Soulmate -53ページ目

Soulmate

汝、愛されたければこそ、愛せよ。


$ソウルメイト




「なあ」


「何?」


「お前、ここ咥えるの好きだな」


「うん、一日中でも大丈夫」


「・・・・」


「うれしいんでしょ? いつも悦んでいるもの」


「それは、そうだけど」


「飽きたなら、もうしないよ」


「いや、そんなこと言ってないよ」


「だったら、いいじゃない」


「なあ、咥えてる時って支配している気分?

 それとも、服従している気分?」


「う・・ん わからない。どっちだっていいじゃない。パクッ」


「うっ・・」



理屈の男と感覚の女。

永遠のテーマには、答えはない。

あるのは、幸せな瞬間。





縛らず師 一夜目 完全版をどなたでも読んでいただけるようにしました。

少しは読める作品に、なったと思っています。

はじめての方も、連載時に読んでいただいた方も読んでいただければ幸いです。


縛らず師 一夜目 完全版はコチラ↓
>>縛らず師 一夜目 完全版

連載時の公開済みのものはコチラ↓
<前夜> はじめての方はこちらからどうぞ 
<一夜目 あらすじ>
<二夜目 あらすじ>


引き続き、二夜目、三夜目と完全版を製作中です。お楽しみに。

新作も構想中です。
$ソウルメイト


カブトガニ? いや、さにあらず「エビ」のほう、

そう、カブトエビだ。


今は、住宅街に変貌して少なくなってしまったが、

ほんの数十年前の大阪近郊には、田んぼが広がっていた。

おたまじゃくしやガムシに混じって、こいつがよく泳いでいたものだ。


現在はまったくの畑違いに従事しているが

中学の頃は、生物の採集や分布にと野山を駆け巡っていた。

大阪の博物館のお手伝いも兼ねて、

大阪近郊のカブトエビの種類の分布を調査をしていた。


もともと、昆虫博士になりたいと子どもの頃からの夢もあってか

生き物に興味を持っていたのだ。


この、カブトエビというやつは日本に3種類生息している。

アメリカカブトエビ、ヨーロッパカブトエビ、アジアカブトエビ。

関西はアジアカブトエビが、ほとんどを占めている。

当時、大阪の一部の地域でヨーロッパカブトエビも確認されていたこともあり

北摂地域を担当となり、仲間と調査をしていた。

エチルアルコール入りの瓶に、捕獲したあと入れて標本にする。

性別や種類は、尾の付け根の突起で選別するのだ。

顕微鏡でひたすら、確認していく地味な作業だった。


カブトエビというやつ、淡水性の古代から変わらない甲殻類。

エビとついているが、エビの仲間ではない。

日本には、もともといない外来種だ。

生命力がとても強いしたたか者。

乾燥した土の中で、卵のまま何十年、何百年と過ごすことができ

水に覆われるとふ化をする。


当時の仲間が、大企業の重役になっていても趣味で、生き物を追っている。

私は、成績がともなわないため、別の道を歩んでしまったけれど

こちらの道に進んでいたら、ここにはいなかったかもしれない。


今も、熱帯魚飼育や博物館めぐりが趣味なのも、このなごり。

最近、山歩きの機会があっても疲れ知らずなのも経験からくるものかもしれない。


そういえば、シーモンキーという謎の生き物が

小学生の頃、大ブームとなりましたなー。^^






縛らず師 一夜目 完全版をどなたでも読んでいただけるようにしました。

少しは読める作品に、なったと思っています。

はじめての方も、連載時に読んでいただいた方も読んでいただければ幸いです。


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<一夜目 あらすじ>
<二夜目 あらすじ>


引き続き、二夜目、三夜目と完全版を製作中です。お楽しみに。

新作も構想中です。



「for you...」

言わずと知れた、高橋真梨子の名曲。


彼女は、私の歌姫のひとり。

ペドロ&カプリシャス時代からのフアンだ。


お顔も、実は好みのタイプ。


カプリシャス時代の「五番街のマリーへ」、「ジョニーへの伝言」

ソロになってからは「桃色吐息」の大ヒットで知られる。

コンサートチケットは即完売という、日本を代表する女性シンガー。


私の中では、マリーと呼んでいる。

徹夜で仕事をしながら、聴いては歌声に酔いしれ、

恋愛中の自分を励ます存在であった。


「for you...」

歌詞を聴いていただければ、男が生涯言われてみたい、

そういう言葉だろう。


影ながら女性を支える。

もともと私が、自分の中にある美学のひとつ。

「あしながおじさん」が理想なのだ。

キャンディキャンディのアルバート・G・グランジェスターしかり

ガラスの仮面の速水真澄に自分を投影する。

もちろん、この顔でなにを言うの世界ですが(笑)


「for you...」

言われてみたい言葉だが、言いたい言葉でもある。



過去に、言われたことがあるか? と聞かれれば

それは秘密^^



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$ソウルメイト


小説「縛らず師 一夜目」の完全版が編集終了いたしました。

比較的スムーズにできると進めてきましたが、

改めて読み返してみると、

勢いで書き始めたこともあり、大変雑な文章であったことに気がつきました。

わかりにくかったり、誤字脱字があって

こんなものを読んでいただいていたのかと思うと

大変、お恥ずかしいかぎりです。

連載中、ご愛読いただいた方々に感謝いたします。


一夜目は、独特の世界へ踏み出すきっかけと、

世界観を知っていただくための導入の物語です。

謎の男、辰巳 源と暗い影を落とすフミコの

攻防が繰り広げられます。



引き続き、二夜目、三夜目と編集を進めてまいります。

よろしくお願いします。


縛らず師 一夜目 完全版はコチラ↓
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<一夜目 あらすじ>
<二夜目 あらすじ>
$ソウルメイト


約2ヶ月にわたり、

書き続けた「縛らず師」の黎明編ともいえる

師である、辰巳 源さんとの物語も、ひとまず終わりをつげました。


表に影にとご愛読いただいた皆様ありがとうございました。

そして、直接感想をいただいたり、お手紙をいただいた方々に感謝いたします。


ふと、小説でも書いてみようかと思い立った時、

過去で歩んできた裏道が浮かびました。

最近、巷ではドSだのドMだのとまるで血液型を言うような感覚で会話されています。

会話を楽しむうえでは、その人の性格をあらわすアイテムとしては面白いとおもいます。

しかし、アダルトコンテンツがあふれる現代、

興味本位ではじめたために、深刻な人格障害を生み出していることも一方にあります。

特に受身であるMの方は、心や身体に傷を負うことも多く

単なるプレイでは済まされない事態へとなりえます。

Mの方の傾向は、過去に精神的な傷や挫折を負った方が多く

感受性が人一倍高いため、責める希望者にとっては

自分の欲望のエゴを押し付ける

かっこうの相手となります。


医学やメンタルケア活動では、拾えないケースもあることから

形にとらわれないケアの形が、生まれたのが小説の世界といえます。


一見、おどおどしい淫靡な世界を描いていますが

私は、その裏側にある様々な人間模様を通して

こういう世界へ踏み出そうとしている方、

苦しまれている方へ一歩踏みとどまって考えていただける

教科書のようなものとしたいとテーマにおきました。


この小説で登場した、源爺こと辰巳 源さんはこの世にはおられません。

12年前に他界されました。

源爺の死を知ったのは、10年前くらいでしょうか

大阪の繁華街で飲んでいる時に

源爺のいう、「お人形ちゃん」と名づけた外遊でエスコートをしていた女性のひとりと

ばったり会った時でした。

私を、源爺宅へ車で運んでくれた人でもあるので

懐かしく、近況を話しました。

その方から2年前に亡くなったと告げられました。

私が、離れてからはお手伝いは入れず、ひとりで活動されていたようです。

私が、最後のお弟子だったかもしれません。

それ以来、源爺宅あった奈良へ出向くたび、心の中で手をあわせています。

「また、おいでや」と最後に言われなかったことが頭に残ります。

それは「前へ進みなさい、振り返るな」という意味があるのだと思っています。

「照れくさいから、小説なんか書くなと言われている気もします」


小説に登場したお客さんが

その後、どうされたかはわかりません。

自分を取り戻して前を進んでらっしゃる方もいれば

また、舞い戻った方も、おられたかもしれません。


初めての小説ということで、うまく書けたかどうかはわかりませんが

改めて、ご愛読いただいたみなさま。ありがとうございます。


さて、次回作は源爺の元から離れて、自立していく姿を描いていく

「縛らず師 SNの美学」(仮)を構想中です。


また、一夜目~三夜目を、

言葉や表現審査の厳しいアメブログでは表現できなかった内容を

別サイトブログで、

まとめて再編集した形で、ご購読いただけるようにいたします。

お楽しみに。


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はじめてご購読いただく方へ。連載中につき、前夜から読まれることをおススメします。
尚、20歳以下の未成年やこういった話が不快に感じられる方はご遠慮いただきますようよろしくお願いします。


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<二夜目 あらすじ>


いつもは少人数で、広すぎるように感じる広間も

今宵は、宴の中にある。

私の送別を祝ってもらっている。

めいめい、酒を酌み交わし雑談の中、笑いが渦巻いています。

先ほどまで、白鷺の化身だった月子さんも無邪気な笑顔。

こういう宴の時の道化は決まって源爺ですが、今夜は違っていた。

なんと青山さん。

影を演じていた人です。

クールな顔から考えられないような、

口から寒いギャグやおやじギャグの連発。


「ほれ、お月さん」


口に入れたゆで卵を出しれしながら、しゃべっています。


「この人、これでもサックスプレーヤーなんやで」

「へー、かっこいい」

「青山さん、一曲吹いてや」


少し閉口気味の場を変えるため、源爺は配慮したのかもしれない。


「わかりました。月子、出してや」

「はいよ、あんさん」


サックスケースから、鈍い金のものを取り出し渡しました。


「ボォ、ブォ」


音を確かめるように、試し吹きをする。

皆のほうに、背を向けると

美しい旋律を奏ではじめた。


長身でスラットした黒い紳士に変わる。


「ムーンリバー」誰もが聴いたことのある名曲。

広い畳間が、一瞬にして川辺の月の世界へといざなう。


演奏が終わると、余韻にひたりしばし沈黙。

やがて拍手が巻き起こりました。


神秘的で、美しい夜が終わりました。


つがいの二人と美鈴さんは帰途につきました。


源爺とふたりで、余った肴をあてに酒をくみかわす。


「ナルさん、あの縛りはよかったろ?」

「はい、ひとつの芸術ですね」

「せやな、彼らは小屋で演じてみせてる人らやからな」


グィっと、お猪口の日本酒をあけ、テーブルに置く。


「ナルさん、半年ほど、てつどうてくれてありがとさん」

「何もできませんでしたが、お世話になりました」


少し日本酒でないものが、胸を熱くした。


「これで、だいたいの勘所は学んだはすや」

「そうでしょうか」

「続けていくも、これで終わらせるのもアンタ次第や」

「世の中、無駄なものはあらへん。何かの役にたつはずや」

「はい。源爺みたいに懐も広くないし、ボクはどうするかわかりません」

「ほうか。まあ、デザイン業界も厳しいらしいから、がんばるんやで」

「はい。なんとかがんばってみます」


こみ上げる気持ちを、隠すようにグイッと呑んだ。

気がつくと、時計は朝の6時を迎えようとしています。


「そろそろ、始発あたりの電車で帰ります」

「そうか、行くか」

「ちょっと待ってや」


玄関で、待っていると台所でガサガサ音をたてたあと、

大根を二本かかえて、小走りにかけてきました。


「ほれ、持ってかえり。おねーちゃんの二本足や」

「覗いたらあかんでぇ」


あはは、といつもの笑いを浮かべ

懐に手をいれ、くしゃくしゃの千円札を私の手に握らせた。


「元気でな」


いつものように、呆気なく別れました。


まだ暗い外の風景が流れていく。

ほとんど人気のない電車、

顔をはさむように、大根二本を抱えた私がいた。


「そういえば、源爺、またおいでやとはいわんかったな」


朝を迎える、紫色の空に月があった。


「縛らず師 源爺編」 終。


「この道」唐澤まゆ子



<あとがき>
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<二夜目 あらすじ>


冬の夜、まじりけのない澄んだ空気と、底冷えのする板間。

普段なら鳥肌が立ち、寒さで震えるでしょう。


その夜は、違っていた。


月子さんは自ら、長い巻き毛を束ね、頭の上にきつく結わえました。


細い首と肩が露出される。


窓から青い月光を浴び、ろうそくのスポットに立つ

くびれのある白いものは、足を閉じ両手を開いている。


白鷺が羽ばたく姿に似ています。


黒い影が、重なると同時に輪になった線が白鷺の首にかかります。

でも、罠にかかったようには見えません。


線に見えたものが、やがて線にコブが点々と現れてきました。

最後のコブの先の線が、少し開いた脚のトンネルを潜り抜けた。


黒い影が白鷺に重なりあい、

影が消えたとき、現れたのは白鷺ではなく、

複雑に絡めとられた月子さんでした。


後ろ手に組まれた手首のあたりから、

ピンをはりつめた縄が梁にかかっている。


後ろから抱えた影が、耳元で呪文のように言っている。


「捕らわれたならば、我に従え。従わないならば、そなたを切り裂くぞ」

「ん・んんんん」


切ない表情をした顔が、首を振り続ける。

影は、2つの振り子を取り出しました。


「ならば・・」


胸の先の小さな塊に、それぞれぶら下げられました。

振り子の先の錘が、重力にさかわらず落ちていく。


「くぅーっ」

「逆らわば、なお責めにあうぞ」


のけそぞるたびに、容赦なく振り子が揺れ胸に食い下がります。


「いやっーっ。やめてーっ」


部屋中をつんざくような、叫び。


影は、新たな縄を取り出すと右足に絡め、パッと梁にかけました。

縄の先を影が引いていく。

グィグィと縄は、梁を支点に足を持ち上げていく。

片足立ちで、月子さんの身体のそれぞれがぶら下げられる形になった。

痛みなのか、恍惚なのか身体をくねらせては、のけぞる。

しばし、放置する影。


「このまま、行かば、痛みに続くぞ」

「んー、んー。ギャーァ。ギャーァ」

「うるさい」


尻の腹を影は、平手でビシッビシッと叩きだしました。


「従うのか、従わぬのかいずれじゃ?」

「ギャーァ。ギャーァ」


激しく、首を振る月子さん。


「ならば・・・」


男の指ほどの長さの竹に、紐が通されたものを影がとりだす。

竹を口でくわえさせる。

物いえぬ拘束。

やがて、月子さんの唇からは糸をひく唾液が・・。


「逆らうからこうなるのだ、従え」

「うぐぐっ」


ろうそくのスポットと、月の光に妖艶に照らされた月子さんが不思議と美しい。

青と月の信頼からなる美だと思いました。


「ブブブブブ。ブブブブブ」


影が手にとったのは、男のそれに似た物。

それを、月子さんの蜜の壺に差込みました。


「んごー。うぐぐぐ」


よりいっそう、身体は動きを増す。

影は容赦なく物を動かしていく。

動きがどんどん早くなっていきます。


支えている左足の内ももから、細い透明の筋がゆっくりとしたたり落ちてきます。

影は、尻の腹を叩きながら、片方の手は小刻みに動いている。


「んんんん、あっ」


突然、月子さんの足の間から一閃の光が漏れた。

透明な虹がかかり、床を濡らしはじめました。

全身の体液が流れだしている。

影の動きが、容赦なく続く。


「ん」


動きが止まる。

全身がビクビクン、ブクビクンと痙攣した。

逝ったようです。


しばらく確かめるように様子を見ていた影が

絡まった縄をはずしていきました。

底冷えのする部屋なのに、熱気をおびた部屋。


すべてはずされた縄。

再び、手首を絡め梁に吊り下げます。

足を大の字に広げ、こちらのほうに背を向けています。

月子さんは、ちょうど東京タワーの形となっていました。

縛られた跡が、白い背中に幾何学的なラインを赤く浮かばせています。


影は、赤い火のついたろうそくを取り出す。

ポタ、ポタ・・

不規則に滴り落ちる赤い蝋が、白い背に点を描いた。


「ああっ」


再び、描く。

恍惚の声が響きます。

暗がりに控えていた、美鈴さんが大きな筆とバケツを影に渡しました。

影は、筆をバケツにつけると

そのまま、白い背に筆を走せはじめました。

筆の滑らかな動きは、先ほどの強い責めではなくやさしい。


「ああぅ」


やさしく穏やかな艶かしい声。


照らされた背には、一文字「月」とありました。

水墨画や日本画に似た、美しい作品がそこにあった。


影は抱きしめ、


「やっと堕ちたな」


と一言い、すべてのろうそくの火を消していった。


終演。


再び、静寂が戻りました。

おもわず、手を叩き腹に熱い感動がめぐっていました。


もうひとつの世界を知った夜でした。


次回 三夜目 その十一 別離 につづく。

<三夜目 その十一 別離>

$ソウルメイト


芸術の秋。

美術館では、様々なテーマで絵の観覧のためたくさんの人が賑わう。

私も、絵を描くことが好きで、現在の職業につくことになった。


学生や職につく初めの頃は、足蹴に仲間たちと美術館めぐりをしたものだ。

仕事の相棒が、美大をめざしていたこともあり

彼の豊富な知識を肴に酒を酌み交わした。


アートと私の仕事であるイラストは

同じ絵であるが、性質はまったく違う。

美術館の絵は、画家が人生をかけ描いた魂の一部。

イラストは、仕事の内容にあわせて、スポンサーの依頼をうけて描く。

最近はデジタルで描くので、手を汚しながら描くことが少なくなった。

長年、こういう職業画を描いていると

描くテクニックもノウハウも、はるかにあがった。

しかし、その分絵に対する情熱が薄くなってきた。

美術館で絵をみても、感動することもなくなった。

自分の絵がどんな絵を描けばいいのかもわからない。

そんな時期が長く続いている。


数年前、愛知県の瀬戸市を訪れたとき

瀬戸物の歴史を紹介する博物館を立ち寄った。

なにげなく、塗り絵のコーナーで塗り絵を楽しんでいると

コーナー担当の方が声をかけてきた。


「すみません。凄いですねー」

「ああ、仕事でやってますので・・」


簡単に会話して、集中して塗っていると

周りに気配が・・・

コーナー担当の方が館の職員を集めてきて

総勢10名くらいのギャラリーの中でぬり絵を塗ることなった。

人の目の中で描くという、初めて描くというのはやりにくいものだ。

しまいには、壁に飾られてしまった。


純粋に絵を描くことは、その人本人の魂を削るということだと思っている。

気持ちがのって描いていると、なんらかの力を感じるのかもしれない。


タイトル画は10年前に、お世話になった方にプレゼントするために描いたもの。

古いファイルにスキャニングして、保管していたものを偶然発見したものです。


昨日、なうでこの絵を公開し、一部のピグともに感想をうかがったところ、

人それぞれでおもしろかった。

小説の内容を反映してか、登場人物と感じる方もいるし

誰なの? と問われたりしたりもした。

感じた絵にいろいろ想いを語っていただくことや

絵を見て、癒しを感じていただいた方もいて

様々に感想いただいて、大変ありがたいものでした。


今、創作意欲が増す中、また絵筆をとろうかと思っている。

機会があれば、ここに紹介させていただきます。


絵の感想などいただければ、うれしい限りです。

小説も佳境を迎えます。引き続きお楽しみください。
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<一夜目 あらすじ>
<二夜目 あらすじ>


ふたりを玄関に待たせ、奥の源爺に来客の旨を伝えました。


「おお、きはったか。奥の間までお通ししてや」


うれしそうに、言いました。


女性の背中に手をそえ、エスコートしながら歩いている。

妙な雰囲気のカップルでした。


「お招き、ありがとう。源さん」


男と源爺は握手をかわした。

女も、微笑しながらお辞儀をしました。


「いやーっ。月ちゃん。一段と綺麗になって」

「あっ、美鈴さんや」


雰囲気に似合わず少女のように、両手を握りあい、ピヨンピョン飛んでいます。

その様子を見ながら、私はあっけにとられていました。


「おお、肝心なこと忘れとった。この人が今日までお手伝いしてくれてたナルさんや」

「はじめまして、ナルキヨです」


「クスッ。横溝正史や」

「コレッ」


男は女を手で払います。

女は舌を出して手を頭にのせました。


「青山といいます。よろしう」

「月子です」


天使のような笑顔が光った。


「まま、挨拶はこれくらいにして、めいめい座ってや」


自然木のテーブルを囲んで腰掛けました。

青山と名乗る男は、月子の太ももに手を置いて座っている。


「青山さんたちはな、粋なつがいの関係なんや」

「はぁ。つがいの関係?」

「ナルさんは、ここで手伝ってくれるうちにエスエムをあまりいいもんと思ってないはずや」

「ええ、まあ。苦しんでる人を見てきましたから・・」

「そこで、エスエムも悪ないでって見せようとお二人をおよびしたんや」

「!」

「この方々は、長年、夫婦でもなく恋人でもない、エスエムの関係を続けられてきたんや」

「えっちゃ・・あっ、月子ちゃんはもともと、うちのお客さんでな」

「一度、帰依したんやけど、青山さんが拾ってつがいにならはった」


夫婦のようでもなく、恋人でもない雰囲気はそういうことか、と思いました。


「この人らの縛りは美しい。芸術やわ」

「ホンマ、綺麗やで~」


美鈴さんが言った。


「ほかならぬ源さんの頼みやから、恥ずかしながら・・」

「よろしーぅ」


両手を顔の前にこすり合わせ、おどけた。

ひょーきん族のさんま風の寒いギャグ。

皆、唖然とする中、月子さんだけはクスクス笑っていました。

青山さん、冷たそうな顔のわりには三枚目かもしれないと感じました。


「さあて、開幕といきますかぁ」


皆そろって、拷問部屋へ。

いつもと違う、部屋の中、普段閉め切っている窓が開いていて

青い月あかりがもれている。

暗い部屋の中で、ろうそくがポツンポツンと床を照らし

梁から吊るされた、荒縄のあたりがスポットとなっている。


するすると美鈴さんに手伝われ、

服を脱がされた月子さんが

スポットの中央へ立つ。


女神の光臨した瞬間だった。


次回、三夜目 その十 月照らす へつづく。

>>三夜目 その十 月照らす
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<二夜目 あらすじ>


私は、薄暗く水道の水滴がポツンポツンと奏でる台所にいた。

砂糖に入っていない冷めたコーヒーを、口に含むたび先ほどのことをかみ締めていた。

苦味が口の中に広がり、後味の悪さを感じた。


「あれでよかったんかな?」

「あのまま、受け入れていたら、ミホは幸せになれたかも・・」


テーブルに両肘をたて、組んだ両手を見つめていました。


しばらくすると、背後に気配がして

背中をポンと叩かれた。

振り向くと源爺が立っていました。


「ごくろうさん、ミホさんは帰ったんか?」

「そんな暗いとこで、コーヒーを飲んでもうまないやろ」

「あっ、源爺。帰りました」


蛍光灯の明かりが青く、部屋全体を照らしました。

源爺に一部始終を話したあと、

私は言いました。


「これで、よかったんやろか?」


源爺は、への字口をして言う。


「わかるわけないやん」


「へっ?」


「そんなもん、誰にもわからんことや」

「はあ」


「ナルさん、あんたが決めて、ええとおもったんやから、それでええ」

「こういうもんはな、答えはない」


「あえて、むずかしい案件をまかしたんも、壁にぶつかって考えさせるためや」


「・・・・・」


「粋な捨て台詞言わすなんて、やるなぁ。ナルさんよー。あははは」


「捨て台詞なんて、罵倒されただけですよ」


「ホンマにそう思ってるんやったら、女心をもっと勉強せなあかんな」

「女心ねー」


私は、何度も鼻をつまんで口をへの字にした。


「もう、美鈴ちゃんの仕上げも終わったころやな」

「ナルさん、広間へ行くで」

「はい」


源爺のあとについて、広間へ向かいました。

広間で唯一の装飾である、墨一筆書きの丸を書いた掛け軸の前に立つ。


「ナルさん、この掛け軸には何が書いてある?」


「はい、一筆書きで丸です」


「そう、どうみても丸や。やが、ただの丸やない。人が作る丸なんや」

「相手を想って、手をつなぎ、またその人も手をつなぐ。

なんかの歌みたいやが、ハンド イン ハンドや。

全部つながるとまんまる。みーんな丸くおさまるって寸法や」


「あーなるほど」


「ミホちゃんも、アンタの気持ちを踏んで離れてくれたんや」

「気持ちを切り替えやすいように、罵倒してな」

「泣きつかれるより、嫌われたほうがええやろが?」


「あっ、ボクがそうしたつもりが、逆にされてたわけか・・・」


その時の私は、掛け軸の丸がミホの胸の先の敏感な塊に見えた。


「あーはーぁ。源ちゃん。なんとか終わったで」


美鈴さんが、拷問部屋から出てきました。


「これで、お客さんは終わりやな」

「えっ? まだ、時間も早いしまだお客くるんとちゃうんですか?」

「まあな、今晩はナルさんが最後の夜やし、餞別がわりにある人達を呼んでるんや」

「ある人達? 誰ですか?」

「ええがな、来た時のお楽しみや。9時すぎには来はるやろ」


拷問部屋の開いた戸から見える、柱時計は8時12分をさしていました。

毛布の小山がひとつあった。


拷問部屋の客を帰したあと、

源爺と美鈴さんは私を台所に残したまま

おたのしみ会を待つ子供のように、

ふたりは向かいあいながら

小声で「ひさびさに、楽しみやな」「うん、うん」

いそいそと奥の間へ向かっていきました。



ガラガラガラ。


「ごめんください」


玄関から声がしました。


私が出迎えると、そこには男と女が立っていた。


男は、きっちりと7:3に分けた髪に太い黒ぶち眼鏡。

薄い唇にこけた頬をしていました。

全身、黒のスーツ。シャツもネクタイも黒。

コートだけが真っ白でした。


女は、素材はわからないが、

フワフアした白い生地のワンピース。

くびれを強調している。

髪は栗毛で内巻き、

透き通るような白い肌、濡れた大きい目をしています。

こちらは、黒い鳥の羽をいくつも重ねたようなマフラーを首にかけていました。


「源さんに、青と月が来たとお伝えいただけませんか?」

と男が言いました。


三夜目 その九 ブルームーン へつづく。

>>三夜目 その九 ブルームーン