はじめてご購読いただく方へ。連載中につき、前夜から読まれることをおススメします。
尚、20歳以下の未成年やこういった話が不快に感じられる方はご遠慮いただきますようよろしくお願いします。<一夜目 その三 縛らず師>
「かけ込み寺いうてもな、変な団体活動ちゃうんや」
と源さんは、私の思いを察するかのように言いました。
変わった女だらけで、しかも拷問部屋のようなものあるし、
そう思わないほうがおかしい。
「ナルさん、エスエムいうのを知ってるやろ?」
「はぁ、女の人を縛りあげたり、鞭でぶったりするやつでしょ?」
うぁ、やっぱりこの爺さん、SMプレイを見せつけるために呼んだんかも・・
「ワシは、秘め事を見せつける趣味はないでぇ、わはは」
またもや見透かされた。
「実はな、家におる女達はエスエム中毒、抜け出されへんようになった人達なんや」
「!」
源さんの癖であろう、後頭部をさすりながら言いました。
「普通は、望んでそういうプレイをしはるんやったら淫乱で終わらせるやろ」
「やけど、ここに来る人は心の深い闇につけこまれて抜け出せなくなってもうたんや」
「なっ?」
フミコという女性のほうに、源さんは振り向いて賛同をえようとするが
本人は一点を見つめながら無言のまま。
「ゴホン」
気まずそうにまた私に顔を向けなおすと
「普段の生活には支障ないんやが、会話をしても上辺だけになってまう」
「心を閉ざしてもうとるんや」
「やっかいなんは、エスエムをして強引にせな、感情を出せんようになってもうてるとこや」
ズズズとコーヒーを飲んで一呼吸置きました。
「本位やないが、プレイをしながら閉ざしている原因を探り出して
手をひかせてあげなあかんのや」
「んんん」
私は、わかったようなわからないようなそんな気分です。
「このままほうっておいたら、縛る相手を次から次へと、延々に探してボロボロになりよる」
「いわば、迷い猫やな」
この爺さん何かスゴイことができることはわかりました。
「そういう連中が、まわりまわって駆け込んでくる寺、ワシはさしずめ縛らず師ちゅうわけや」
「し・ばらずし?」
なんだか、どんどんわからない世界に引きずり込まれていくようです。
「ちょっと待っといてや、着替えてくるわ」
さっと立ち上がり部屋を出て行きました。
フミコという女性と、広い部屋にふたりきりになってしまいました。
気まずい。
私は彼女を見ないように部屋の隅々を見渡しています。
なんだか、強い目線を感じます。
チラッとフミコの目とあってしまいました。
「ニヤッ」
上目遣いに、溶けるような目をして私を見つめています。
背筋がゾッとし、変な汗が背中をつたっています。
さきほどのおびえるようだったフミコという女性。
別人のように、私にこびるようなしぐさをしています。
「こ・これが中毒というやつか・・」
いつの間にか隣に座り
私の肩にしなだれかかり、頭の胸にうずめようとします。
フワッと洗いたてのシャンプーの香りが鼻をかすめます。
スッ、バタン。
ふすまが開くと源さんが走りより
「はじまりよったか!」
といいながら、フミコの手をひっぱりあげ、
「こんかい!」
腹の底に響くような声で、先ほど見た拷問部屋? へ連れて行きます。
振り返りざま、私にむかって
「ナルさんもついてき」
「はい」
足のしびれと、緊張でよろけながら立ち上がり
もつれて尻もちをつきました。
よろけながらも、拷問部屋へ向かいました。
ふんどし姿というのを初めてみた瞬間でした。
一夜目 その四 夜叉がいるへつづく
一夜目 その四 夜叉がいる