下世話な話もほどほどに | トランジットガールズ Another Story ♬novel♬

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ドラマ トランジットガールズの未来の物語。

変わらないよ・・・。
私はずっと変わらない。

昨日から始まった写真集の撮影。今日も幸先のいいスタートで始まり、ただいま後半戦。

映から相談とも取れるようなたった一言のLINE。健斗のことで何か知りたいようだが、YesかNoだけの返事が出来ない中、卓人が言った通り健斗からゆい宛にLINEが来た。小百合は元気かとついでのように聞いてきたが、最初は気にも留めてなかった。しかし本当に社交辞令だったのかと、余計なことを勘ぐってしまう。

「気にしてもしょうがない。切り替えていこう」

次の衣装はTシャツにダメージジーンズ。ちなみに、このジーンズのお値段なんと20万円。ダメージの付け方にこだわりがあるようで、ゆいは教えてもらったがいまいちよく分からない。スタジオカメラマンたるもの、こんなことも知っておかなきゃいけないのかと勉強することが増えた。多分しないけど。

「好きなポージングでOK・・・じゃ~ちょっとあぐら掻いて」

ゆいはスタイリストさんに用意しておいてもらったクマのぬいぐるみを持ってきてもらった。

「大きいのと小さいの。何恥ずかしがってんの?」

ここは可愛くいきたいゆいは、自らぬいぐるみで遊んだ。鼻先を付けてみたり頬を寄せたり。自分でも何やってんだかと思うが、これが画になると変わるもので、女子たちが騒ぐような胸キュンイケメンになるのだ。

袖の方で卓人をスマホで撮るマネージャー。チェック中ゆいに見せ、ツイッターにUPしてもいいか承諾を得ていた。

「後ろ向きなら・・・大丈夫です♪」

 

汗だくになったゆいが豪快に拭いている頃、小百合は午後一の授業を終えた。

毎回そうだが解放されると何でもいいから喋りたいのか、女子は決まって誰かの話をする。噂話だ。

どっちかと言えば小百合も好きな方だ。今日もノートなどカバンにしまいながら聞き耳を立てていた。いつも帰ってからゆいに話そうと思うが忘れる。それくらいどうでもいい会話だ。

今日話題になるのは別のクラスの女子のこと。インスタがらみの話だが、付き合い始めた彼氏が事あるごとにブランド品を買ってくれたり豪華な食事に連れてってくれると言い、その度にインスタのストーリーにUPしてると言った。

小百合にとっちゃ自分のテリトリーならいいんじゃない?と、やっぱりどうでもいい話と思いながら席を立った。すると一人の女子が思わぬことを言った。

「それは彼女のねーちゃんと繋がりたいからでしょ。だってモデル上がりの女優なんでしょ?」

誰だ?小百合はそれが誰なのか知りたい。もちろん、野次馬根性で。しかし名前も言わないので分からない。次の授業もあるので結局聞けずじまいで教室を出た。

芸能人の妹がいることは聞いたことがあるが小百合は見たことがない。

だいたいこの大学に何人の生徒がいるのかって話で、仮にすれ違ったとしても言われなきゃ分からない。時間を割いて聞く話じゃなかった。

「仮にそうだとしたら、その彼女辛いだろうな。ねーちゃんに近づくために妹を手懐けるなんて」

何だかドラマみたいな話だと思いながら教室に入ると、亜衣と弥生が手招きして小百合を呼んだ。

「どこ行ってたの?」

「ちょっと無駄な時間使ってた。どしたの?」

物のついでと思い、二人に聞こうと思ったがそれこそ名前を聞いたところで何の得にもならない。さっきの話は聞かなかったことにして、二人が昨日出掛けたというのでその話を聞いた。