「女性ホルモン」を味方に!!

「女性ホルモン」を味方に!!

フェムテックとは、女性とテクノロジーを融合させた概念で、女性特有の健康課題をテクノロジーの力で解決すること。
このブログでは、特に更年期に焦点を当て、知識を通じて生活の質を向上させる情報を提供していきます。
 

 

今回は、婦人科で40代以上の女性の相談が多い「指の痛み・腫れ」についてです。私自身も悩まされ、2年ほどで第一関節が腫れてきました。

 

  自覚症状

 

B子さん、50代女性

 

・52歳の時に閉経

 

・ホットフラッシュ、意欲の低下、デリケートゾーンの乾燥感

 

両手の中指、人差し指の第一関節の痛み、腫れ

 (1か月ほど前から、チクチクと刺すような痛み。痛みで夜中に目が覚めることが何度かある。

 

  婦人科での診断

 

・更年期障害

 

・「へバーデン結節」の可能性

 

リウマチの可能性もある為、リウマチ科のある整形外科での受診を勧められた

その後、整形外科を受診し、血液検査の結果リウマチではなく、へバーデン結節との診断を受ける

 

治療薬がない為、エクオール製剤のサプリメントを紹介された。

   

 

  へバーデン結節とは

 

へバーデン結節とは、指の第一関節に痛みが生じ、変形し曲がってしまう原因不明の疾患です。

 

 

 

 

症状

 

・示指~小指(人差し指~小指)にかけて、痛み・変形・腫れがみられる

 

・第一関節付近に水ぶくれ(ミューカスシスト)ができることがある

 

 

特徴

・40歳以降の女性に多く発生することが多く、女性ホルモンの変化がかかわっている

 

これは、女性ホルモンのエストロゲンが「軟骨を滑らかな状態に保つ」働きがあるためと考えられる

 

 

診断

・第一関節の変形・突出・痛み

 

・レントゲン写真で関節の隙間が狭くなっている、関節が壊れている、骨棘(こつきょく:骨が変形してできるトゲのようなもの)

 

 

治療

 

・治療薬はない(ホルモン補充療法を取り入れるドクターもいる)

 

・指の安静や固定・テーピング

 

・痛みが改善しないときや変形がひどく日常生活に支障をきたす場合は、手術も選択肢

 

 

    

私の場合、急性期の痛みが強い時には指専用のサポーターやテーピングをし、できるだけ指を使わないようにしました。

また併せてエクオールを服用することで、2か月ほどで痛みが軽減。現在は痛みはなく、腫れも軽減しています。ミューカスシストはいつの間にか無くなっていました。

 

 

 

  まとめ

 

へバーデン結節は、中年以上の女性に多く見られる症状ですが、現時点では研究も進んでおらず治療薬もない状況です。

 

ネット上には様々な対処法が出ていますが、主治医と相談しながら症状の緩和を目指していきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

以前の記事で紹介した、更年期症状に悩まされるAさん。

婦人科で診察を受けた、その後の彼女の経過を見ていきましょう。

 

  Aさんの症状と漢方薬

 

【Aさんの自覚症状】

・疲れやすく、寝ても疲れが取れない

・なかなか寝付けず、眠りが浅い

・イライラして、つい家族にあたってしまう

・ジーンズを履いたり、自転車に乗った時にデリケートゾーンの不快感がある

 

上記の自覚症状について、Aさんはドクターから更年期症状であると言われ、漢方薬かホルモン補充療法(HRT)の選択を迫られ、漢方薬を選びました。

 

【処方された漢方薬】

「加味逍遥散」1日3回、食前または食間

※薬剤師より、食前とは食事前30分~1時間前だと説明され、食べる直前だと思っていたAさんは驚きました。また、漢方薬を飲むときは水かぬるま湯で飲むとよいと指導されました。

 

Aさんは漢方薬を飲みはじめ、約2週間が経つ頃に以前よりは眠れるようになったと感じました。ただ、他の症状については改善がみられません。

ドクターより、1か月程度は様子をみましょうと言われていたので、もう少し様子をみるつもりです。

 

 

  更年期の不調 薬以外でできること

 

 

Aさんは漢方薬を飲み始めたことから、薬を飲むこと以外に自分自身でできることはないかと考え始めたそうです。

Aさんからの相談を受け、私からは以下のような提案をさせて頂きました。

 

 

    

   幸せホルモンを増やす

 

   筋トレ

 

  デリケートゾーンの保湿

 

 

 

 

幸せホルモンを増やす

 

セロトニン

役割:不安やストレスを和らげ、精神を安定させる

方法:陽の光を浴びる、リズミカルな刺激を与える(散歩やジョギング、ガムをかむなど)

 

「朝はギリギリまで寝ていたが30分程早く起きて、近くの神社まで散歩に行くようにした。今までは仕事と自宅の往復ばかりだったけれど、定期的に散歩することで少し気分が晴れるような気がしてきた」

 

オキシトシン

役割:ストレスの抑制、痛みの緩和、免疫の滑性、血圧を下げるなど

方法:グルーミング(親しい人との会話やスキンシップ、バタフライハグ、動物をなでるなど)

 

「飼い猫が大きくなってからは抱くこともなくなっていたけれど、改めてスキンシップの時間を増やしてみることにした。身体を撫でてゴロゴロという鳴き声を聞くことで自然とリラックスできる」

 

 

筋トレ

 

更年期に多くみられる気分の落ち込みや骨量の低下などに効果があるのが、筋肉トレーニング。

筋肉や骨にある程度の負荷をかけることで骨密度を向上させ、骨粗しょう症のリスクを軽減します。

また、筋力の増強で日常生活が楽になり、身体全体のバランスや姿勢の矯正、自律神経の安定化が期待できます。

心身のストレス軽減により、睡眠の質の向上にも繋がりますよ。

 

「まずは朝の散歩と、お風呂の前のスクワット10回を目標に筋トレを始めた。徐々に慣れてきたので、少しずつ回数を増やしていこうと思っている」

 

 

デリケートゾーンの保湿

 

女性のデリケートゾーンの保湿は非常に重要です。

この部分の皮膚は他より薄く敏感なため、保湿によって不快な乾燥感や痒みを防ぎ、皮膚の健康を保ちます。

また、適切な保湿は炎症や感染症のリスクを減らすことにも繋がります。

一般的な保湿化粧品ではなく、デリケートゾーン専用に作られたものを使用することがおすすめです。

 

「デリーケートゾーン専用の保湿オイルをお風呂上りに塗るようにした所、1週間ほどで不快感を感じることがなくなった」

 

 

 

 

それでは今回から、実例を元に更年期に関する情報を説明していきます。

各事例の個人的な情報については、プライバシー保護のため脚色を入れていることご了承ください。

 

  事例1.  Aさん、40代女性

【患者情報】

Aさん、40代、既婚(中学生の娘・夫)、パート勤務

・疲れやすく、寝ても疲れが取れない

・なかなか寝付けず、眠りも浅い

・イライラして、つい家族にあたってしまう

・ジーンズを履いたり、自転車に乗った時にデリケートゾーンの不快感がある

 

【検査オーダー】

・経腟エコー(膣・子宮・卵巣を見る)

・血液検査(一般+女性ホルモン)

 

【ドクターよりの説明】

・女性ホルモンの値はまだ出ていないが、自覚している症状は更年期症状だと思われる

・病名は萎縮性膣炎(以前は老人性膣炎と言われた)

・治療の選択肢として、ホルモン補充療法(HRT)・漢方薬などがあるが、希望を聞かせてほしい

・デリケートゾーンの不快感については、保湿剤などを販売しているので使うとよい

 

【Aさん】

「やっぱり…更年期なんだ、治療を自分で決めろと言われてもよくわからない。具体的に説明してくれないし。ホルモン剤ってなんだか怖いから、とりあえず漢方薬にしておこう」

 

  更年期・更年期症状・更年期障害

 

更年期

閉経をはさんだ前後5年ずつの10年間をいいます。日本人女性の閉経の平均が50歳位のため、45~55歳ごろが更年期にあたると言われます。ただ、これには個人差があり45歳くらいで閉経を迎えるとすると、30代後半には何らかの不調を感じるようになります。

 

更年期症状

女性ホルモンの分泌低下による様々な心身の不調を言います。

 

更年期障害

心身の症状が重く仕事や家事ができない、寝込んでしまうなど、日常生活に支障をきたす場合を言います。

 

更年期には8割以上の女性が何らかの不調、不定愁訴を感じていると言われます。以前のように仕事や趣味に気力が湧かない、集中力が低下した、寝ても疲れが取れない…など

 

2割近い人は更年期の症状を感じなかったことになりますが、この人達にはいつくかの共通点があることがわかっています。

 

 

  更年期の不調の要因

 

更年期に不調が起きる要因は、いくつか重なっているほど重くなりがちです。ひとつでも取り除くことが、今の不調を改善することにつながります。できることからはじめましょう。下記の図のように、それぞれの要因が重なり合う部分が多いほど不調がひどくなりやすくなるでしょう。

 

卵巣機能の低下

原因:女性ホルモンの急激な現象

対応:婦人科で相談(ホルモン補充療法、漢方薬、幸せホルモンを意識的に増やすなど)

 

性格・気質

原因:生真面目な性格、ストレスへの感受性、抵抗力など

対応:適度な運動、カウンセリングなどでストレスをためないなど

 

環境

原因:仕事でのストレス、子育て、子育ての巣立ち、親の介護など

対応:環境の改善、人間関係の改善など

 

 

 

 

  まとめ

 

Aさんの事例でもわかるように、病院を受診して更年期症状だと言われ、どの治療を希望するかと聞かれてもすぐに判断することは難しいものです。ドクターもひとりひとりの患者さんに対応する時間は限られているため、それぞれのメリット・デメリットを丁寧に説明してくれることは期待できません。自分自身で治療についての知識を持ち、自分で選択できることが理想と言えます。

次回は、その治療のメリット・デメリットについてお伝えします。