旧古河庭園のバラフェスティバルについてはすでに書きましたが、ここでは日本庭園について書きます。

旧古河庭園は斜面を利用しているので、洋館の下に洋風庭園、その下に日本庭園が位置するという3段構造になっています。


バラフェスティバルで混んでいる洋風庭園から坂道をくだると、まったく風景が変わります。

これは驚きでした。

そしてバラが主役の時期ですから日本庭園はガラガラで、その風情をゆっくりと味わうことが出来ました。

日本庭園の一番上から洋館を見上げられます。


日本庭園は小川治兵衛作庭で、心字池を中心に枯滝・大滝・中島を配しています。

水面にみどりが映り、なんて綺麗な事でしょう。

心字池は「心」の字に似せて造った池で、日本庭園の中心。鞍馬平石や伊予青石などで造られ、「船着石」があります。ここは池を眺めるための要となる所で、正面には「荒磯」、雪見燈篭、枯滝、石組、そして背後には築山が見られます。

 



大滝

10数mの高所から落ちる滝。園内のもっとも勾配の急な所をさらに削って断崖とし、濃い樹林でおおって深山の渓谷の趣をだしている。
曲折した流れから始まり、数段の小滝となり最後は深い淵に落ちるという凝った造り。以前は井戸を水源にしていたが、水源が枯渇し現在は井戸水と池水の循環でまかなっている。


水を使わないで山水の景観を表現する「枯山水」の道具立ての一つが枯滝。心字池の洲浜の奥の渓谷に、御影石や青石、五郎太石などで造られている。


周囲には他にも見どころがあります。


黒ボク石積  富士山の溶岩で、多孔質で軽く加工もしやすい。山の雰囲気が出る為、主に関東で石組みとして用いられることが多いが、石垣状の物は珍しい。


崩石積  石を垂直に積む方法は数あるが、これは京都で発達した伝統的な工法。崩れそうで崩れない姿が美しいとされる。


灯篭は数々あり、その種類の違いを見るのも面白いと思います。

春日型灯篭  もっとも古い形式の灯篭で、六尺(1m80㎝)を標準とする。

図柄は奈良の春日大社の神獣であるs歯科と鳥居を組み合わせたもの。


太平型灯篭 名前のごとくどっしりとした形。 蕨手(笠の縁がわらびのように渦巻き状に反ったもの)は角柱のようにごつごつとして、竿は太く節も3つある。


濡鷺型灯篭(ぬれさぎ) 笠が厚く反りがない。 図柄は「濡れ」を文字で「鷺」を絵で表現するもの、「濡鷺」を文字で表現するものの2種類がある。


十五層搭  語源はスツーパ(積み重ね)から来ていて、現地では仏塔の一種であるが、にほんでも石塔は塔婆と同じ考え方で用いられる。


奥の院型灯篭

 

17時について洋館の周りのバラと洋風庭園のバラを40分ほどで見て、日本庭園を30分ほど。日本庭園のライトアップが始まるという放送が流れたのが18時。まだ明るいのでこのころは見ためはほとんど変わりませんが、足下が危なくなるので日本庭園の一部は立ち入り不可能とされるようです。

洋風庭園のライトアップはその日の日没からです。18時40分までもう一度バラ園の気に入ったものを観て売店のアイスを買って椅子にすわって30分ライトアップを待ちました。その間遠目からこの庭園全体を見て楽しみました。

座っていた辺りから見たのが下の写真です。洋風庭園と日本庭園の間の斜面が良く分かります。

旧古河庭園は、まったく異なる文化の庭園二つを見事に作り上げている見事な場所でした。