どんなことも人生前向きに | トランジットガールズ Another Story ♬novel♬

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ドラマ トランジットガールズの未来の物語。

変わらないよ・・・。
私はずっと変わらない。

前半の撮影が終わり、ゆいたちは遅めのお昼に入った。サツマイモづくしの定食を食べているとスタッフから次のロケ先が停電になったと連絡が入った。

結局代替の施設も煽りを受けたようで、復旧が難しいとのことで中止になった。小百合からのLINEが気になっていたゆいは、講義終了のタイミングで小百合に電話を掛けた。ロケの事情と産直で野菜を買ったこと、そして小百合の体調を気にし、晩ご飯はゆいが作ることを話した。

「じゃ、仕事上がる頃連絡するから。また後でね」

ゆいは卓人のマネージャーと話をし、明日は予定通り横浜のスタジオで撮影を行うことを確認した。そして他のスタッフさんたちにも挨拶をし、車に乗った。

「ちょっと待ってね。先生とこに電話するから」

ゆいはこれから横浜に戻ることを話すと、今どこにいるのかと聞いてきた。

「今、館山の道の駅ですけど」

「じゃ~さ~♪」

ゆいはお使いを頼まれるが、それはゆいはスタジオにと買った手土産と同じものだった。

「ゆいさん気が利くわね♪ありがとう!ゆっくり急いで帰っておいで」

・・・どっちだ?

「さっき買ったびわのゼリー、先生が食べたかったらしい。ちょうどよかったけど、まさか全部持ってくとか言わないよね」

「まさかぁ・・・ヤバいかも。まだ時間ある?今度は私買ってくる。さち、行くよ」

二人が急いで買いに行った隙に、ゆいは小百合からの手紙を読もうと財布から取り出し広げた。

「わっ!」

一枚の便箋だが少々小さな字でびっしりと書いてあった。

主に日曜のことだが、時計のことや新居のことなど、全部がこれから楽しみだと書いてあった。ただ、今のアパートは小百合も思い入れがある。まだ引っ越す実感はないが、これから事が進むにつれ淋しくなるだろうと、当時のことを振り返ったことが書いてあり、小百合にそれだけの思いがあるなら、ゆいも当然小百合と同じように思うこと感じることがある。

淋しくなるとは書いてあるが、前向きな気持ちが綴られていた。

『これからいろいろとお金が掛かるけど、ゆいが負担になるような、無理をするような生活にならないように私も頑張るから。だってこれからも一緒に暮らしていくんだから』

「もう十分頑張ってるよ。それ以上頑張ったら体壊しちゃうよ」

今のその言葉、家に帰ったら同じことを言うことになる。

「私も頑張らなきゃ・・・あっ、お帰り」

由紀とさちは他にも何か買ってきたのか大きな袋を抱えてきた。何かと聞けば明日の撮影の差し入れだという。あきに電話を掛け、経費になるのか聞いたらしい。

「5000円までならOKって言ってくれたからご当地煎餅も買ってきた」

「差し入れも?さすが!ありがとう!」

「で、これ小百合ちゃんにだけ買ってきた。ご当地のばかうけ」

「何で?いいの?嬉しい!小百合絶対喜ぶよ。ありがとね、ちゃんと渡しておくから」

買い物も無事に済ませ、これから横浜のスタジオへ帰る。

 

この時間、小百合は韓国語の講義中。この頃何とかついていけるようになってきた。そうなるまで半年も掛かったということは上達は遅いと実感。

そんな講義も終わり、ゆいを待つ間、小百合は図書館で翻訳の課題をするため席を立った。

「ゆいから連絡があるまで図書館で課題やりながら待ってるから」

講義室の前で別れた小百合は、今日の予定が変更になったことで、少し長めの待ち時間。図書館へ行く前に生協へゆいへに食べてもらいたいお菓子のアソートを買いに行った。