最近は月に1、2度しか更新しないが、
それでもいつも季節のことを気に留めてブログを書いていると、
昨年の今頃はどうだったのか、
よりその時の様子が記憶に刻まれるようになった。
本来ならば5月は1年で最も清々しい季節、
昨年の今頃もさらさらと風が流れていた印象があるし、
ブログにも描いていた。
今年は日中高い気温になる日が目立つせいか、
風が吹いていてもそれほどの心地よさを感じられないのが残念だ。
もっとも個人的には、5月前半いっぱい、日本より気温が低く、
空気の乾燥した海外の海辺の街にいたせいで
よけいにそう感じるのかもしれない。
それでも、早朝はまだまだうんと気温が下がっている。
今朝たまたま早く目が覚めたので、
夜明けのまだ少し薄暗い中、ジョギングをした。
ここまで早いとさすがに人を見かけることがほとんどない。
だんだん白みゆくあたりの景色と共に走っていると、
沈丁花の甘い香りを私の鼻がとらえていた。
あの心をとろかすほどの香りの甘さはたまらない。
どこかのお宅のお庭に咲いているのだろう。
香りのもとをたどるように、嗅覚を働かせて走っていくのもおもしろかった。
匂いがしなくなると、コースを変えてみたりして。
川沿いの道、水辺のすぐそばに黄色の杜若が群生していた。
土手の雑草もずいぶん勢い良く育っている。
植物の少ない早春の頃は、小さな雑草の緑や花にもきゅんとしていたものだが。
風のある日でもない日でも、季節は刻々と変化している。
ただ、ただ、季節を感じること、
それだけで、四季のある日本に暮らすことはなんと至福であることよ。![]()
I LOVE SEASONS![]()
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残念ながら、今年はあまり桜の季節を楽しむ時間の余裕がなかった。
しかしソメイヨシノなどの桜の花がすっかり散ってしまったとしても、
まだ八重桜などは遅れて楽しめる。
都内でも八重桜がまとめて植えられているところはけっこうある。
浜離宮などは八重桜の木が多く、
手まりのようなもこもこした花びらのかたまりは一重の桜よりももっと
愛らしい感じがして、
それらを見上げながら歩いていくのはけっこう楽しい。
庭園や公園でなくても、街路樹として八重桜が植えられてる場所もある。
その一つが、赤坂見附交差点を背に弁慶橋を渡って
紀尾井町に向かう通りの両側に、
並木として植えられている八重桜である。
早朝散歩で思いがけなく足を踏み入れて、
初めてここの八重桜に出会った時の印象が忘れられない。
まだ夜が明けようという時間帯。
次第に白んでいく空に半分溶け込んでいるような
うす桃色の花がぼんやりと浮かんで幻想的だった。
あたりには誰もおらず、この通りの眺めを独り占めしたのだ。
よくデザインされた東京の街は本当にどこをとっても美しい。
しかし、普段の人の多さや喧騒はせっかくの景観の良さも半減させてしまう。
でもこのような人気のない時間帯や、休日のオフィス街で出会う
東京とは思えないひっそりとした景色は
いっそう非日常感があおられて、
やはり都会でしか味わえない、私の密かな楽しみなのだ。
とはいえ、お天気の良い日のランチか午後の時間帯に
通りの中ほどにあるフレンチカフェレストラン、
オーバカナルのテラス席に座って、満開の八重桜をコーヒーや食事と共に
楽しむというのもとても捨てがたい選択だったりはするけれど。![]()
I LOVE TOKYO![]()
早春の喜びをもっと書きたいと思っていたのに
日常にただ忙殺されているうち、
桜の満開はもう秒読み段階である。
今日などは本当に春本番を思わせるうららかな日和。
今この瞬間にも次々とソメイヨシノの蕾はほころんでいることだろう。
満開の桜は待ち遠しくもあり、
咲いたものは散っていくのが道理と思えば、
待ちわびる今この時が一番心が高揚するようにも思え、
まだ来てほしくない心持ちもするのである。
冬の間、景色は他の季節よりは色を失っているが、
乾燥した晴天の日が多い東京では空の青さが際立ち、
太陽の光も澄んで清らかに感じられる。
葉っぱを落とした木々は風景を広く見せ、
様々な形の枝ぶりを見て歩くだけでも楽しく、
冬の散歩とて、けっして退屈などしない。
そうして日を重ねていくうちに、いつの間にか春は着実に近づいてくる。
この冬から春にかけての微妙な変化を感じていくのが
早春の頃ならではの愉しさなのではないかと思う。
日本の春の主役はなんといっても桜だろうが、
桜が咲く前には、梅や桃や木蓮など、けっこうな数の木の花が
枝の上にいつの間にかできた硬い蕾から少しずつ膨らんで、
しまいには咲き乱れているのを繰り返しているし、
足元を見れば、菜の花や薄紫のハナダイコンの花が地上に色を添え、
もっと名もない植物が知らないうちに
緑濃く地面を覆っていたりする。
早春の変化は見て感じるものだけではない。
ヒサカキか沈丁花か、あるいはいくつかの植物があわさった匂いなのか、
誰もが知ってる独特の春の匂いに鼻をくすぐられるとなんともいえない気分になるものだ。
そして空に響く音にも変化があり、
春の鳥の美しい鳴き声も耳を刺激してくれる。
そんな鳥を目で追うのも楽しい。
こういった季節の変化はさらにどんどん続いていくわけだが、
なぜこんなにも私には早春の変化が愛おしく感じられるのか。
やはりそれは、冬からの厳しい気候条件でも、
微かな変化をとらえて感応する自然の愛おしさと
満ちる春の前の、期待に膨らむ喜びとでもいおうか。
さて、自然というイメージはまるでない大都会東京でも、
意識的でありさえすれば、
十二分に季節の変化を感じることができるのです。
東京にも大小の公園や住宅街に植えられた雑多な植物があり、
ビルの間に美しくデザインされたガーデンや緑地にも
さまざまな木や草花が植えられているのだから。
東京にいるほうが自然豊富な場所にいるよりも、
かえって限られた自然の変化が愛おしく感じられるのかもしれません。
ことに早春のちいさな足音が。![]()
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I LOVE SEASONS![]()
(3月30日)
どんなに人工物に覆われた都会にあっても眺められる揺るぎない大自然は、
「空」
空を眺めるのが大好きです。
だから彩雲を見つけるのは得意です。![]()
新年早々、信じられないほど美しい彩雲を見ました。
ほんのわずかの間に次々と形を変え、
気がつくと跡形もなく消えていました。
彩雲どころか雲さえもどこかへ行ってしまい、ただ透明な青空が広がるばかり。
まるで夢を見ているようでした。![]()
あまりにも短い間だったので、きっと限られた人しか発見しなかったでしょう。
年が明けたばかりで幸先のよいこと。
神々しい彩雲は、天からの祝福のメッセージだったと勝手に思っています。![]()
写真を見れば、皆様にも祝福の光が降り注ぐことでしょう。![]()
(撮影 2017年1月2日 東京西部にて)
異邦人
ー君は誰を最も好むか、謎の男よ、父か、母か、妹か、弟か?
ー僕には父も、母も、妹も、弟も、ない。
ー友人は?
ー君は今日まで僕にわからぬ言葉を使う。
ー祖国は?
ーそれがいかなる緯度にあるか僕は知らぬ。
ー美人は?
ー女神で不死の美人ならば、進んで愛しもしようが。
ー金銭は?
ー僕はそれを憎悪する。君が神を憎むがごとくに。
ーふむ、では一体何を好むのか、不思議なる異邦人よ。
ー僕は好む……流れ行く雲を……見よ、あそこに……あそこに……すばらしい雲が!
(C・ボードレール/佐藤朔訳)
都心方面から初めて鎌倉を訪れる人がいるならば、
あるいは、外国人を鎌倉へ案内するならば、
電車で、まずは北鎌倉に降り立つべきである。
東京や横浜の大都市をくぐり抜けた車窓の景色が
北鎌倉の駅に停車した途端一変する
あのタイムスリップしたような感覚を
ぜひ味わってほしいと思う。
ホームに出れば、古都の圧倒的な雰囲気に包まれて、
知らずにたまっていた都会のストレスのようなものが
一気に払われるようである。
より商業的に発展した大きな鎌倉駅に先に降り立つよりも
ここでは純粋な鎌倉らしい趣を楽しめるのではないかと思う。
北鎌倉駅周辺には、大きなお寺が集まっている。
一番近い円覚寺は駅のすぐ目の前と言ってもいい。
小さな駅舎を出て、踏切を渡れば、もうそこは円覚寺の入り口だ。
紅葉の見頃を迎え始めたこの日、午前中の澄みわたった空気の中、
境内にたくさん植えられている赤い紅葉が青空に映えて美しかった。
広い円覚寺ともう少しだけ北鎌倉を散策した後、
再び電車で一駅乗って鎌倉駅に向かう。
鎌倉の魅力は古都だけではない。海が近いのも魅力。
実はこの日鎌倉に来たのは、海風に吹かれたかったのもある。
(つづく)
(11月下旬のある日)
威勢のいい掛け声や賑わいが満ちる朝や昼の築地のイメージとはかけ離れて、
夜の築地は、明かりも少なく驚くほどひっそりしている。
ちょっと立ち寄ってみた場外市場も、ほんのわずかのお店が開いている以外は、
全体が闇に包まれ、水を打ったように静かだ。
そんな築地市場から夜のお散歩気分で、やはり閉門して沈黙しているかのような
築地本願寺の前を通りすぎ、広いもんぜき通りを渡った後、裏路地に入る。
車の往来からも解放されて、
見上げると、まあるい月が明るく輝いて見えた。
中秋の夜気は徘徊には心地良い涼しさで、歩くのが苦にならない。
ほどなくして、そのBARは見つかった。
かつて料亭だった建物をうまく生かしている小粋な佇まい。
表は塀で覆われているが、入り口付近だけ四角く切り取られて
美しい店内が垣間見れるようになっている。
繁華街の夜の喧騒とは別世界のここは、築地5丁目。
静かな路地裏で、古風な建物の内側に煌めいている幻惑的な光に
心奪われずに通りすぎることができるだろうか。
幸いにして、ここはまさに私の今夜の目的地。
躊躇することなく店内に足を運べるのだ。
とはいえ、初めての訪問なのだけれど……。![]()
店内は、すでに高揚した私でも期待以上の魅惑的な空間だった。
もともとの和の建築美と洋風インテリアが見事に融合。
落ち着いた雰囲気の中にも、まばゆいシャンデリアが妖しく光っている。
中央にはゴージャスなフラワーアレンジメントが、
グランドピアノの上にダイナミックに飾られ、華やかさをいっそう演出している。
そして、お店の目玉のひとつは、この中央に置かれたグランドピアノ。
ここは、ピアノの生演奏が聴けるBARでもあるのだ。
インテリアの美しさやお酒だけではなく、音でも客を酔わせてくれる。
演奏はリクエストも受け付けてくれるのだ。
このムードの中でお気に入りの曲に耳を傾けられるとは、なんという至福。
お店のスタッフも気取りがなく気安くいられるので、ついつい長居してしまいそうだ。
こんなに素敵なBARだが、実は私のような女性客が気軽に入れるのは
土曜日の夜だけ。
なぜならここは普段は、ホステスさんが接待をする男性客メインのお店だから。
聞けば平日は接待で大繁盛の模様。
企業がお休みの土曜日1日だけ、ジャズピアノの生演奏と共に、
全く別の空間へと生まれ変わる。
土曜日だからこそ、このしっとり落ち着いた雰囲気が味わえると言えそうだ。
ここまで読んでいただけると、このお店の名前を知りたくなるに違いない。![]()
しかし、店名は実はすでに登場しています。
BAR、ただそれがお店の名前。![]()
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ジャズピアノの音色と共に、秋は深まっていく……。
I LOVE TOKYO![]()
(2017年10月15日)
青葉の頃の風が1年でもっとも心地がよい
と思っていたが、
秋風に吹かれてみれば、これが最高と思える。
夏のあいだの過剰な熱をしっかりと覚えているからだには、
ひんやりした秋風はいとおしいぐらいに感じられるのだ。
かと言って、春や初夏の風よりもっと乾いた感じがして、
こちらの恋しさを置いてきぼりに、
よそよそしくサーッと早足で通り過ぎていく。
そんな風は他の季節よりもやはりメランコリックな気分を誘うかもしれない。
ましてや、日が暮れかけた時刻、
仕事帰りのオフィスワーカーたちが行き交う青山一丁目界隈。
仕事を終えてほっとする人たちの心の隙間にも秋風は染み込んでいくのだろう。
私といえば、青山通り沿いに並ぶ、ツインタワーの店々のショーウィンドウに
魅了されながら、ぼんやりと歩いていた。
お店の明かりがくっきりしてきて、もう夜のとばりが静かに降りてきていた。
道路の反対側に目をやると、背の高いオレンジ色の街灯が
風にあおられるポプラ並木を照らし出していた。
その奥には、赤坂御所をとり囲む森の木々が
こんな交通量の多い通りにあっても、
広い御所の静寂の闇を吸って、厳かに鎮座している。
さて、青山一丁目の交差点に出て、私の本来の目的地は、
交差点をホンダのビルのほうに渡って、そのまま左手にいくのだが、
広い青山通りを渡る秋の風をもう少し感じてみたくなり、
右手の幅広の横断歩道を、子供っぽい遊び心で渡ってみた。
おかしな告白をしてしまえば、私はこの横断歩道を渡るのが好きなのだ。
特に、今の方向とは反対に
地下鉄青山一丁目の1番出口側からホンダビルに向かって渡るのがいい。
もっと言えば、地下鉄の1番出口から地上に出る瞬間から好きだ。
なんだかとても開放的な気分で渡れる横断歩道なのだ。
オフィス街ということもあり、外苑や表参道よりも、ゴミゴミしてない感じがいい。
東京の交差点といえば、有名なのは渋谷のスクランブル交差点。
そのカオス感が外国人にはウケてるようだが、私はまったく足が向かない。
しかし、ここ青山一丁目の交差点を渡って、人混みにまぎれるときに
微かに感じる妙な安堵感は、
とびきり安全な東京という都市だからこそ。
初秋の宵闇迫る時刻、その群衆に埋没する感じを好んで、
横断歩道を1往復余分に渡る私は、メランコリックというよりも
ちょっとおめでたい![]()
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(10月上旬のある日)
長く秋雨前線が停滞する今年の9月の後半、
今日も朝から絶え間なく聞こえるのは雨の音。![]()
雨の日は、晴れの日のようにテンションは上がらないけれど、
心を落ち着かせる作用もある。
デスクワークもじっくり集中して取り組める気がするものだ。
ふと、気分転換に、クラシカルなピアノ曲をかけてみた。
なんと思いがけなく、
このピアノの調べが雨の情景や、雨音にものすごくマッチするのだ。
ユーミンが書いた、「雨音はショパンの調べ」とはさすがの表現。
音楽の力だけで、少し沈み気味の室内が、
しっとりと美しいヴェールに包まれたようなマジック。
ピアノ曲を聞きながら、窓越しに見える植物の葉が雨に打たれるさまを
ぼーっと見るともなしに見ていると、軽い瞑想状態になる。
雨の日はこんな瞑想法もありだなあ……。![]()
ありがとう、浄化の雨![]()
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