遺言を残そうと思ったら-13(遺言能力) | サラリーマン弁護士がたまに書くブログ

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2019年7月にうつ病を発症したことをきっかけにブログを始めたサラリーマン弁護士が、書きたいことをたまに書いています。

 

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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。

 

僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。

 

ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。

 

あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。

 

ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。

 

【 今日のトピック:遺言を残す 】

 

今日も引き続き遺言について書いていきます。

 

さて、昨日は、遺言が「要式行為」であることを前提に、公正証書遺言だったら方式ミスがほぼ100%起きないから安心です、ということを説明しました。

 

遺言は「要式行為」なので、方式ミスがあったら、「遺言書」という題名が書かれていても、それはただの紙切れとなってしまいます。

 

例えば、自筆証書遺言は、パソコンデータをプリントアウトしてしまうと、方式ミスとなってしまい、ただの紙切れになります。

 

この知識って、今の時代では結構意外だと思います。他にも、押印が必要だとか、日付が必要だとか、そういう要件があって、どれか1つでもミスがあると、ただの紙切れになってしまいます。

 

しかし、公正証書遺言だと、遺言に書きたい内容だけ公証人に伝えて、公証人が、方式ミスをしないように遺言書を作ってくれるので、方式ミスはまず起きません。

 

だから、公正証書遺言なら、方式ミスを心配する必要はなく、安心です。

 

で、秘密証書遺言についても補足しておきますが、これは、遺言書は自分で作るので、方式ミスの可能性があります。

 

秘密証書遺言って、自分で遺言書を作成して、それを封筒に入れて公証役場に持っていき、封筒に公証役場で公証人の印鑑を押してもらうだけです。

 

だから、公証人は遺言書の中身は確認しません。そうすると、せっかく公証役場まで行っておきながら、遺言書の方式ミスについては自分で責任を負わなきゃいけないので、なんかコスパ悪いです。

 

公証人に遺言書の内容を教えたくないという要望もあるのかもしれませんが、公証人は、毎日数多くの公正証書遺言を作成しているので、いちいち遺言書の内容は覚えてられません。

 

確かに、公正証書遺言を作成すると、その遺言書の原本が公証役場で保管されることになりますが、公証役場も、誰にでも公正証書遺言を開示するわけではありません。

 

遺言を残した本人が生存中であれば、本人以外の誰にも開示しません。死後も相続人か利害関係のある人にしか開示しません。

 

なので、あんまり心配せず、公正証書遺言を作成するとよいと思います。

 

さて、やっと昨日の続きですが、遺言能力の話です。

 

まあ、「遺言能力」とだけ言われても意味分かりませんが、要は、遺言能力がないまま遺言を書いたとしても、その遺言は無効になってしまう、ということです。

 

さて、なかなか説明が難しいんですが、遺言じゃなくても、例えば、認知症で判断能力がなくなってしまった人が土地を売る契約を結んでも、それは無効ですよね?

 

というのも、契約が有効に成立する前提として、その契約の内容をきちんと理解できることが必要だからです。

 

契約の内容をきちんと理解できるからこそ、その契約内容に、契約当事者本人が拘束されるわけですから、認知症によって契約内容を理解できない状態で契約書に署名押印しても、その契約は無効です。

 

契約に拘束される前提となる理解力が欠けているからです。

 

漢字も読めない赤ちゃんが1000万円の土地を買うという契約を結んでも、それが有効なわけないですよね?

 

これも、契約を有効に成立させる前提となる理解力がないからです。理解力のない人が、どれだけ表面的には契約を結んでいたとしても(契約書に署名押印したとしても)、その契約を有効にするわけにはいかないんです。

 

(確かに、土地の売買契約書を隅から隅まで全部理解している人はほぼいないでしょうが、だからといって、契約が無効になることはありません。これは、↑に書いた理解力の話とは矛盾しているようにも思えますが、理解しようと思えば理解できるわけで、自ら理解しようとしなかった結果理解していないことを理由に、契約は無効だ!と主張することはできません。結局、実際に理解していたかどうかではなく、理解できるだけの能力があったかどうかが大切です。わざわざ言うまでもありませんが、「そんなの聞いてない!」とか「そんなの知らなかった!」という理由で契約を無効にできるわけありません。)

 

これと同じことが、遺言にも当てはまります。

 

遺言だって、その内容をきちんと理解していること(理解するだけの能力があること)が大前提です。

 

内容を理解できないまま(理解する能力が欠けているまま)書き残した遺言は無効です。だって、書いた本人が内容を理解できなかったからです。

 

遺言は自分1人で作成するので、自分で遺言の内容を理解できないまま遺言を作成してしまうなんて、いったいどういうことなの?という疑問も浮かびますが、実はよくあります。

 

というのも、遺言によって死後に利益を得られる人がいるわけで、その人が遺言をそそのかすことが、本当によくあるんです。

 

「そそのかす」という言い方はよくありませんが(笑)、まあ、遺言を書こうと思ったきっかけが、本人の気持ちじゃなくて、誰か他の人であるパターンも多いんです。

 

そうすると、自分がよくわからないまま遺言を書いちゃうということも起きうるんです。

 

今日はこの辺にして、続きは明日書きます。

 

それではまた明日!・・・↓

 

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