私達が突然押し掛けたのにも関係なく、伸太さん宅で開かれた夜の宴。
小学生時代の伸太さんが私に
「未来を見て来たよ」
と、得意気に話してくれた画とは違うけど…。

そこには確かに大人になった男性三人が飲み明かす姿があった。
私と伸太さんとの結婚を祝う前夜祭じゃなかったけど…。
遥かインドの土地で、ゾウ使いとイモ農園の主として一人前の男性になっていたことに、武さん、周音夫さん、英才さんは手荒な歓迎をした。
私との仲を祝福した未来ではなかったけど、皆がドラちゃん抜きで伸太さんを一人前の男性と認めたこと。それこそが私が最も望んでいた未来だったのかもしれない。
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エムポパさんは
「伸太は子供の頃、シズカと会社ごっこして楽しかったと話してたよ。
全然儲からなかったけど、自分が社長でシズカが秘書。それだけで良かったんだ」と。
私も同じ想いでした。
「なんでも引き受け会社」
を立ち上げて、伸太さんは儲けを山分けしようと言ってくれたけど、私は小さな男の子の役に立てただけで満足だった。

そう、私は自分が皆の役に立つことで、皆の成功に繋がればそれで良いと願ってたのね…。
夏休み恒例の冒険?では、伸太さんは異世界の男と仲良くなり、武さんは身体を張り、周音夫さんは機転を利かせた。
残った私がトラックのハンドルを握らせらたくらいだ(笑)。

うん、私は誰よりも皆の成長と活躍を望んでいた。誰よりも伸太さんの…。
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宴が続く中、もはや本来の目的を忘れて?歌のバックバンドとして、ムード盛り上げ楽団を起動させた私。
伸太さんの素直な心は…。
「大使館職員の雁野は僕らのクラスメートのガリベン君だよ。皆憶えてなかったみたいだけど…。
僕はあいつをも守りたい。
皆、協力してくれないか?」
「ガリベン雁野が大使館職員だったらなんだっつーの?
明日の会談で、俺達の仲間じゃなくとも、自分の仕事をするだけだろ?」
「彼なら…出来杉への妬みから蛮行に及ぶかもしれない。
わかった。僕も会談に出るけど、狙撃手として身を潜めてあいつを見張るよ。」
「それなら私の四次元ポケットの中に隠れたら?」
続