毎年お盆の前に夏休みをとって東京から脱出してしまう人は
決して知らない。
お盆の東京の空気がいつもより澄んでいて
都会とは思えない静けさが漂うことを。
そんな変化にさえ気づかない人もいるかもしれないが、
いつもどおりの景色を眺めていて
なんとなく気分がよくなるようなことがあったら、
そのせいだと思うのだ。
だからこの時期の東京は、
普段は混雑する人気の場所も、
案外空いていたりする。
代官山蔦屋は私の大好きな場所だが、
休日は特に人が多く集まり、落ち着かないので
めったに行くことはない。
しかし、このお盆あたりの時期は例外である。
人もまばらで、とてもくつろげる場所となる。
だから私は好んでこの時期に訪れる。
レストランやショップを含む広い敷地には緑が本当に多くて
外気の暑さのことを忘れられれば
どこかの高級リゾート地にいるような錯覚さえする、
東京で最も美しい場所だと思う。



レストランのテラス席は、さすがにこの時期は避ける人が多い。

蔦屋の対面のカフェや建築も美しい。
さて、本や雑誌や小物を一通り見てまわって、
私が最後に腰を落ち着ける場所は、
中央の館内の二階にあるラウンジ、Anjinである。
広いスペースに居心地のいいソファがあり、
ドリンクやデザート、食事をも楽しみながら
ゆったりとした時を過ごせる。
Anjinに入店したのは、まだランチタイムの時間。
ナポリタンとコブサラダを注文して夫とシェアした。
こういったラウンジの食事にしては、
ボリュームがあってちょっとした驚き。
お味も質が高く、ドリンクまでついて
代官山という場所とお店の雰囲気を考えると
とてもリーズナブルに思えてしまう。
ランチタイム以降の入店なら、
この期間のお薦めは、なんといってもビッグサイズのかき氷。
日光の天然水を使い、
いちごを煮詰めた手作りジャムがおいしい。


店内の四方の壁が本棚になっていて、
ぎっしり並べられたたくさんの蔵書は自由に閲覧できる。
有名雑誌のバックナンバーもたくさんあり、
夫は、学生時代に読んでいた「ポパイ」を見つけてきて
青春時代へちょっとタイムスリップしていたようだ。
あとから入ってくるお客のことをあまり気にせず
長居できるのが、このシーズンならではである。
さすがに長時間本を読むのにも飽きてきて、
表に出ると、すでに夕闇迫るころ。
都心とは思えない喧騒の少なさが
夕暮れをいっそう美しく感じさせてくれた。

I LOVE TOKYO