悔いのない一日を! | トランジットガールズ Another Story ♬novel♬

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ドラマ トランジットガールズの未来の物語。

変わらないよ・・・。
私はずっと変わらない。

小百合が心地いいお風呂に負けたなら、ゆいは小百合の気持ちに負けた!

甘えてくれる小百合に、寝るはずだった気持ちが瞬間に消え、今日もまた昨日の夜と同じ時間を過ごした。

いつの間にか寝てしまい、ゆいが目を開けた時間は4時半を回っていた。起こしてくれるはずの小百合は小さな寝息で熟睡中。今日は遅くても6時半には家を出なければならない。でもこんな可愛い寝顔の小百合を起こしたくない。

出来ることなら永遠と見ていたい。

「小百合、起きて。朝だよ。遅刻できないから起きて」

私がゆいを起こしてあげると自信満々に言ったのに、ゆいに起こされた小百合は、やらかした!と目をショボショボさせながらバツが悪そうに起きた。

「おはよ。私が先に起きるはずだったのに。ゴメン」

「ううん。昨日はありがと❤小百合が甘えてくれて嬉しかったよ。起きよっか」

朝一番のチューをしてやっと活動開始。今日は洗濯もないし朝ご飯は温めるだけ。小百合が朝ご飯の仕度をしてる間にゆいはいつもの風呂掃除。すぐに戻ってきては昨日買った時計に視線が行き、早く着ける時が来ないかと思いながら台所にいる小百合の隣に行った。

「掃除終わったよ。何すればいい?」

「後はテーブルの支度でいいよ。ね?いいの?今朝はちらし寿司とマックナゲットで」

「作る時間がない朝にはピッタリじゃん。お義父さんが持たせてくれて助かったよ」

早出の出勤は今日だけだが、時間が無い朝は手軽が一番。

 

「いただきます♪うん、美味しい。ね?ゆい。これ食べる度に思うんだけど、このシイタケだけは食べるんだね。何で?」

「好きじゃないけど、シイタケの味が酢で消えるから。それにペラペラだもん」

ゆいが避けるシイタケは大体が一個成り。なるほどねと圭吾が作った物を嫌わずに食べてくれることが嬉しかった。

「ゆい、今週はお弁当は要らないんだよね。だったら今週は私も休もうかな」

「いいんじゃない?たまにはユイちゃんたちと定食でも食べたら?私も作ってあげられないと思うから」

ゆいが作ってくれたお弁当の方が授業も頑張れる気がするが、そういうわがままが子供なんだと、小百合は我慢した。

「ごちそうさま。私進行表見てないからあれなんだなんだけど、終了予定って何時なの?」

「撤収完全完了までの時間を入れて5時まで。延長は出来るだけ無しで。延長料金取られるから」

「分かった!」

小百合はロケの支度は手慣れたもので、ボストンバッグに詰めてはさっさと歯を磨きに行った。ゆいもゆっくりしてる場合じゃない。小百合の後ろを追うようにして洗面所へ。

満足に寝ていないのに小百合はすこぶる元気だ。どうしたのかと理由を聞けば、ゆいの撮影に携わることがしばらくの間ないからと言った。

10月の祝祭日は今日だけ。11月は連休があるが引っ越しの片付け、その後はテスト勉強に入るから。

「だから今日はゆいのアシスタント頑張りたいの。平日スタジオには行くけど夕方じゃ撮影はないでしょ?土曜日もどうなるか分からないし。あっゴメン。時間だね」

 

小百合に言われ、気付かなかったゆいは少し淋しい。でも11月は去年もそうだった気がする。テストだのレポートだの、大変そうだった。自分は当たり前のようにお願いしたが小百合の性分は学生。やらなきゃいけないことがあるのに優先してくれてヤル気まで見せてくれた。小百合の思いのためにも今日は成果を上げたい。

初日に小百合が就いてくれる、幸先がいいスタートが切れそうだと、ゆいもテンションが上がる。

「小百合!そうだね。今日はよろしくね!」

「おぅ!頑張るよ!」