授業は「晩御飯は何を食べましたか?」で始まります。
岩手でユニフォームの縫製をしているミンさんと文法の勉強を始めて約1年になります。
最初はなかなか会話が難しくプライベートのお話を聞くことができませんでしたが、
授業で勉強した文型を使って例文を作成してもらう中で、彼女の仕事や日常生活の様子が
少しずつ垣間見られるようになりました。
彼女の文章によく登場するのは、会社の社長さん、班長さん、寮の先輩、実習生の同僚です。
そして国の子供達、旦那さん、料理が上手なお母さん、野菜を育てているお父さんです。
彼女の働く会社の親会社は私(筆者)の勤務先の取引先でした。 彼女たち実習生はお花見、花火、地元のお祭りに
連れて行ってもらい、浴衣を着たり、お正月には書初めをして日本の文化も体験させてもらっているようです。
会社の寮で8人の実習生と共同生活をしていて、朝食・夕食は当番制。
ミンさんとの授業は土曜日の午後7時からですが、いつも彼女の夕飯が終わった直後です。
先ず始めに、「ミンさん、ご飯は終わりましたか?」「何を食べましたか?」と声を掛けます。
私の知らないベトナム料理の名前を教えてくれます。「材料は何ですか?」「作り方は、煮るの、焼くの?」
「調味料は?」と色々質問をして後日写真を送ってもらいます。
逆に、「先生、今日何を食べましたか?」と聞かれることもあり、ソース焼きそばの作り方を書いて送ったことがあります。
そうすると、わたしのレシピ通りに焼きそばを作って写真を送ってくれました。
料理には独特の表現が多く使われているので、わかり易い日本語でレシピを書くのは難しかったですが
私自身の良い勉強になりました。
彼女のお陰で私は最近ベトナム料理にハマっていて、食べに行くようになりました。
いつか、ベトナムで本場の料理を頂きたいと思っています。
ミンさんは国に帰ると2人の子供達のお母さんなので、勉強する機会は日本で働いている今しかないと言って
今年はN3合格を目指して努力をしています。
私もできる限りのサポートをしたいと思っています、そして日本語の勉強だけではなく、日本にいる間に美味しものを食べて
日本の料理も覚えて欲しいと思います。
加須屋浩美
授業風景
夕食の鍋料理です。
ミンさんが作ったソース焼きそば
ミンさんおススメのライスペーパー