、等身大の現実が足元に広がっていく。

そのプロセスを「下北沢」という現存の特定の街を舞台に描かれています。
親しみを持って読める(あの街を知っている)人には、
よりリアルに物語を感じることができるのでしょうね。

プロセスは丁寧に丁寧に描かれていて
父の変死がもたらした安全な世界の崩壊、
茫然自失、現実とつなぎとめる仕事をやみくもにやる、
誇りを持ちながら誇り高き健全さを持つ現実の人間と関わっていく、
母の回復過程、
親への見方・とらえ方が何度も変わり立体的等身大になっていく
物語における悪役の役割を、登場人物に「あれは悪役にされている」と説明させる
健全さから締め出されてしまう存在を取りこぼさずに統合

そしてすっかりプロセスが済むと
スペースができたその場所に、「納得が降ってきた」。

これはブライト・リスニングで目指す境地の拡大版というか現実版だなあと。
私もちょうど先日のワークショップで
気づきと納得がすとんと自分に落ちる体験をしたので
主人公の納得でまた
その感覚を追体験できてとても気持ちがよかった。


2、家族の罠、個人の自分らしさとコミュニティ
この切り口が、私が普段研究していることにぴったり合致していて面白かった。

家族という形をとることで
役割の中で善意で切り捨てられていく自分らしさ。
家族の罠。

下宿先に転がり込んできた母が、役割でなく淹れてくれるコーヒーが
めちゃくちゃ旨いことに主人公はショックを受ける。
これまでの母が自分にしてくれてた世話は「義務」だったのだ!

これはリアルなそら恐ろしさがある。

母本人ですら気づかなかったのだ。
自分がどうしたい人だったのか。
ただ、役割と状況の中で「自由が丘の幸せなマダムのコスプレ」を生きてしまった。

主人公が赤ん坊の頃、家族はまだ幸せだった
それがどうしてそうなっちゃったのか?
母も娘もそんな対話をする。

何か大きな原因があるわけでもなく

日常の義務が、役割が、個の中の闇を闇へ闇へと追いやっていく。
うわべの、役割の、正しい、形が子どもが育った後に残った家族だった。

この罠にどうやったらハマらずに
個を損なわない家族でいられるのか?
子どもが糊のようにぴったりくっつけてくれる時期を過ぎても
夫婦がかけがえなく一番の拠り所として残れるのか?

これは私の仕事(カウンセリング)の上でも重要なテーマだ。

(役割の罠にハマって自己成長を止めてしまい、
 依存関係の中に相手も閉じ込めようとしてしまう、
 育みの機能を破たんさせた家族像は
 恐ろしいことにノンフィクションでこちらに描かれている。
「母が重くてたまらない」
 http://ameblo.jp/lychee-tangerine/entry-11214853743.html 
「母がしんどい」

http://ameblo.jp/lychee-tangerine/entry-11211837570.html )




家族だけでなく
仕事の上でも、個のかけがえのなさについて描かれている。
父が亡くなってバンドが解散する。
下北沢のあの店のあの店主がもし死んだら?
自分が死んだら?
ココロを込めて自分自身の仕事をするとは
かけがえのないつながりを、そこに生む。

そんなことも描かれていく。

替えがきく仕事きかない仕事。
個人というものの担う割合の多い場所・少ない場所。

これも私がリスニングを伝えながら
またこぶたラボというコミュニティを運営しながら
いつも考えていることだ。
同じ仕事でもその人がやるから
同じ話もその人が聴いてくれるから
それぞれの展開を見せる。

そんなことがこの作品の中で大切に描かれていて
主人公がそのことを大切に実感していっていて

腹の底が温かくなった。


長くなったので三つめの

3、恋愛と性 は別記事にしますね。
(つづく↓)
 http://ameblo.jp/lychee-tangerine/entry-11243872238.html 


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