恋はドライに? | トランジットガールズ Another Story ♬novel♬

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ドラマ トランジットガールズの未来の物語。

変わらないよ・・・。
私はずっと変わらない。

無駄な時間だったとは後になって気付くもの。そんな時間を消すように小百合は亜衣と弥生の連休中の話を聞いた。

小百合は聞きながら思う。せっかくの連休なのに弥生は一幸と遊びに行かなかったのか。亜衣はけーちゃんとホテ・・・。それこそ下世話で大きなお世話だ。

日曜日はバイトの後二人で一週間分の買い出し。そして昨日は八景島シーパラダイスに言ったと話してくれた。

連休なのに?お互いデートじゃなくて?やっぱりそう思い、思わず口から出た言葉は『一幸君は?』。

休みだからって必ずしも一緒にいなきゃいけないことはない。お互い一人でしたいこともあるし、付き合いってもんもあるだろうから。でも彼氏がいれば普通はデートじゃないのかと思うのが自然。案の定、

「毎日一緒にいるとさ、たまには友達と遊びたいと思うだろうから」

小百合はゆいとずっと一緒にいる。それも平日の授業がある日以外全てだ。一緒に暮らしてるのだから当たり前だが誰にも指摘されないので気にもしてなかった。

ただ、自分でも気付いてることもある。ゆいに対してはまだ恋に恋してる気持ちだということ。それがいいのかいけないのか小百合にはまだ分からない。だって真剣に好きになったことが初めてだから。時には理性を失うことも。ゆいも同じような気持ちでいてほしいと思うが、ゆいには言えない。

昨日もゆいのロケに同行した。それはゆいと一緒にいたいからじゃなく、そこは語弊があるが、授業がない日にゆいの撮影がある日は必ず同行すると決めているので、よほどの用事がない限りはゆいに就いている。誰かが聞けば変だの気持ち悪いだのあまりいいことは思わないだろう。

弥生の言葉に小百合は『そうだね』と言うしかない。でもゆいとの関係を知っている亜衣は小百合の表情に気付いていた。

講師が来たので話はここまでだったが、小百合は弥生の言葉であることを思う。それは次に引っ越す部屋に宛がわれた自分の部屋のこと。ゆいはいつか必要な時が来ると言った。小百合は自分の毎日を振り返り、授業を受けている時間以外の頭の中はゆいのことばかりで、何かにつけてはゆいと絡んで考えてしまう。もしかしたらゆいはそれじゃダメだからと言いたいのか。四六時中一緒にいたんでは二人ともダメになってしまう。だからゆいは部屋を作ってくれたんだろう。

ゆいとしてはきっかけがあったことだが、将来を考えるとそうした方が二人の関係が長続きすると思っての判断だった。それでなくても卒業までまだ1年以上ある。テスト勉強も、それこそ卒論だって今のようなワンルームじゃ集中できないだろう。いずれにせよ、ゆいの判断が吉と出るのは再来年年明け早々。地球規模で襲ってくる、あの恐ろしいウィルスが直撃することで、引っ越しを決めて良かったと思う日が来る。

 

スタジオでは衣装チェンジを兼ね少しの休憩をとる。小百合からのLINEで疲れを癒したいが来ていたのは仕事のことばかり。そこそこの多さに映からのLINEを一瞬見過ごしてしまう。

「ん?気付かなかった・・・」

『電話で話もしたいけど、直接会って聞いてほしいんだけどいつならいいかな?』

益々ゆいは、映が健斗のことを好きになったんだと感じる。実際は全く違うが、このままいけば映の気持ちは恋に変わるかもしれない。

「さてと。そろそろ時間かな」

ゆいは時間を調節すると返事を送り、小百合に相談のLINEを送った。