ゆいの美貌は何のおかげ? | トランジットガールズ Another Story ♬novel♬

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ドラマ トランジットガールズの未来の物語。

変わらないよ・・・。
私はずっと変わらない。

このご時世、CG加工でいくらでも肌を綺麗に見せられるのに、何ごとも嘘偽りなく誠実に!妥協はしない!という信念なのか、ゆいはまだ決まっていないCM撮影の日までこの肌質をキープしてほしいと言われる。小百合だけしか知らないが、渡された美容液は使ってはいたが、毎日なんぞ無理な話で、週に1~2回は忘れる。なのに乾燥もなく荒れてもいない。本当にこの美容液の効果はあるんだろうか。

最近小百合との❤は時々で、肌がテカテカ❤になるほど、お盛んではない。小百合の課題が終わるまではオアズケまでとはいかなくても、しばらくは。小百合がしたい❤って言えば・・・じゃなくて、甘えてきたら・・・じゃなくて、甘えてくれたら・・・そうじゃなくて、ゆいが我慢できない時は。きっと小百合は両手を広げて『おいで❤』してくれるだろう。

「ゆいちゃん、何ニヤニヤしてんの?」

「はっ?あっ、ううん」

 

みんなの前でメイクを落としたゆいに、これからたーちゃんが自社ブランドコスメでメイクをしてくれる。クリームやファンデーションの伸びを確認するためだが、完成した後、ゆいは先生にお願いしてスマホで写真を撮ってもらうつもりで肩にケープを掛けた。

これからたーちゃんが始めようとすると、いきなり先生が『あっ!』と叫んだ。

「ゆいさん、ゴメン!忘れてた!お腹空いたでしょ」

全く以て今さらである。何か食べたくてもたーちゃんはもう片手に化粧水とコットンを持っている。どう考えても何か食べられる状態ではない。

「あらっゆいちゃんたちお昼まだだったの?」

「撮影終わって急いで来たから」

ゆいがそう言ったところでたーちゃんの手は止まらない。聞いただけ?と突っ込みたい気持ちを飲み、鏡の前に目を向けた。

「たーちゃん、メイクしてるゆいさん録画してもいい?利恵さんに見せたくて」

「私はいいけど、ゆいちゃんが。結構な率でアップになるけど」

「私、先生にお願いしようと思ってたんだ。でも言いにくくて。だから写真だけでもって」

ゆいに許可をもらった先生は、鏡越しからメイク中のゆいをスマホで録画。時には近くまで寄り、たーちゃんの説明も一緒に入れた。

 

小百合もそろそろ課題の手を止め、バイトに行く支度をした。

テーブルの上には、ゆいのために書いた置手紙。

いつもの戸締りの確認をして家を出ると、ゆっくりと坂道を下りた。そろそろ何かを羽織りたい季節。日中は暑いくらいだが、夕方になると一瞬の風が冷たく感じる。

「でもまだ昼間は暑いんだよなぁ。ゆい、今頃どうしてるのかな」

次のCM撮影も佐伯さんだったらどうしようかと、小百合は今、それだけが知りたい。きっとそんな話も出てるはず。だからといってそうなのかそうじゃないのか、今ここで聞くのも違うし、小百合が気にしてるからとLINEを送るのも違う。

小百合の予想は当たるが、冬に向けてもCMなので前回のような肌の露出はない。それは後々知ることで、とりあえず今日はきっとこの後数時間後ゆいに逢う時は、あまりの綺麗さに腰を抜かすか、騒ぎ出すか。それともウットリして言葉も出ないか。いずれにしてもゆいにとって嬉しい反応が待ってる。

 

小百合はバスに乗ると、今日の外食をどうしようかと通りを眺める。

「あれ?今のってココイチ?新しく出来たんだぁ。久しく食べてない」

久しくというより、ゆいのカレーを食べてからは他のカレーを食べなくなった。それくらいにゆいが作ったカレーの虜になったのだが、たまには浮気してもいいかと、ゆいに要望のLINEを送り、再び流れる景色を見ていた。

 

小百合が窓の外を眺めてる間に仕上がったゆいのメイク。ゆいの美貌とたーちゃんの腕でスタッフさんたちが息を飲むほどの完璧な仕上がりに。

これでプレゼン用の写真が出来上がった。