ヘミングウェイも、初恋の彼女へ向けて、手紙を出したのであるが、それはない。
彼女が別れを告げる手紙の中で、結婚するとかいてあり、
その婚約者がすべて燃やさせたらしい。
しかし、彼女はその男性とは結婚せず、アジアにある、南半球の島国へ渡り、婦長まで勤めた。
最後に、こんな隠されたエピソードが紹介されていた。
ヘミングウェイがキーウェストにいた頃の親しかった男性の息子が証言している。
それは、男性の妻も、ヘミングウェイと親しく、図書館に勤めていたときだった。
その頃にはヘミングウェイはメキシコへ渡っていたが、
体調を崩したうわさは、キーウェストにも届いた。
そのとき、同じ職場に働いていた女性が彼の話題になって、
「アーニーは大丈夫かしら」、とその人に聞いた。
その人は思った。
ヘミングウェイのことを名前で呼ぶ人はいない、と。
そして、姓こそ変わっていたが、ヘミングウェイの初恋の女性に間違いはなかった。
そのことをメキシコにいたヘミングウェイに伝えると、
ただ「会うつもりはない」
と、言っただけだった。
そのときのことをその息子さんはこう表現していた。
彼はただいらついているように見えた。
私も思うが、
彼女だけが、永遠の人だったのだろう。
彼女は一度離婚し、最初に勤めていた図書館員に戻ったのだった。
二人は再会を果たさなかった。
初恋は永遠であり、そしてほろ苦いものだ。
私も、もしもとふと、考えるときがある。
でも、きっとそのときに戻れても、私は同じことを繰り返すだろう。
永遠の君。
それはいとしい、死んでも痛くはない、優しい人だ。