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尚、20歳以下の未成年やこういった話が不快に感じられる方はご遠慮いただきますようよろしくお願いします。
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<一夜目 あらすじ>
一括したあと、レイカと唇をあわせた私でしたが
いつもの性交の時とは違い、高揚はしていませんでした。
ハタチそこそこの男が、こういう刺激的な場面にでくわすと野生の血が沸くはずですが
いたって冷静でした。
唇をあわせたのも、接吻というよりもよくしゃべるレイカの口をふさぐという感じでした。
レイカの心を溶かしたとは思うものの、
何かが足りないという感じがしました。
頭の中で、彼女の心の壁を崩せていない思いがあったのです。
「とことん、壊れてみますか?」
自然と口から出た言葉に、本人が戸惑っていました。
縛ってみるか?
なぜこんな気持ちになったのかわかりません。
普段、源爺のお手伝いしているのも
エスエムに溺れて、抜け出せない人を助けて
縛りのない世界へ戻すことです。
今度は、逆に縛られたこともない人を縛ってしまうというのだから。
そんなことできるのかという不安と
やってみたい衝動でおもわず源爺のほうへ目をむけました。
「うん」
目をさまし、毛布にくるまりながらこちらを見ているメグミに
寄り添うようにいた源爺が、目元に笑みを浮かべながらうなずきました。
「レイカ、立って」
「はい」
右腕をつかみ、一緒にたちがあります。
私が普段、拷問部屋と呼んでいる梁のある部屋に連れていきます。
縛る者、縛られる者について
常日頃、源爺から唯一言われていることがあります。
「こういうエスエムの世界は、縛るもんが縛られるものを支配するだの
ドレイにするだの言うわな」
「はい、定番だとおもいます」
「ワシはな、それは間違いやとおもっとる」
「というと?」
源爺が後頭部をさすりながら言います。
重要なことを整理するときにいつもする癖。
「縛るもんも縛られるもんも、同等や。たまたまお互い欠けた部分を補うだけのこと」
「縛られるもんも、縛られてあげることで縛るもんを支配できてる」
「なんか、ややこしいな」
「ようは、人間同士。上も下もないちゅうことや」
「理想は、縛らず縛られもせずや。わはは」
ようは、そういう行為は手段であって
人と人が向き合うことだなと理解していました。
レイカと部屋に入って向き合います。
私も服を脱ぎ捨て、生まれたままの姿に。
部屋に連れてきたものの、道具を使うことはしないでおこうと思いました。
ただ、少しだけ縄で拘束して動けなくすることはしよう。
床に置かれた縄をとり、
手首を後手に縛り、肩の少し下のあたりに縄を巻きつけました。
見た目は、不恰好。源爺のように凛とした縛り方にはほど遠かった。
でも、これでいい。
「ううっ」
レイカの表情が、苦悶とも悦びともつかない表情となっていました。
こうしたものの、私の頭の中は「さて、どうしよう?」でした。
初縛りの試運転が始まりです。
二夜目 その八 心 へつづく
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