Soulmate -55ページ目

Soulmate

汝、愛されたければこそ、愛せよ。

$ソウルメイト

はじめてご購読いただく方へ。連載中につき、前夜から読まれることをおススメします。
尚、20歳以下の未成年やこういった話が不快に感じられる方はご遠慮いただきますようよろしくお願いします。


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<一夜目 あらすじ>



源爺がいつもしていたことを、目に浮かべ落ち着きます。


「ふーっ」


軽く深呼吸をし、天井に目をむけ思い立ち語りかける。


「子どもの頃、ひとりぼっちやったんやね?」

「そう、いつもひとり・・」


コクンと頭を下げるレイカ。


「弟さんがいたんじゃ?」

「いたな。やけど歳も離れていたし、弟が生まれる前はひとりやった」


私は、彼女の胸の先を指で転がしていく。

息を吸うと指を動かし、吐くと止める。


「おとうちゃんも、おかあちゃんもやっと帰ってきたと思ったら

いつも弟から抱きしめたん」

「いつも、いつも、何でウチやないの?っておもてた」

「それ、イイ」


快感を確かめるかのように、口を半開きにしながら

私の動きと言葉に応えるレイカ。


「ウチがいい子で、迷惑かけん子になったら

おとうちゃんもおかあちゃんもウチを誉めてくれるとおもったん」


そのとき、すかさず胸の先にある神経の塊をつまむ。

どんどん力を入れていく。


「いたっ、いぃぃ。んんほめて欲しい。もっともっと」

「痛くして、強く。ほめて。強く。ほめてぇ。ああっ」


縄で固定された身体がのけぞりながら、腰が浮いていく。

半開きの口から、透明な液が一筋流れあごを経て首、胸まで流れ落ちる。

レイカの髪から、ジャコウのようなメスの匂いがしてきました。


「体育教師の男は、誉めてくれたん?」


乱れた髪が、順を追いながら揺れ

激しく首を振る。


「ふたりの時は、めちゃやさしい・・やけど職場では目をあわせたらあかんねん」


私は、胸の先の塊に渾身の力でいれ、どんどん外側へ引いていく。


「このまま、ちぎろうか?」

「んはっ。ちぎって、ちぎって、ちぎってぇ」

「やつは、ウチがええ子でいても、誉めてくてんかったぁ」


MAXまでいくと、私は力を抜きま逆のことをする。

今度は、胸の先のリングをそわしながら敏感な部分に当たらなくした。

じらされることで、身体がクネクネ動きだす。

縄が食い込んでいきます。


「ねぇ、じらさんといて」

「今まで、我慢してきて偉いね。いつもがんばってるのにね」


やさしく語りかけながら、じらします。

レイカの目から、珠のような液体が流れ出す。

瞬間、チョンと敏感な先を指先に当てた。


「あがっ」


ビクビクビクン。雷に撃たれたかのように痙攣がおきた。

一瞬、ストップモーション。

力が抜け、放心。

逝った。

間髪をいれず、レイカの顔を床におとす。

自然に後ろが、露になった。

私は、形のくずれたひだに指を差し入れる。


「あっ」


ズブズブと暖かい通路を差し入れていく。

軽く指を曲げると、ざらついた壁にふれた。

ざらついた壁がつきると、つるつるの平地へ至ります。

デリケートな部分を、指のはらでこすりつけるように出入りさせていきます。


「あああっ、あああっ。男なんかこりごり、おとうちゃんやおかあちゃんなんか嫌い」


指の曲げる角度を少しつけながら、

出し入れの速度をあげていきます。


「だめ、だめ、アカン。やめて、おかしくなる」

「ホンマに言いたいことはそれなんか?」


私は、速度をあげながら追い詰めていきます。

そうしているうちに、彼女の悲しみ、憎しみの心が伝わり胸が熱い。

心に触れているような気がしました。


「愛してぇ、ウチを愛してぇ」


ピッ、ピッ。


透明な液体が空を飛びます。

潮といわれているもののようです。

レイカは、硬直し痙攣を繰り返しました。

気がついたら、私の足元に白いものが点々と床に轍を残していました。

私も知らない間に逝った。

目の前が白く、強い眠気と快感。

いつしか、レイカと縄を抱きかかえるように島となっていました。


私の肩が、トントンと鳴った。


「ごくろうはん。素人やないなナルさん。わはは」


源爺が私の背中越しに立っていました。

不思議な感覚の中にいる私。


二夜目 その九 桜ノ宮に消えるへつづく

>>二夜目 その九 桜ノ宮へ消える
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<一夜目 あらすじ>



一括したあと、レイカと唇をあわせた私でしたが

いつもの性交の時とは違い、高揚はしていませんでした。

ハタチそこそこの男が、こういう刺激的な場面にでくわすと野生の血が沸くはずですが

いたって冷静でした。

唇をあわせたのも、接吻というよりもよくしゃべるレイカの口をふさぐという感じでした。

レイカの心を溶かしたとは思うものの、

何かが足りないという感じがしました。

頭の中で、彼女の心の壁を崩せていない思いがあったのです。


「とことん、壊れてみますか?」


自然と口から出た言葉に、本人が戸惑っていました。

縛ってみるか?

なぜこんな気持ちになったのかわかりません。

普段、源爺のお手伝いしているのも

エスエムに溺れて、抜け出せない人を助けて

縛りのない世界へ戻すことです。

今度は、逆に縛られたこともない人を縛ってしまうというのだから。

そんなことできるのかという不安と

やってみたい衝動でおもわず源爺のほうへ目をむけました。


「うん」


目をさまし、毛布にくるまりながらこちらを見ているメグミに

寄り添うようにいた源爺が、目元に笑みを浮かべながらうなずきました。


「レイカ、立って」

「はい」


右腕をつかみ、一緒にたちがあります。

私が普段、拷問部屋と呼んでいる梁のある部屋に連れていきます。

縛る者、縛られる者について

常日頃、源爺から唯一言われていることがあります。


「こういうエスエムの世界は、縛るもんが縛られるものを支配するだの

ドレイにするだの言うわな」

「はい、定番だとおもいます」

「ワシはな、それは間違いやとおもっとる」

「というと?」


源爺が後頭部をさすりながら言います。

重要なことを整理するときにいつもする癖。


「縛るもんも縛られるもんも、同等や。たまたまお互い欠けた部分を補うだけのこと」

「縛られるもんも、縛られてあげることで縛るもんを支配できてる」

「なんか、ややこしいな」

「ようは、人間同士。上も下もないちゅうことや」

「理想は、縛らず縛られもせずや。わはは」


ようは、そういう行為は手段であって

人と人が向き合うことだなと理解していました。


レイカと部屋に入って向き合います。

私も服を脱ぎ捨て、生まれたままの姿に。

部屋に連れてきたものの、道具を使うことはしないでおこうと思いました。

ただ、少しだけ縄で拘束して動けなくすることはしよう。


床に置かれた縄をとり、

手首を後手に縛り、肩の少し下のあたりに縄を巻きつけました。

見た目は、不恰好。源爺のように凛とした縛り方にはほど遠かった。

でも、これでいい。


「ううっ」


レイカの表情が、苦悶とも悦びともつかない表情となっていました。

こうしたものの、私の頭の中は「さて、どうしよう?」でした。

初縛りの試運転が始まりです。


二夜目 その八 心 へつづく

>>二夜目 その八 心
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<一夜目 あらすじ>



拷問部屋から持ってきていた、洗いざらしのバスローブをレイカに手渡します。

背中越しにローブを羽織ろうとしましたが

サッと片手で握り締め、向こう側へ放りなげました。

クルッと振り返ると「アハハハ、キャッキャッ」と笑い出しました。


「ええ歳した女が何、恥ずかしがっとんねんな」

「アンタ、名前何?」

「ナルキヨ、いいます」

「八墓村? スケキヨやん、あはははは」


私は、一緒に笑います。


「それ、よう言われます」

「変わってるけど、ええ名前や。坊さんみたいや」

「ありがとう」


みだれた髪が、口に絡まったのを首をかたむけながら指で摘みはずします。

その仕草が、大人の女の色気に感じる。


「こんなに、腹から笑ったん久しぶりやわ」

「ええ感じに力が抜けたわ」


左手を上げ、細くやつれ傷跡の残る手のひらを見てレイカは言う。


「この手、傷だらけで貧相な手やろ? 嫌ってるとおもう? ちゃうねん。なんか愛しいねん」

「愛しい?」

「そう。ウチの歴史が刻まれてるねん」

「こう眺めて、しわや傷跡をしげしげと見てるとな、なんか、生きてる感じがするねん」


左手を、交互に表裏に繰り返し動かしながら言う。

私は、手の甲へに指をもっていきそっと触ってみます。

レイカは、一瞬目をつぶりかすかに「あっ」と恍惚の表情をみせた。


「そこ、触ってて」

「うん」


敏感な所を愛撫するように、やさしく触ります。


「ウチの家、共働きでいつも弟とふたりっきりやってん」

「長女ですか?」

「そう、ウチがしっかりせな思うてな。親にも心配かけられん

弟を守らなあかん。」

「自分が言うのもなんやけど、仕事も家事も完璧にやったんや」

「中学、高校は公立。国立大学もいっぱつで合格して学内一番の成績で卒業できた」

「教師になりたくてな」

「大学の時も勉強、勉強。男はみなライバルやと思うてた」

「うん、うん」


会話をする呼吸にあわせて、指をやさしく動かしながら聞きます。


「カップルを見るたび、毛嫌いする。やけど内心はうらやましかった」

「ウチかて、女のはしくれやしな」

「それで?」

「ああっ、お・おもったより教師になるの時間かかったけど

なんとか、地方の中学の数学の教師になれた」


私は、指の動きを止めた。


「憧れてた教師になれた。完璧な教師になろうとがんばった」

「偉いですね」


レイカは首を振ります。


「気持ちとは裏腹や。空回りばっかり」

「そらそうや、自分の自尊心のためにやってるんやもん」

「ほんまは生徒のための先生やのにね」

「じらさんといて、触って・・」

「それで?」


再び、指を動かします。


「そんな時、その学校の子持ちの体育教師と恋におちた・・」

「教師としての仕事がうまくいかない分、恋に溺れた」

「嫁とは別れるいう言葉を信じて、あとはよーあるパターン」

「教師失格」


私は、もう片方の手でレイカの肩をポンポンと叩きます。

涙をこらえようと、口を真一文字にしている。


「街を追われ、憧れの教師も手から離れ、心許した男にも裏切られ・・」

「いつのまにか、夜の蝶になってた・・」

「やけどな、男に心をゆるさん蝶やねん」

「いろいろ誘われて、ええとこまでいって逃げる」

「その頃や、男から逃げるたび自分を傷つけたんは」

「もともと、器量のええ人間ちゃうから蝶も失格や」

「うん、うん」


乳房をやさしく触ってあげた。


「たまたま、学生時代の恩師に紹介されたんが予備校の講師」

「ふりかかる火の粉は全部自分で解決、自分にも学生にも厳しく」

「雪女誕生」


私は、身体をひきよせ髪をなぜました。


「雪が溶けましたね」


指を秘部へ入れると雪解けた液体が濡らした。

レイカは、私のそこを探ろうとファスナーを探ろうとします。

私は、首を振り手をはらいのける。


「アカン!」


自分でも驚くような声を発してしまった。

レイカの唇を奪う。

デビューだというのに、無意識にレイカの心を解きほぐしていく私がいた。

まだまだ、濃い夜は始まったばかりです。


二夜目 その七 初縛りへつづく

>>二夜目 その七 初縛り
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私的な日記を綴るのは、趣味にあわないが

ひとつのメモリーとして残しておきたいのでここに記す。


昨夜、小説の新作を書いたあと携帯にメールが届いた。

「電話していいかな」

メールの差出人は、元連れ合い。


昨年末から、私が半年にわたって前に進めないくらい影響を与えた相手だ。

事後報告の電話やメールは交わしていたものの

本格的に話をしたのは、何ヶ月ぶりだろうか。


メールを返信して、すぐに電話がかかってきた。


電話の向こうの彼女は、言葉も伝えきれないくらいの涙だった。

今、交際中の男と連絡がとれないという。

その男は、一緒にいた頃に話に聞いていた会社のグループで

いつも遊びに行っていたひとりだった。


彼女との別れは、お互いに嫌いあったわけでもなく

逆に驚くほど意思の疎通できる、とても仲の良い関係だった。

おたがいの諸事情で、別れざるえなくなった。

6年近く一緒にいた。

小説にいずれ書くことになる荒れた生活から

いっさい足を洗い、共に生きていた。

嫌い同士で別れるのではなく、

かけがえのない相手と別れるのは、逆に辛さが染み渡った。


それまであえて、彼女の交際状況を聞くことはなかった。

いや、聞いてしまうことを怖れていたのかもしれない。


電話先の彼女をなだめながら話を聞く。

相手に戸惑いながらも、一緒に歩もうと決意しているようだ。

内容はたわいもない、すれ違いのようだが

泣きじゃくる彼女から、相手の男への想いが伝わってくる。

自分を追い詰めるだけ追い詰めて、行き場のない状態になってしまうのが彼女。

普段の快活な姿を知っている者にとって

涙の彼女は意外に映るのかもしれない。


別れた時間がなかったかのように

話を聞き、なだめ、時には笑いを誘いながら

彼女をなだめた。


ほんの数ヶ月前に、この会話をしていたら

私は耐えることができただろうか?

そこにいた私は、父親のような気持ちで話していた。

私も、少なからず先を歩けていたからだ。


「おやすみ」と言って電話をきり

ベッドに倒れこむ。

目から熱いものが流れた。

何の涙だろうか? 自分ではわからない。

まだ、ほんの少し残っていた彼女への想い。

本当の別れを感じたからかもしれない。

彼女の涙の向こう側は、私ではなく彼だったから。


朝、彼女からのメールが来た。

彼からの連絡があったという。

彼からのメールの転送もされてきた。

真剣で誠実な内容。

おそらく、女性とはほとんどきちんと付き合ったことがないことがない

ような男だとわかる。

それだけに、彼にバトンが渡せると思った。


落ち込むだけ落ち込んで

話すだけ話して

翌日、けろっとなかったかのように笑顔になる

いつものパターンだった。


秋を感じる季節、思い出したように聞いている曲がある。

よかったら聴いてみてください。

白鳥座 コスモス便り


小説は昨夜、最新のものがアップしてありますのでよろしくお願いします。

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<一夜目 あらすじ>



源爺の語ることは、いつも不可思議で独断的です。

けれど魅惑にあふれています。


「あの女の名はレイカというてな、進学校向けの予備校の講師や」

「講師? インテリですね」

「あの手首みたやろ? あれを隠すために夏場も長袖で過ごしてるそうや」

「あだ名は<雪女> わはは」


両手を前にたらして幽霊の真似をしながら、源爺はおどける。


「冷徹できびしい先生みたいやな」


いつも思うのですが、どういうルートで源爺の所へやってくるのか謎です。

源爺が続ける。


「エスエムに関わってた人やないが、ある意味縛られた女やな」

「ここへ来る人に一環して言えることは、自己愛が強い」

「自分を否定されることに異常に敏感で、人の顔色を見る力が鋭い」

「ほほー。自分のことが大好きなんですね」

「うむ、そうとも言えるが自分を否定する部分も多い」

「複雑ですね」

「まあ、愛されたいけれど自分は愛されるほどの者かとも思ってまう」

「ずっと矛盾をかかえてるんやな」


たばこをトトンっと灰皿でもみ消す。


「ナルさん、あんたもそろそろデビューやな」

「えぇ、デビュー?」

「そうや、遅かれ早かれ始めなあかんからな」

「ボクにはそんなん、無理です」


手のひらを激しく振って拒否をします。


「なんでや? けっこういろいろ見せたからできるはずやが」

「ボクなんかにできるかな?」

「できるで、その証拠にメグミちゃんがあんたに逝かされとったやないか」

「えぇ? あれは源爺の行為に共鳴したからちゃうんですか?」


楽しそうに、ソファーの背もたれにのけぞりほくそ笑む源爺。


「それもあるがな、ナルさんあんたメグミちゃんの手にぎってたやろ?」

「え?」


たしかに、クライマックスになるうちにメグミの上着を引く力が強くて

抑えるために、手を添えていました。


「あんた、指でリズム刻んどったやろ?」

「そんなとこ、見てはったんですか?」

「まあな、無意識やろうが相手の心の動きにあわせて動かす

簡単なようでなかなかできるもんやない」

「結局、逝かしてもうたやないか」


あははと笑うとスクッと源爺が立ち上がり


「そろそろ、戻るか」

「は・はい」

「レイカの話をあんたが聞くんや、ナルさんはワシにはない癒しみたいなんがあるからな」

「いやし? そんなんあるかな」


広間にふたたび戻りました。

毛布の小山がふたつ、広い畳の部屋にありました。

小山のひとつをトトンと叩く、レイカです。


「んんっ」


毛布がめくれ、生まれたままのレイカが起き上がりました。


「さあ、ナルさん。声かけてやり」


源爺に促されるように、私はレイカの枕元へ進められました。

何を言えばいいのか? 言葉が出ません。

とりあえず、思いつくまま第一声。


「寒くありませんか?」


顔をあげ、私に目をむける。

涙の跡が、溶けた化粧でわかります。

両手で頬をおさえ、畳に顔をおとし恥らう。

まるで、初めて男を知った女性のよう。

初めて見た時とは別人のようなレイカの姿でした。


そして、私のデビュー開始です。


二夜目 その六 デビューへつづく。

>>二夜目 その六 デビュー
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源爺が、女の股を割り込むように腰を捻り込もうとしますが

かたくなに足を閉じ拒否をします。

あれだけ、溶けるような愛撫を受けたのに拒否するなんてなぜだろう?

やはり、知らぬ男には最後まではと理性が働いたのかもしれない。

それにしても、源爺はいつになく強引です。

過去、数度関わりあったけれど挿入することは一度もなかった。

何か特別に理由(わけ)があるに違いない。

熱気の中、何気なく考えていると


スーッ


源爺は、右手を女の耳にもってくると小指を差込みました。

女の呼吸にあわせて、小指を微妙に揺らせていきます。

のけぞる女。

一瞬、全身の力が抜けたように見えた瞬間

硬く閉じたシャコ貝が口を開いたのです。


「いやーっ」


歓喜というよりも、痛みを感じたような劈く女の声。

横にいたメグミも仰向けになり

身体をのけぞらせています。


蛇がくねらせながら歩くかのごとく

源爺の腰がしなやかに動きだします。

秋も深い時期で肌寒くある部屋の中にも関わらず

源爺の背中からは湯気がたつような熱気が感じます。


「はぁう、うぐうぐ」


諦めたのか、硬く拒否していた女の身体の力が抜けたようです。

源爺のゆるりとやわらかい動きにあわせて

女も身体をあわせています。


「あっ、いたっ、あぁ」


苦痛とも歓喜ともいえない複雑な声をあげる女。


「はぁっ」


と瞬間的に気合をはく源爺。

全身の動きが少しずつ早くなっていきます。

女の手は、源爺の背中に手をまわし

爪をたてて掻き毟ります。

横に目をやると、メグミは相手がいるかのように手を空にまわし

全身をくねらせています。

動きが最高潮に達した時、

ふたりの動きが止まりました。


「んーふ」


のけぞる女は、ビクビクン ビクビクンと痙攣を数回。

床に沈みました。

目から涙が頬をつたっていました。

メグミも服を着たまま、達したようです。


「これで根(こん)は植えたわ」


赤子や子猫をやさしくなぜるように

女の髪をなぜる源爺。

壊れ物から離れるように身体を引き離しました。

女の内ももから、白濁したものと鮮血が一筋の流れを作っていました。


「この女、ひょっとしてバージン?」


と私は感じました。


「ナルさん、この人に毛布をかけてあげて。あっ、メグミちゃんにもな」


私は、積み上げていた毛布をふたり分、

となりの部屋から運び女とメグミにそっとかぶせました。


「ナルさん」


源爺が部屋の入り口に立ち、私を呼び寄せます。


「しばらく、ふたりとも動けんやろ。寝室で話しよか」


先ほど通った、庭をぬけ離れの源爺の寝室へ向かいました。



寝室に入り、ソファーにふたりして深く座り

ふっーとタバコをくぐらせました。


「あの女はな、あの歳になるまで乙女やったんやわ」

「ほー」


紫煙がふたりの上を行き交います。


「感情表現が下手でな、好きな男ができていい所までいくのに最後まではたせんかった」

「あの人ですか?」

「ああ、その度自分を傷つけて高圧な態度に拍車がかかりよった」

「なるほど」

「まわりの友人は嫁いでいくのに、自分は年齢が進みあせるばかり・・」

「結果、最初見たような感じになったというわけですね」

「そやな、やからワシが根(こん)を植えたんや」


私は、身体を正すように座りなおし、率直に聞いてみました。


「源爺。根(こん)を植えるって中に出すことですか?」

「そうや」


こともなげに応える源爺。


「乙女じゃなくならすことも大事やが、形として男の操を残すことが必要やねん」

「はぁ」

「心配せんでええ。ワシはパイプカットしてるから孕むことはない」

「男の放つもんには、力があってな、ああすることで安心感を与えることができるんや」

「んー?」

「あはは、まあ女が落ち着いたら見てみることや。人が変わったようになってるから」


なんだかわかったような、わからないようなそんな感覚でした。


二夜目 その五 そして、女はへつづく

>>二夜目 その五 そして、女は
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ほんの少し前には、悪態をつき態度のでかかった女。

こうも感嘆に変わるのだろうか?

源爺もいつもと違う。

数えるくらいしか参加をしていないので、なんともいえないがいつもと違います。

対話をし、相手の気持ちと同じ位置に立ちながら

場合によっては、縛りながら気持ちを引き寄せてくるパターン。

今回は、行為から始まり強引です。

源爺のそれを、怪しく舐め糸が引くように唾液が伸びる。


グゴッ。エグッ・・


源爺は、髪をつかみ上げ根元まで押し込んだのです。

えずく女。

唾液とも胃液ともつかないものが、女の口から滴り落ちます。

いつになくハードな雰囲気に、私の手には汗がにじんでいます。

メグミがつかんでいる私の上着が、さきほどより強く引きます。


ズズッ。ズズッ。


女は、涙を流し赤くなった鼻をすすります。

何気なく、私は女の手首を見た。

数多くのミミズがはったような、傷あとが幾重にもあります。


「いっぺん、壊さなあかん」


ここで初めて源爺の声がしました。

今回は今までの客人とは違うと感じる。


手際よく、女の服を脱がしていく。

いつのまにか、すべてのものが剥ぎ取られ生まれたままの姿に。

源爺の動きにあわせて、女の腰が浮く。

股から、透明な愛液がテーブルから糸を引いています。


ふたりは、吐息ともうなりともつかない声を発しながら

源爺の全身をはうような手の動きに、ふたりのリズムがあっていきます。


「殺れ! 私を殺れ。ぎゃははは」


罵声ともつかない女の叫び声が、部屋一面に広がります。

バッと両手で女の頬をつかみ、顔をよせながら源爺は言う。


「心まで、殺ったらあかん。こんなに生きとる」


ふわっと、源爺の手のひらは女の腰から背中にかけてさすりあげます。

ビクビクビクと女は痙攣をしながら、腰をあげる。


「はぁーん」


ふと、横を見るとメグミも口をパクパク動かしながら

女と同じような動きをしています。


「共鳴してる・・」


メグミも恍惚の表情をしているのです。

私の下腹部も、痛いくらい持ち上がってきたいるのがわかります。


「根(こん)を植ええるでっ」


畳の上に、女を押し倒す源爺。

源爺の腰が女の足の間に、ねじり込まれていきます。


「根(こん)って何?」


初めて聞く言葉でした。


二夜目 その四 根(こん)を植えるへつづく

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ガラガラガラ

いつもの源爺の玄関の戸を開ける。

最初の頃は、源さんと呼んでいたものの

いつの間にか源爺と親しみをこめて呼ぶようになっていました。

人生の先輩なのに気安く呼ぶことができるのも、源爺の人柄によるところが大きい。


いつもは玄関までいそいそと出迎えてもらえるのですが

今回は呼んでも来る気配がない。

メグミもお駄賃をもらいに一緒に門をくぐった。

玄関でふたり並んで待っていても、らちがあかないので

しかたなく家にあがりこみました。


「源爺ぃ~」


いつも数人の女性が待ち構えている台所も

静まりかえっていました。

大木を切り取ったテーブルの広間にも

私が拷問部屋とひそかに思っている、太い梁のある部屋にもいませんでした。


源爺の家には、庭があり離れがある。

大きなヒノキの風呂のある風呂場とトイレ

そして、十畳ほどの大きさの寝室があります。


「ボク、寝室のほうへ行ってみるわ」

「私もいくわ」


ちいさいながらも金魚のいる池に

並んだ盆栽、なぜか4~5mはありそうなアポロのロケット模型が置かれている

不可思議な庭の脇をとおり

寝室のドアをノックしました。


トントン

「おう」


中から源爺の声が聞こえます。


「ナルキヨです。メグミさんも一緒にいます。」

「中へ入り」


失礼します。といいながら中へ入ります。

中は洋間。

清潔に整えられたベッドに壁一杯の書物

そして丸テーブルに黒いソファーがあります。

源爺はたばこを吸いながら、癖である後頭部をさすっていました。

考え事をしていたのか一点を凝視していたとおもえば

さっといつもの笑顔で


「よー来たな。出迎えできんですまんの」


すかさず、手を差し出したメグミ


「源さん。お駄賃ちょうだい」


源爺がいつものように、懐からお金を取り出そうとしましたが


「あかん、持ち合わせがないわ。母屋で渡すんで行こうか

もう少ししたら客人が来るんでな。ナルさん準備たのむわ」

「はい」


母屋に戻ると、私はいつものように拷問部屋の縄を点検し

洗濯したてのバスローブやバスタオルを畳んでおきます。


「へーっ。ここ初めて入ったわ」


メグミがキョロキョロと見渡しながら入ってきました。


「あれ、帰らへんの?」

「うん、今日暇やし、見学して帰ろうかとおもてね」

「そうなんか」


毎回、何がおこるかわからない源爺ワールド。

興味がわくのもわかる気がします。


ガラガラガラ


「いらっしゃい、どうぞ入ってや」


私は源爺に頼まれて、コーヒーを入れている所でした。

どかどかと足早に足音がして、奥の間へ行ったようです。

5杯分のコーヒーをポットにいれ、カップを重ねて奥の間へ運びます。

奥の部屋へ入ると、いきなり緊張感漂う状況のようです。


「ここに座ってくれますか」

「うち、何も聞かされんうちここ来たけど、何んなん?」


女はテーブルに足を組んで座っています。

組んだ右足は、小刻みに空を揺らしている。

女は年のころ40歳前後、

痩せ型で切れ長の目が上をむいています。


「うわ、この人女王さんちゃうの?」


一方、源爺はというと真正面に立ち、両側の腰に手をそえて凛としています。

さすがの源爺もたじたじか? と思っていたところ

腰帯をはずし、着物をスルリと脱いだとたん生まれたばかりの姿になってしまいました。

しかも、源爺のそれは上向きにそそりたっている。


「!」


私は、入り口に唖然としながら座り込んでしまいました。

いつのまにか、隣にはメグミが座っていました。

源爺は女に歩み寄ると

後ろでに束ねた髪をさっとつかみあげたとたん、長い髪がさっと広がりました。


「ちょっ、何すんの・・・」


女は、にらみあげるような顔をしたました。


「だまっとれ」


ビリビリビリ

内臓が揺さぶられるような、源爺の一喝。

女の顔をちらりとみたら、切なそうななんともいえない表情に変わっていたのです。

横にいたメグミが、いつのまにか私の上着をつかみ握り締めていました。

源爺は、男のそれを女の口に押し込めたのです。

とろけるような表情をする女。

先ほどとはうって変わって従順に変化したのです。


表の顔が、裏の顔に変わった瞬間でした。


二夜目 その三 切れ長の目の女へつづく

>>二夜目 その三 切れ長の目の女
$ソウルメイト

○縛らず師のこれまでのあらすじ

アルバイトにいそしむ私が
いつも客として訪れていた謎の老人に
「ここが終わったら、ワシのところにこうへんか?」と誘われる。

そつなく、曖昧に返事をし続けていましたが、
ある土曜日に、“辰巳 源”と名乗る老人の車に乗せられ
自宅へと連れていかれます。

その家に待っていたのは、何の関連性のなさそうな4人の女達。

奥の座敷で待っていると“フミコ”という女性が連れてこられ
一見、拷問部屋とも思われるような部屋で
源爺が進める、まるで夢でもみたような不思議な行為が行われます。

そして私は、その独特な世界に魅せられていくのです・・

興味をもたれた方は、9月8日公開の前夜から読み進めていただくことをおススメします。

尚、20歳以下の未成年やこういった話が不快に感じられる方は
ご遠慮いただきますようよろしくお願いします。



二夜目 その1 お人形ちゃんとドライブ


紺色のホンダ シビックに、

黄色い縁の眼鏡に後ろを束ねた男と猫っ毛の髪の長いいい女が乗っている。

恋人同士にしては、アンバランスなカップル。


女はメグミといって、源さんが遊び相手兼ドライバーとして頼んでいる

お人形ちゃんと呼んでいるひとり。


はじめて源さんと出会ってから、

毎週の土曜日に訪れて源さんの自宅へ向かうのが、恒例となっていました。


今回は、源さんが多忙のためメグミがわざわざ迎えに来てくれたのだ。


いつもの源さんの高級車とはちがい、メグミのマイカー。

BGMは、桃色と息が流れている。


「わざわざ、迎えに来てもらえるなんてありがたいわ」

「ええよ。今日休みやったし、お小遣いもらえるしな」


博多生まれのメグミは、関西弁を使うけれどイントネーションが微妙にちがう。


「源さんって、不思議な独特な雰囲気の人やね」

「ホンマやね。神主の息子やからかもな」

「!」


その話は初耳でした。


「へー、それ初耳やわ」

「あんまり知らんのやけど、どっかの神社の次男坊で家飛び出したらしい」


ちょっと、宗教ががった雰囲気はそのせいかと思いました。


「おとーちゃんと意見があわへんで、自分で独特の考えを研究しはったらしい」

「へー」

「うちな、こういう身やけど博多ではそこそこの薬屋の娘でな

ものすごい額の借金かかえて倒産してもうて、母親と弟と3人で大阪に出てきてん」

「それで、弟グレてもうてやーさんになってもうて

うちは、知り合いの借金返すために夜の仕事についてるんよ」


メグミは、夜にバニーをやっているらしい。


「うちな、自律神経でいかれてボロボロのときに、源さんに相談して助けてもうたことあるねん」


丸い目がくりっとしていて、小柄だけれど芯の強そうな女性です。


「源さん、自力で学校行って、農業学んで、お国のために野菜の研究をしていたらしい」

「やけど、奥さんひとり残して、戦争行かされてな。自分だけ生き残ったらしいわ」

「源さんにも、辛い過去があったんやねー」


高速を降りて、住宅街へむかいます。


「ほら、ついたわ」


源さんの家の前につきました。

今夜も、刺激的で不思議な時間が始まるのです。


二夜目 その二 表の顔と裏の顔へつづく。

>>二夜目 その二 表の顔と裏の顔
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はじめてご購読いただく方へ。連載中につき、前夜から読まれることをおススメします。
尚、20歳以下の未成年やこういった話が不快に感じられる方はご遠慮いただきますようよろしくお願いします。



<一夜目 その六 理由(わけ)>


ボーっと暗い、木の天井らしきものが見える。

いつのまにかはずしておいた眼鏡を手探りで探し

アクビをしながらつけました。


「ここどこ?」


キョロキョロ見渡すと

朝まで続いた夢とも幻想ともつかない時間を思い出し

我にかえりました。

黒々とシルエットに映る梁と縄。


「源さん」


立ちがると部屋をでて、広い畳部屋をとおり台所のほうにむかいます。

静まり返った台所の窓から、光がさしこみテーブルを照らしています。

奥を見ると、綺麗にたたんだ布団が山積みにされてありました。

昨夜いた女性たちもめいめい帰っていったのかもしれない。


テーブルの椅子に腰掛けると

「今日、日曜でよかった・・帰って課題やらな」

とボーっとしながら考えていると


ガラガラガラ

と玄関の音がして、タンタンタンと足音がこちらに向かってきます。


「おーナルさん、やっと起きたか。もう昼過ぎやで」


たくさんの野菜が入った籠をかかえ

麦藁帽子をかぶった源さんが立っています。


「これは、うちで採れた野菜や。普段は百姓やってるんでな」


わははと笑いながら、籠を下ろすと向かいに座り言いました。


「昨夜はありがとさん。助かったで」

「腹へったやろ? 昼飯作るわ。食べて帰り」


立ち上がると手際よく料理を作りはじめます。

作りながら源さんが言います。


「いつも飯食べるときは、ひとりやから相手がおるとうれしいもんや」

トントントンと軽快な包丁の音が聞こえます。

しばらくすると味噌汁と何かを炒めた香ばしい匂いがしてきました。


「さあ、食べようか」


テーブルに、山盛りのごはん、ニラレバ炒めと味噌汁、

そして白菜の漬物が手際よく置かれました。


源さんは手をあわせると「いただきます」といい

エネルギッシュに食べ始めました。

私もつられるように手をあわせ、同じようにすると

ニラレバ炒めに箸をつけます。


「うまい」


濃厚なニラの香りと癖なく処理されたレバーが

バランスよく交じり合い、ゴマ油がうまくバランスをとっています。


「自家製の取れたてや。レバーも家の鶏をしめたやつや」

「白菜のつけもんもうまいで」


白菜の漬物は、ほのかな野菜独自の甘味がします。

大根と豆腐の味噌汁も捨てがたかった。

昼食を済ませると、洗いものを手伝い日本茶で一服。


「あれからフミコさんは、どうしはったんですか?」

「一時、眠ったあと家に帰りよった。あれでも人妻やからな」


後頭部をさすりながら、源さんが言いました。


「最後にあんたが言った、パパは来ないよが肝やな」

「あの人のお父さんは、ある企業の会長さんやしご健在や」

「何がああまでフミコさんを追い詰めたんか? やな」


「んー、幼い頃忙しくてかまってもらえなくて、その裏返しとか・・」

「いや、ちゃうな」

「はあ」

「ワシの見るところ、おそらく父親に○的な関係をうけてたな」

「えーっ、何でそんなことわかるんですか?」

「もしそうやったら、あんな行為、拒否するんちゃうんですか」


源さんは、ズズズとお茶をすすりながら、

ポリッと白菜の漬物を食べながら言いました。


「もし、ナルさんが言うように父親にあこがれてたなら

あんたが言うたあと、父親に甘えるようにどこにもいかさんように、抱きついたはずや」

「なるほど」

「あんたが言うたあと、安心するように眠りこけた」

「ワシの見立てではな」


使っていない茶碗を、4箇所配置して指をさしながら説明をはじめました。


「父親を恐れるフミコ、避けたい反面愛して欲しいという部分もある」

「人間は時として不可解な部分もあってな、父親の面影をおっている」

「そして、20歳近く年齢の離れた旦那と結婚」

「愛されるものの、実際は満たされたことがなかった」

「面影を追って、次から次へと男を渡り歩く」

「その度に、子どもを流していく・・」

「罪を深く感じ、自分を責める気持ちがつづく」

「そんなとき、エスエムに出会ってもうた・・」

「ちゅうことや」

たしかに、辻褄があっていると思いました。

「これからは、縛る行為をやめて解きほぐしていくことや」


ニヤリと笑いました。

私は気になっていたことを聞いてみた。


「見込んだって言ってくれはりましたけど、なんでボクなんですか? 理由は?」

「その黄色い眼鏡や」

「わはは、うそうそ」

「最初はその黄色い眼鏡の兄ちゃんを見て変わったやつやとおもったんや」


たしかに、当時の私は黄色い縁の眼鏡をかけ後ろを束ねていました。


「人には、フィーリングいうもんがあるやろ?」

「給仕するとき、ワシが話しかけたとき相槌が気持ちよかった」

「あと、あんた絵を描く人やから何かを見るとき観察する目をしよる」

「その目が気にいったんや」

「ははぁ」

源さんが立ち上がるとポケットに手をつつこみ

くしゃくしゃの札を取り出し、私に渡しました。


「帰りの交通費や、帰りはお人形ちゃんなし!」


広げてみると、千円でした。

狐につままれたような夜。

しかし、不思議な興味深い経験に魅せられた自分がいました。


二夜目 その一 お人形ちゃんとドライブへつづく。

>>二夜目 その一 お人形ちゃんとドライブ