日曜日くらいは時間など制限なく甘えたい。もうお風呂に入らなきゃいけないからとか、寝なきゃいけないからとか。そんなこと気にせずにゆいにベッタリ甘えたい。
お湯が入ったお知らせは聞こえた。でもまだそばにいたいしチューしてほしい。上目遣いに見つめる小百合に、ゆいは答えるがやっぱりお風呂に入りたいし、歯も磨きたい。そして寝たい。
「さゆたん。お風呂入ろう」
「ヤダ」
「お風呂入ろうよ。お風呂でゆっくりしない?」
「するぅ~❤」
ゆいとゆっくりできるならと、小百合はやっと腰を上げた。
しかし、全身洗いスッキリすると湯船の心地良さもあり小百合は眠くなってきた。ゆいを構いたいのに瞬きがゆっくりになると意識が遠のく。もうこの気持ち良さには完全に負けた。
「小百合?眠いんでしょ?もう出てさ、明日の支度して寝よう」
「ヤダ・・・眠くないもん」
しばらく無言の小百合。ゆいが後ろから覗くと、小百合は目を閉じていた。ゆいは慌てて起こし、半ば強引に小百合を立たせお風呂を上がった。
「小百合も疲れてんだから。課題は明日にしてもう寝よう」
ゆいに甘えるつもりで一緒に入ったのに。眠くなってしまった自分がいけないが、ゆいが全然構ってくれない。だからウトウトしてしまったのに。
「今日しかないのに」
「何が???」
「だってさぁ」
髪を乾かしてくれるゆいを鏡越しで見ながら、もう少し説得してみようと思うが、乾かすゆいの指先が気持ちよすぎて余計に眠気を誘い何にも言えない。
「はいっ乾いたよ。歯磨きしちゃってもう寝たら?私も終わったらベッドへ行くから」
「待っててもいい?」
ゆいが小さく頷くと歯磨きを済ませた小百合はトボトボと洗面所を出て行った。
顔のお手入れもそこそこに小百合はベッドで横になるとスマホを見ながらゆいが来てくれるのを待っていた。
明日のロケに菜々も就くことになったことを思い出し、時間は遅いが一言LINEを入れようとした時、ゆいがベッドに入って来た。小百合は菜々へのLINEは送らずゆいに抱き着つくと、ゆいは条件反射のように小百合の肩を寄せては甘えてくる小百合の頬を何度もつまんだ。
「小百合?今日はどうしたの?私は嬉しいけど、寝なくていいの?私は嬉しいけど」
ゆいは角が立たないよう、同じことを二度言い小百合を見つめた。
小百合は、ゆいがどう思っているのか何も聞かず今自分が感じていることを勝手に下がるまぶたを上げながら伝えた。
日曜はゆっくりしたい。そのゆっくりももしかしたら来週から荷造りしてるかもしれない。だから今日を逃したら次はいつゆっくり出来るか分からないから少しの時間でもゆいに甘えたい。
「明日から忙しくなるもんね。ゴメンね、気付いてやれなくて。今日はエッチできないけど、その分いっぱいチューさせて」
エッチをするしないの境界線。チューが長ければ自然とその先に進んでしまうが、でも今日だけは早く寝ないと明日が起きられない。
でも小百合の手がゆいの背中に触れると、ゆいの頭の中の『しない』がす~っと消えていった。
「小百合?明日早いよ。ちゃんと起きれる?」
「起きれる❤私がゆいを起こしてあげる」
ゆいは部屋の電気を消すとパジャマの裾からそっと手を忍ばせた。
確か昨日もした。久しぶりに熱かった夜だった。今日はそこまではしないが小百合に感じてほしいと、ゆいは反応してくれる場所へそっと触れた。
小百合が求めてくれるならその気持ちに応えたい。
「小百合、明日起こしてね」
そう言ってゆいは小百合の肌を唇でなぞっていった。