つらい時は正直に | トランジットガールズ Another Story ♬novel♬

トランジットガールズ Another Story ♬novel♬

ドラマ トランジットガールズの未来の物語。

変わらないよ・・・。
私はずっと変わらない。

やらなきゃいけないことがいくつも重なると小百合はどうしていいのか分からず、心の中がパニックになってしまう。出来もしないのに詰め込んだ自分が悪い。しかし自分で自分を責めても現状は変わらない。ゆいから優しい言葉をもらった小百合は、甘えさせてもらおうと授業前にゆいにLINEを送った。

ゆいはサツマイモの炊き込みご飯を食べながらスタッフさんたちと談笑。携帯のバイブで画面をチラ見。小百合だと分かると口をモゴモゴしながらそのLINEを読んだ。

『ゴメン、今日晩ご飯作るつもりだったけど止めていい?買い物もちょっと止めたくて。だから晩ご飯、今日は食べに行かない?』

それは構わないが、ゆいの帰りは遅い。それにこんなことを言ってきたのは初めてのこと。どこか具合が悪いのかと心配する。直接電話を掛けたいがもう授業は始まっている。返事が来ないことを承知で心配のLINEを送った。

『何でこんな時にロケなんだろう、しかもクッソ遠い千葉って!早く帰って小百合の顔が見たい』

当然帰れるわけもなく、ゆいは無言でサツマイモの天ぷらをかじった。

 

「葉山さん、ちょっと今いいですか?」

午後からの撮影場所を調達してくれたスタッフさんが変更のお知らせを持ってきた。別荘を借りたが停電してしまい、復旧の目途が立たないと言ってきた。

「それで、代わりの別荘を用意すると言ってくれたんですけど、そこも割かし近い場所なので、もしかしたら停電してるかもって」

いやいや。代替を用意するのなら電気が通ってるのかまず先に調べてから!でしょうが。ゆい、心の叫び。

「分かりました。もし停電してたらどうしましょ」

「そうなったら中止にして今日の残りを予備日の土曜に回したいと」

ゆいは心の中で中止を願う。撮影日が延びるのは嫌だが、今日ばかりは土曜日に回してほしい。そしたら小百合のところに行けるから。

「分かりました。全面お願いしちゃいますけど」

出された料理は完食したがお美味しかったような美味しくなかったような。

一旦店を出て、駐車場で待機。確認に時間が掛かると言われ、由紀たちと産直コーナーを散策。

冷蔵庫が空っぽなのでここぞとばかりにカートに野菜を入れていく。

「ゆいちゃん、そんなに買ってロケ再開したらどうすんの?」

「これくらい大丈夫でしょ♪」

小百合の好きなサツマイモとジャガイモも。葉っぱの付いた大根も選んでは小百合が喜んでくれる姿を想像した。

休憩じゃない時間を使わせていただいたということで、スタジオへの土産も忘れずに。

「ゆいちゃん、それは私も払うよ」

「大丈夫。私の勝手で寄ったんだから」

そこにゆいを探しに来たスタッフさんがゆいを見つけ走って来た。

「葉山さん、今日のロケ中止になりました。停電の原因が大ごとみたいで復旧は夜になるそうです。なので今日はこれでお疲れ様です」

結局残りの撮影は土曜日にずれた。

 

「私スタジオに電話してくる」

時計を見たゆい、もしかしたらと先に小百合に電話を掛けてみた。その小百合、授業が終わりユイたちと合流するため移動中だった。

突然の電話に小百合は驚き、何かあったのかといきなり『どしたの!大丈夫?』と声を荒げた。

「大丈夫??うん、大丈夫♪今日後半のロケが中止になったの。で、産直で野菜買ったから。今日一緒に帰れるよ。それより小百合、具合悪い?晩ご飯は私が作るから心配しなくていい」

ゆいの一報に小百合は自分でも分かるくらいに顔が赤くなる。

「ごめん。待ってる!待ってるから。」