過払金を弁護士の僕ならどうするか-4(過払金の歴史続き) | サラリーマン弁護士がたまに書くブログ

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2019年7月にうつ病を発症したことをきっかけにブログを始めたサラリーマン弁護士が、書きたいことをたまに書いています。

 

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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。

 

僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。

 

ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。

 

あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。

 

ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。

 

【 今日のトピック:過払金 】

 

今日も引き続き、過払金について書いていきます。

 

さて、昨日は、1968年の最高裁判決について書いたところで終わっていました。

 

この最高裁判決は、貸金業者が、利息制限法に違反して高利の利息を取り立て、その結果、利息制限法に基づいて再計算したら、元本を完済しているどころか、それ以上に返済してしまっている場合に、元本以上に支払った金額を返してもらえるという、当たり前の話をしていました。

 

適法な利率で計算したら、元本が消えているどころか、「余り」が出ているので、その「余り」は貸金業者から返金するべきだよね、という「当たり前」の話は、既に1968年に認められていました。

 

今から53年も前の話です。昭和でいうと、43年です。

 

そうすると、過払金請求というのは、今現在、53年の歴史があるように思えます。

 

↑に書いたのは、感覚的に「当たり前」なんですが、その「当たり前」に対して、最高裁がお墨付きを与えたのが1968年です。

 

このお墨付きに基づいて、利息制限法違反の利息を返済してしまった人たちは、貸金業者に対して過払金を請求するようになったはずです。

 

ただ、どうもそうじゃなかったらしいんです。

 

いくら最高裁のお墨付きをもらえたとはいえ、当時は昭和43年です。

 

インターネットが普及していなかったどころか、コンピュータすら目にするのが難しい時代です。

 

今の時代は、「パーソナルコンピュータ」どころから、ひとりひとりがカードサイズの高性能コンピュータ(しかも常時インターネットにつながっている)を持ち歩いています。

 

せっかく、最高裁が過払金請求のお墨付きを与えたにもかかわらず、その考えが普及することはなく、利息制限法違反の高利貸しが横行していました。

 

しかも、今度は、国会が、↑の最高裁の結論に反して、高利貸しにお墨付きを与えてしまいました。1983年のことです。

 

なんと、利息制限法違反の高利貸しであっても、法律に定められた要件を満たす場合は、「過払金が請求できなくなる」という法律が国会で成立してしまったのです。

 

そもそも、1968年の最高裁判決は、「当たり前」にも思えるんですが、実はめちゃくちゃ画期的でした。

 

というのも、利息制限法には、利息制限法違反の利息を「任意に支払った」場合は、支払った利息のうち、利息制限法の上限を超える部分の返金を求めることができない、と書かれていたのです。

 

つまり、任意に(=自発的に)返済した場合は、利息制限法違反を知りながら、あえて返済しているわけですから、にもかかわらず、後から返金を求めるのはお門違いだよね、ということになっていたんです。

 

この「任意」という言葉が引っかかる人も多いでしょう。

 

「サラ金に言われるがまま返済しただけだから、利息制限法違反かどうかなんていちいち確認して返済していないよ!」という人がほとんどだと思います。

 

とはいえ、貸金業者との契約書に利率については記載されていますし、その記載に従って算出された毎月の返済額を、何の異論もなく支払っていたのであれば、それは「任意に返済した」ということになります。

 

もちろん、貸金業者が家まで押しかけて、無理矢理現金を奪っていったのであれば、それは「任意」ではないでしょうが、自分で現金を持して貸金業者の支店まで行って、そこで返済したのであれば、それが「任意」なのは間違いありません。

 

自分の足でで支店まで行って財布から現金を出しておいて、それを「無理矢理だった」とは言い訳できません。

 

振込で返済した場合もそうです。自分でATMなり銀行の支店なりに行って、自分で振込手続きを行っているのに、それが「任意じゃなかった(無理矢理だった)」と言い訳するなんてほとんど不可能です。

 

だから、基本的に、返済はすべて「任意」なのです。だから、利息制限法違反の利息が含まれていたとはいえ、返済してしまったのであれば、その返金を求めることはできない。

 

これが、利息制限法の結論でした。

 

とはいえ、最高裁は、この結論を「けしからん」と修正しました。

 

つまり、利息制限法を超えて返済してしまい、その結果、元本が消えたのみならず、貸金業者に「余剰」が出た場合、その「余剰(=過払金)」を返金できると、最高裁は認めたのです。

 

利息制限法を読む限り、返済したのであれば、利息制限法違反であったとしても、その返金を求めることはできません。

 

しかし、1968年の最高裁判決によって、この利息制限法は骨抜きにされ、その結果、利息制限法違反の利率で返済を続けた場合に、過払金の返金を求めることができるようになりました。

 

しかし、国会が、この結論を否定する法律を可決成立させてしまいました。

 

↑の最高裁判決から15年後、1983年のことです。ここについては、明日説明します。

 

それではまた明日!・・・↓

 

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