PBWをはじめよう!~はじめに用意するものは?~
突然ですが、今回から、まったくPBWがはじめてだ!という方向けの記事を書いていきたいと思います。PBWに興味はあるけど、まったくプレイしたことがなければ、これってすこし敷居の高い遊びかもしれませんよね。
そこで、かなり「最初の最初」から、PBWについて、解説を加えていきたいと思います。
●そもそもPBWとは
そもそもPBWってナニ?っていう人はいらっしゃるでしょうか?
あらためて、一度、きちんと定義しておきましょう。
おおざっぱに言えば、「ウェブ上で、キャラクターになりきって楽しむ遊び」とでもなるでしょうか。これは間違いではないのですが、最近、PBWといえば、おおむね、次の2タイプを指すと思います。
(1)キャラクターとして、掲示板やチャットで発言し、会話や交流を楽しむもの
(2)1に加えて、特定の状況(シナリオ)におけるキャラクターの行動を提示する(プレイング、アクション)ことで、その結果(ノベル、リプレイ、リアクション)が提供側で作成されるもの
『螺旋特急ロストレイル』や、現在、いくつかの企業から商業コンテンツとして提供されているものは、おおむね(2)だということは、みなさんもご存じでしょう。でも一方で、(1)のような、チャットを主体としたものも、ネット上にはたくさんあって、PBWと呼ばれていますよね。
もともと、(2)のような遊びを、郵便を介して行うPBM(プレイバイメイル)というものがありました。現状のPBWは、それらが、郵便ではなくWEBを利用したものになった、と理解していただければとりあえずオッケーです。チャット主体のもの――それらは「なりきりチャット」などとも言われますが、そういったものもPBWと呼ばれるようになった経緯は、ごめんなさい、勉強不足でよくわかりません。ただどちらも、「ウェブ上で、キャラクターになりきって楽しむ遊び」には違いないので、間違いではありません。
ここでは、そうした(2)のタイプのものを、狭い意味のPBWですが、これについて解説していく予定です。
●最初に用意するものは?
PBWをはじめるために何が必要でしょうか?
→パソコンとインターネット環境
あたりまえだと思われるかもしれませんが、ウェブ上で行う遊びですので、まずはそのための環境が必要です。パソコンは、MMOをプレイするためのようなハイスペックなものはいりません。ネット接続も、速いほうがストレスはないのかもしれませんが、回線のパワーがないからといってことさら遊びにくい(MMOのように)ということはないと思います。ですのでノートPCなどでも問題ありません。Windowsパソコンとマックという点でも、ほとんどのPBWは両対応であるはずです。『螺旋特急ロストレイル』でも、マッキントッシュで遊んでいただけます。ただし、よりユーザーの数の多いWindows環境をスタンダードと考えてサイトなどをつくっていきますので、マックで不具合が出てしまうこともあります。そんなときは、小さなことでも、お気軽におしらせ下さい。改善していきたいと思います(技術的な限界などで、すべてのご要望にはお応えできないこともあります。ですが、おしらせいただかないご要望については絶対に対応できませんので、しらせて下さると嬉しいです)。
→携帯電話でも遊べる?
『螺旋特急ロストレイル』では、申し訳ありませんが、携帯電話などでのプレイはサポート対象外となっています。これは、携帯でも問題なくプレイしていただくためには、開発のコストや確認作業が大幅に増えてしまうことと、たくさんの文字を読むことの多いPBWは、携帯でのプレイ環境は最適とは言えないので、非推奨としたいという考え方が理由です。ただ、これは「携帯電話用にはつくられていない」という意味ですので、実際には、機種にもよりますが、プレイできることが多いようです。しかし、本当に申し訳ないのですが、「携帯電話上で出る不具合」や「携帯電話でプレイする場合の不便」については、すべてにお応えすることができません。ご了承ください。
なお、一般のPBWも、同様であることが多いと思いますが、中には、携帯対応をうたっているものもあります。
→ブラウザは何を使えばいい?
ブラウザについてのオススメを聞かれることもときどきあります。おおむね、いずれのブラウザでもプレイ可能だと思いますが、『螺旋特急ロストレイル』では、やはりユーザー数の関係上、不具合の出る可能性の少なさでいうなら、インターネットエクスプローラー、ファイアフォックス、サファリのいずれかをお使い下さい。
→メールアドレス
PBWのプレイのためには自分のメールアドレスが必要です。メールでは、運営者からのおしらせのほか、他のキャラクターからのメッセージなども受け取れますので、PBWでは重要なものです。自分が使用しやすいフリーメールなどを用意するとよいでしょう。特に理由がなければ、なにかの際に容易には変更できないプロバイダのメールなどよりは、フリーメールなどのほうが便利だと思います。何のメールを使うにせよ、迷惑メールフィルタには注意。大事なおしらせが、届かないことがときどきあります。運営者から届くメールなどはたいてい決まったアドレスから発信されますから、迷惑メールと判断しない設定にしておくといいかもしれませんね。
→課金手段は……
ほとんどのPBWでは、なんらかの方法で課金して、ポイントを購入し、それを使ってゲーム内のコンテンツを楽しみます。でも、ちょっと待って。まったく初めて、そのゲームをプレイするなら、いきなり課金するのは待って下さい。ほとんどのPBWでは、キャラクターを登録し、そして掲示板などで発言するのは無料です。この部分だけでも、「ウェブ上で、キャラクターになりきって楽しむ」というPBWのエッセンスは確かめられますので、まずは、PBWのプレイの実感や、自分のキャラクターがプレイヤーである自分のプレイスタイルにしっくりくるかなどを確かめる時間を持ちましょう。
というわけで、まず最初に用意するものは、
======
・パソコンとインターネット環境(IEなどのブラウザ)
・自分専用のメールアドレス
======
です。
これが準備できれば、はじめられます。
では次はいよいよ、最初の難関?、キャラクターづくりです。
次回の更新で、じっくり解説していきたいと思いますので、それまでに、なにか質問などがあればコメントして下さいね。
今回はここまで。
次の更新予定は8月24日です。
そこで、かなり「最初の最初」から、PBWについて、解説を加えていきたいと思います。
●そもそもPBWとは
そもそもPBWってナニ?っていう人はいらっしゃるでしょうか?
あらためて、一度、きちんと定義しておきましょう。
おおざっぱに言えば、「ウェブ上で、キャラクターになりきって楽しむ遊び」とでもなるでしょうか。これは間違いではないのですが、最近、PBWといえば、おおむね、次の2タイプを指すと思います。
(1)キャラクターとして、掲示板やチャットで発言し、会話や交流を楽しむもの
(2)1に加えて、特定の状況(シナリオ)におけるキャラクターの行動を提示する(プレイング、アクション)ことで、その結果(ノベル、リプレイ、リアクション)が提供側で作成されるもの
『螺旋特急ロストレイル』や、現在、いくつかの企業から商業コンテンツとして提供されているものは、おおむね(2)だということは、みなさんもご存じでしょう。でも一方で、(1)のような、チャットを主体としたものも、ネット上にはたくさんあって、PBWと呼ばれていますよね。
もともと、(2)のような遊びを、郵便を介して行うPBM(プレイバイメイル)というものがありました。現状のPBWは、それらが、郵便ではなくWEBを利用したものになった、と理解していただければとりあえずオッケーです。チャット主体のもの――それらは「なりきりチャット」などとも言われますが、そういったものもPBWと呼ばれるようになった経緯は、ごめんなさい、勉強不足でよくわかりません。ただどちらも、「ウェブ上で、キャラクターになりきって楽しむ遊び」には違いないので、間違いではありません。
ここでは、そうした(2)のタイプのものを、狭い意味のPBWですが、これについて解説していく予定です。
●最初に用意するものは?
PBWをはじめるために何が必要でしょうか?
→パソコンとインターネット環境
あたりまえだと思われるかもしれませんが、ウェブ上で行う遊びですので、まずはそのための環境が必要です。パソコンは、MMOをプレイするためのようなハイスペックなものはいりません。ネット接続も、速いほうがストレスはないのかもしれませんが、回線のパワーがないからといってことさら遊びにくい(MMOのように)ということはないと思います。ですのでノートPCなどでも問題ありません。Windowsパソコンとマックという点でも、ほとんどのPBWは両対応であるはずです。『螺旋特急ロストレイル』でも、マッキントッシュで遊んでいただけます。ただし、よりユーザーの数の多いWindows環境をスタンダードと考えてサイトなどをつくっていきますので、マックで不具合が出てしまうこともあります。そんなときは、小さなことでも、お気軽におしらせ下さい。改善していきたいと思います(技術的な限界などで、すべてのご要望にはお応えできないこともあります。ですが、おしらせいただかないご要望については絶対に対応できませんので、しらせて下さると嬉しいです)。
→携帯電話でも遊べる?
『螺旋特急ロストレイル』では、申し訳ありませんが、携帯電話などでのプレイはサポート対象外となっています。これは、携帯でも問題なくプレイしていただくためには、開発のコストや確認作業が大幅に増えてしまうことと、たくさんの文字を読むことの多いPBWは、携帯でのプレイ環境は最適とは言えないので、非推奨としたいという考え方が理由です。ただ、これは「携帯電話用にはつくられていない」という意味ですので、実際には、機種にもよりますが、プレイできることが多いようです。しかし、本当に申し訳ないのですが、「携帯電話上で出る不具合」や「携帯電話でプレイする場合の不便」については、すべてにお応えすることができません。ご了承ください。
なお、一般のPBWも、同様であることが多いと思いますが、中には、携帯対応をうたっているものもあります。
→ブラウザは何を使えばいい?
ブラウザについてのオススメを聞かれることもときどきあります。おおむね、いずれのブラウザでもプレイ可能だと思いますが、『螺旋特急ロストレイル』では、やはりユーザー数の関係上、不具合の出る可能性の少なさでいうなら、インターネットエクスプローラー、ファイアフォックス、サファリのいずれかをお使い下さい。
→メールアドレス
PBWのプレイのためには自分のメールアドレスが必要です。メールでは、運営者からのおしらせのほか、他のキャラクターからのメッセージなども受け取れますので、PBWでは重要なものです。自分が使用しやすいフリーメールなどを用意するとよいでしょう。特に理由がなければ、なにかの際に容易には変更できないプロバイダのメールなどよりは、フリーメールなどのほうが便利だと思います。何のメールを使うにせよ、迷惑メールフィルタには注意。大事なおしらせが、届かないことがときどきあります。運営者から届くメールなどはたいてい決まったアドレスから発信されますから、迷惑メールと判断しない設定にしておくといいかもしれませんね。
→課金手段は……
ほとんどのPBWでは、なんらかの方法で課金して、ポイントを購入し、それを使ってゲーム内のコンテンツを楽しみます。でも、ちょっと待って。まったく初めて、そのゲームをプレイするなら、いきなり課金するのは待って下さい。ほとんどのPBWでは、キャラクターを登録し、そして掲示板などで発言するのは無料です。この部分だけでも、「ウェブ上で、キャラクターになりきって楽しむ」というPBWのエッセンスは確かめられますので、まずは、PBWのプレイの実感や、自分のキャラクターがプレイヤーである自分のプレイスタイルにしっくりくるかなどを確かめる時間を持ちましょう。
というわけで、まず最初に用意するものは、
======
・パソコンとインターネット環境(IEなどのブラウザ)
・自分専用のメールアドレス
======
です。
これが準備できれば、はじめられます。
では次はいよいよ、最初の難関?、キャラクターづくりです。
次回の更新で、じっくり解説していきたいと思いますので、それまでに、なにか質問などがあればコメントして下さいね。
今回はここまで。
次の更新予定は8月24日です。
なにかの視線を感じつつ更新
昨日が更新予定日だったのですが、とりいそぎアリオの冒険だけ書いて逃亡気味になってしまいました。ごめんなさい。夜に補足しようと思いつつかなわなかったのでした。
オープン時期をなるべく早めにフィックスさせたいのですが、おもにシステム関係が不透明でまだはっきりしません。わかりしだい広報しますのでお待ち下さいね。システム担当さんはいつも、無茶な注文を、若干、渋い顔をしながらも(笑)かなえてくれます。感謝です。システムの中の人への応援メッセージもお待ちしています。
一方、企画部門のほうは、けっこう、ギアが入ってきた雰囲気です。イラストレーターさんやデザイナーさんからラフや納品物をいただくと非常にテンションがあがるものです。
アリオの冒険のほうにもあやしいいきものの姿がありますが……
チラッ

……!?
*
さて。
このブログ、基本的には、『銀幕★輪舞曲』からご参加いただいていたプレイヤーさんがおもにご覧になっているとばかり思っていたのですが、いただくコメントを見ると、どうもそうでもないようですね。新作からのご参加を検討していただいている方もいらっしゃるようでありがたい限りです。
そして、中には、PBWが初めてだという方の声も。
そういえば、銀幕をはじめた頃も、PBWビギナーの方がけっこういらして、実はこれはスタッフ的にはやや予想外だったのでした。
今年は新しいPBWがいくつかスタートしたり、スタートする予定だったり、長く続いたビッグタイトルがクライマックであったり、PBW界的なものの潮流があらわれている年なのでしょうか? 新しいプレイヤーさんも増えておられるのかもしれませんね。
だとすると、もうすこしPBWビギナーの方にむけた記事があったほうがいいのかなと思っていますが、いかがでしょうか。
次回以降、そのあたりも踏まえて、いろいろ書いていきたいと思います。
更新予定は8月17日です。では、また。
オープン時期をなるべく早めにフィックスさせたいのですが、おもにシステム関係が不透明でまだはっきりしません。わかりしだい広報しますのでお待ち下さいね。システム担当さんはいつも、無茶な注文を、若干、渋い顔をしながらも(笑)かなえてくれます。感謝です。システムの中の人への応援メッセージもお待ちしています。
一方、企画部門のほうは、けっこう、ギアが入ってきた雰囲気です。イラストレーターさんやデザイナーさんからラフや納品物をいただくと非常にテンションがあがるものです。
アリオの冒険のほうにもあやしいいきものの姿がありますが……
チラッ

……!?
*
さて。
このブログ、基本的には、『銀幕★輪舞曲』からご参加いただいていたプレイヤーさんがおもにご覧になっているとばかり思っていたのですが、いただくコメントを見ると、どうもそうでもないようですね。新作からのご参加を検討していただいている方もいらっしゃるようでありがたい限りです。
そして、中には、PBWが初めてだという方の声も。
そういえば、銀幕をはじめた頃も、PBWビギナーの方がけっこういらして、実はこれはスタッフ的にはやや予想外だったのでした。
今年は新しいPBWがいくつかスタートしたり、スタートする予定だったり、長く続いたビッグタイトルがクライマックであったり、PBW界的なものの潮流があらわれている年なのでしょうか? 新しいプレイヤーさんも増えておられるのかもしれませんね。
だとすると、もうすこしPBWビギナーの方にむけた記事があったほうがいいのかなと思っていますが、いかがでしょうか。
次回以降、そのあたりも踏まえて、いろいろ書いていきたいと思います。
更新予定は8月17日です。では、また。
アリオの冒険:インターバル
まだ頭がぼんやりしている。
急に、あんなこと全部理解しろってほうが無理だもんな。
おれたちの知っているほかにも、世界がたくさんあるだなんて。
おれは、図書館の中庭らしきところに出た。石造りのベンチに腰かけて、しばらく、頭を整理する。空は青く、雲が流れている。こうして見る空は、おれたちの世界と変わらないのに。
目にしみるような緑の芝のうえでは、幾人もの人たちが思い思いにくつろいでいた。
中には、例によって、普通の人間とは違う特徴の人たちもいる。
おれは目をこらしてみたが――何も見えてこなかった。かれらは、<ロストナンバー>。自分の住む世界を見失った人たちだ。
向こう側の渡り廊下を、本を積んだワゴンを押して歩く人がいる。あの人は職員だと思うから……よし、見えるぞ。数字だ。『0』って書いてある。あれは第0階層――この<0世界>の住人であるしるし。よしよし、だいぶコツを掴んできた。
さっき会った司書の女の人や、執事の人は0世界の住人。
そしておれやアリッサは<ロストナンバー>。でも、おれたち<壱番世界>の人間だけは、数字をなくしても、自分の世界を見失わない。……それはどうしてだったかな? 説明を聞いたはずだが思い出せなくて、おれは、パスホルダーと、黒革の手帳を取り出した。これに書いてるかも。
「?」
そのとき、おれは、パスホルダーの表面に妙なものを見る。
なにか……水みたいなものがにじんでいる?
「なんだ、これ」
大事にしろって言われたのに、汚したらいけないと思って、おれの指がそれをぬぐおうとすると。
「!!」
にゅるん、とそいつが這い出してきた……!
「!?」
なんだこれは。
15センチくらいの……ゼリーかグミみたいな、うっすら透けてぷるぷるしたものだった。でも……鳥みたいな脚がはえていて、それから――
「ひぃ!」
思わず声が出てしまう。目が合った。顔がある! うええ、こっちみんな!!!!
「おまえか、アリオってやつは」
「ぎゃあ、喋ったーー!?」
「?」
突然の声にうろたえたが、声は背後からかかったものだった。ああ、びっくりした。こいつじゃないのか。いや、でもこいつは一体。
ともあれ振り返ると、あの夜アリッサと一緒にいた『兎男』が、そこに立っていた。
急に、あんなこと全部理解しろってほうが無理だもんな。
おれたちの知っているほかにも、世界がたくさんあるだなんて。
おれは、図書館の中庭らしきところに出た。石造りのベンチに腰かけて、しばらく、頭を整理する。空は青く、雲が流れている。こうして見る空は、おれたちの世界と変わらないのに。
目にしみるような緑の芝のうえでは、幾人もの人たちが思い思いにくつろいでいた。
中には、例によって、普通の人間とは違う特徴の人たちもいる。
おれは目をこらしてみたが――何も見えてこなかった。かれらは、<ロストナンバー>。自分の住む世界を見失った人たちだ。
向こう側の渡り廊下を、本を積んだワゴンを押して歩く人がいる。あの人は職員だと思うから……よし、見えるぞ。数字だ。『0』って書いてある。あれは第0階層――この<0世界>の住人であるしるし。よしよし、だいぶコツを掴んできた。
さっき会った司書の女の人や、執事の人は0世界の住人。
そしておれやアリッサは<ロストナンバー>。でも、おれたち<壱番世界>の人間だけは、数字をなくしても、自分の世界を見失わない。……それはどうしてだったかな? 説明を聞いたはずだが思い出せなくて、おれは、パスホルダーと、黒革の手帳を取り出した。これに書いてるかも。
「?」
そのとき、おれは、パスホルダーの表面に妙なものを見る。
なにか……水みたいなものがにじんでいる?
「なんだ、これ」
大事にしろって言われたのに、汚したらいけないと思って、おれの指がそれをぬぐおうとすると。
「!!」
にゅるん、とそいつが這い出してきた……!
「!?」なんだこれは。
15センチくらいの……ゼリーかグミみたいな、うっすら透けてぷるぷるしたものだった。でも……鳥みたいな脚がはえていて、それから――
「ひぃ!」
思わず声が出てしまう。目が合った。顔がある! うええ、こっちみんな!!!!
「おまえか、アリオってやつは」
「ぎゃあ、喋ったーー!?」
「?」
突然の声にうろたえたが、声は背後からかかったものだった。ああ、びっくりした。こいつじゃないのか。いや、でもこいつは一体。
ともあれ振り返ると、あの夜アリッサと一緒にいた『兎男』が、そこに立っていた。
図書館ではお静かに
今回は、シナリオの体裁についてお話したいと思います。
体裁というのは、シナリオというゲーム上のコンテンツを、ワールド設定的にはどう理解するか、ということなのですが、『銀幕★輪舞曲』では、
ムービーハザードやムービースターによる事件が起きる
↓
『対策課』にその解決を依頼される
↓
事件を解決し、報酬を受け取る
というのが、ひとつの定型でした。
このパターンに収まらないものも、銀幕ではわりとありましたが、ロストレイルでは、舞台が、それぞれまったく環境の違うさまざまな異世界にまたがっているため、少なくとも初期のうちは、よりはっきりした定型にもとづいたシナリオになります。
その背景となる設定が、世界図書館です。
世界図書館は0世界を拠点とするロストナンバーの互助組織です。階層世界のパワーバランスを監視する役割ももっており、ロストレイルを利用して異世界の情報を収集したり、調査研究をしたりしています。
世界図書館の職員には『世界司書/ブックキーパー』と呼ばれる特殊能力者がおり、かれらは特別なトラベルギアである『導きの書』をもって職務にあたります。『導きの書』にはどこかの世界で起こる出来事が予言として浮かび上がり、この情報にもとづいて世界図書館はロストレイルの乗車券を発行し、ロストナンバーを現地へ送り出します。ロストナンバーは螺旋特急で旅立ち、現地で任務を遂行することにより、世界図書館から報酬を受け取る、という構図になっています(ツーリストは0世界で暮らしていかなくてはならないため、世界図書館が発行するターミナルの通貨<ナレッジキューブ>が必要なのです)。
したがって、シナリオの多くは世界司書からの依頼という体裁をとります。
・第3階層の世界で覚醒したばかりのロストナンバーを発見しました。行って保護してあげて下さい。
・第27階層の世界の森林地域に生息している珍しい鳥の生態について調べてきてもらえませんか?
・マイナス第18階層に強力なエネルギー反応があります。階層世界の秩序にダメージを与えるおそれがあるので、対応する必要があるでしょう。
・第5階層の世界で、現地の人になりすまして冒険者ギルドから出されているゴブリン退治の依頼を受けてきてください。これは第5階層の調査の一環ですが現地での人助けにもなりますしね。
日々、こんな依頼が、世界司書たちからもたらされることでしょう。
*
本日はここまでです。
次回更新予定は8月10日です。
基本的な情報はだいたい出てきたのと、8月にもなったことですし、またなにか、すこし目線を変えた感じの更新もしたいなあと思っております。
体裁というのは、シナリオというゲーム上のコンテンツを、ワールド設定的にはどう理解するか、ということなのですが、『銀幕★輪舞曲』では、
ムービーハザードやムービースターによる事件が起きる
↓
『対策課』にその解決を依頼される
↓
事件を解決し、報酬を受け取る
というのが、ひとつの定型でした。
このパターンに収まらないものも、銀幕ではわりとありましたが、ロストレイルでは、舞台が、それぞれまったく環境の違うさまざまな異世界にまたがっているため、少なくとも初期のうちは、よりはっきりした定型にもとづいたシナリオになります。
その背景となる設定が、世界図書館です。
世界図書館は0世界を拠点とするロストナンバーの互助組織です。階層世界のパワーバランスを監視する役割ももっており、ロストレイルを利用して異世界の情報を収集したり、調査研究をしたりしています。
世界図書館の職員には『世界司書/ブックキーパー』と呼ばれる特殊能力者がおり、かれらは特別なトラベルギアである『導きの書』をもって職務にあたります。『導きの書』にはどこかの世界で起こる出来事が予言として浮かび上がり、この情報にもとづいて世界図書館はロストレイルの乗車券を発行し、ロストナンバーを現地へ送り出します。ロストナンバーは螺旋特急で旅立ち、現地で任務を遂行することにより、世界図書館から報酬を受け取る、という構図になっています(ツーリストは0世界で暮らしていかなくてはならないため、世界図書館が発行するターミナルの通貨<ナレッジキューブ>が必要なのです)。
したがって、シナリオの多くは世界司書からの依頼という体裁をとります。
・第3階層の世界で覚醒したばかりのロストナンバーを発見しました。行って保護してあげて下さい。
・第27階層の世界の森林地域に生息している珍しい鳥の生態について調べてきてもらえませんか?
・マイナス第18階層に強力なエネルギー反応があります。階層世界の秩序にダメージを与えるおそれがあるので、対応する必要があるでしょう。
・第5階層の世界で、現地の人になりすまして冒険者ギルドから出されているゴブリン退治の依頼を受けてきてください。これは第5階層の調査の一環ですが現地での人助けにもなりますしね。
日々、こんな依頼が、世界司書たちからもたらされることでしょう。
*
本日はここまでです。
次回更新予定は8月10日です。
基本的な情報はだいたい出てきたのと、8月にもなったことですし、またなにか、すこし目線を変えた感じの更新もしたいなあと思っております。
アリオの冒険:5
とても天井の高い、吹き抜けのホールだった。
何階あるんだろう。どの階も、壁はすべて本棚で、びっしりと本で埋まっている。何本かの、吹き抜けを渡る渡り廊下が、天窓から差し込む光の影を落とし、ホールの床に幾何学的な模様を描いていた。
ホールの一階には、閲覧用の長椅子と机が円形に配置されていて……そしてその中央に、それがそびえたっていた。
たくさんの歯車や、よくわからない部品で構成された機械の塔だ。
オブジェかと思ったが、操作盤のようなものもあるし、機械の上を明滅し、移動する光を難しい顔でにらんで、なにか記録を録っている人もいるので、なにか意味のあるものなのだろう。
「お待たせした」
声に振り向くと、女の人が立っていた。
駅前からは、例のパスホルダーを見せれば、市電に乗ることができた。出会う人は皆親切で、おれにこの場所までの行き方や、着いたらどうすればいいかを教えてくれたのだった。
だから、聞かれるままに名前などを答えていくうちに、おれの<パス>ができあがっていた。
「これできみは壱番世界とこの<ターミナル>を往復できる」
女の人は白い髪に、浅黒い肌、青い瞳の、一見して何人がわからない人だった。美人だけど、まったく表情がかわらない。とっつきにくいけど、べつに怒っているわけではなさそうだった。
「このパスホルダーはなくさないように。なくすことはないだろうが」
今いち謎めいたことを言って、女の人はパスホルダーにおれのパスを入れてくれる。
「あの……、このパスケース、知らないうちにおれの机に……」
「『チャイ=ブレの悪戯』とわれわれが呼んでいるケースだ。時々そういうことがある。普通はここで登録時にホルダーも手渡すのだが」
「???」
「知っておくべき情報はこのノートにも記載されている。あとで読んでおくといい」
黒革の表紙の手帳が一冊。なるほど、これが取扱説明書か。
「あとはトラベルギアだが、すこし時間がかかるので待っていてほしい。用意できれば呼び出す」
「……はあ。あの……アリッサって娘はここにいるんですか?」
そのときはじめて、女の人の目に感情らしいものが宿った。
「きみはアリッサと――?」
おれは事の次第を説明した。
そうしたらここで待つように言われたのだった。
それから、女の人がおれを呼びに来て、しばらく連れ回される。
長い廊下をぐるぐると歩き、騒々しい音を立てる鳥籠みたいなゴンドラを乗り継ぎ、足が埋まりそうな絨毯の廊下を歩いた果てにある、大きな扉がノックされた。
「飛田殿をお連れしました」
「入って!」
声がした。あの娘だ。
だけどドアが開いたところにいたのは、大柄な男の人だった。
女の人が一礼をして、下がる。ここまで、ということだろう。おれだけが部屋に招き入れられた。
執事、っていうのかな……、男の人の服装はそういう感じだったけど、体格は格闘家みたいで、顔つきは厳めしいおじさんだった。
「本当に会えたね! びっくりしたあ」
そして、アリッサが、そこにいた。
窓を背にした大きな机、大きな背もたれのある椅子にちょこんと腰かけていたのを、おれを見て、ぴょこりと立ち上がった。
「もう登録は済んだの? 歓迎するわ。ようこそ<世界図書館>へ! 私が館長代理のアリッサ・ベイフルックです。よろしくね」
「あ――ええと……、おれ、アリオ……。飛田有生っていうんだけど……」
「アリオがファーストネームね? いいわ、座って。お茶いれるけど、何がいい?」
彼女はよくさえずる小鳥みたいだ、と思った。
「お茶……えと、何が、って?」
「……。アールグレイをお願い」
「かしこまりました」
紅茶の種類を聞かれていたのか。おれが要領を得ないので、アリッサは勝手にそう決めて、執事の人に命じた。なんだかそういう――人に命じることにすごく慣れた様子で、この部屋の様子も豪勢だし……そうだ、たしか「館長代理」と言っていたっけ。もしかして、この娘って、エライ人だったりするんだろうか?
「あ、そうだ。おれ……、あの晩、これを拾ったんだけど……きみのじゃない?」
おれはポケットからそれを取り出した。
あの晩、消えたアリッサたちが夢ではなかったことを確かめるように、懐中電灯をあたりに向けている中、おれが見つけたものを。
それは銀の鎖の懐中時計だった。
「あーーっ!」
アリッサが大声をあげた。
「そっか、あのとき落としたんだ! 拾ってくれたのね、嬉しい! おじさまに貰った大事な時計だったの!」
彼女の喜びようと言ったらなかった。
それならおれも拾った甲斐があったというものだ。紅茶が運ばれてきたが、そっちのけで彼女は何度もお礼を言うのだった。
「本当に感謝するわ。なにかお礼をしなくっちゃ。そうだ、特別チケット発行してあげる」
「お嬢様」
執事の人がたしなめるような声を出したが、アリッサは応じなかった。
「どこでもいいよ」
「何が……?」
「行き先。聞いてないの?」
アリッサは、自分の机の上から、その模型を取って、おれに見せてくれる。ホールにあった機械の、ミニチュアのようだった。円盤状の部品がたくさん重なり合って、塔のようになっている。
「ここが<0世界>。そのひとつ上が、あなたや私がいた世界――<壱番世界>。他にも数え切れないくらいの世界があるわ。ロストレイルに乗れば、どこへだって行ける」
それから――
彼女から聞いた話に、おれは開いた口がふさがらない、といった風だった。
正直、一度ではすべて把握し切れなかったし、あの不思議な列車に乗ってさえ、まだまだ信じられないことだらけだった。
でもそのとき、おれはもう、手に入れてしまっていたのだ。
無限の冒険の旅へと出るための列車のパスを。
何階あるんだろう。どの階も、壁はすべて本棚で、びっしりと本で埋まっている。何本かの、吹き抜けを渡る渡り廊下が、天窓から差し込む光の影を落とし、ホールの床に幾何学的な模様を描いていた。
ホールの一階には、閲覧用の長椅子と机が円形に配置されていて……そしてその中央に、それがそびえたっていた。
たくさんの歯車や、よくわからない部品で構成された機械の塔だ。
オブジェかと思ったが、操作盤のようなものもあるし、機械の上を明滅し、移動する光を難しい顔でにらんで、なにか記録を録っている人もいるので、なにか意味のあるものなのだろう。
「お待たせした」
声に振り向くと、女の人が立っていた。
駅前からは、例のパスホルダーを見せれば、市電に乗ることができた。出会う人は皆親切で、おれにこの場所までの行き方や、着いたらどうすればいいかを教えてくれたのだった。
だから、聞かれるままに名前などを答えていくうちに、おれの<パス>ができあがっていた。
「これできみは壱番世界とこの<ターミナル>を往復できる」
女の人は白い髪に、浅黒い肌、青い瞳の、一見して何人がわからない人だった。美人だけど、まったく表情がかわらない。とっつきにくいけど、べつに怒っているわけではなさそうだった。
「このパスホルダーはなくさないように。なくすことはないだろうが」
今いち謎めいたことを言って、女の人はパスホルダーにおれのパスを入れてくれる。
「あの……、このパスケース、知らないうちにおれの机に……」
「『チャイ=ブレの悪戯』とわれわれが呼んでいるケースだ。時々そういうことがある。普通はここで登録時にホルダーも手渡すのだが」
「???」
「知っておくべき情報はこのノートにも記載されている。あとで読んでおくといい」
黒革の表紙の手帳が一冊。なるほど、これが取扱説明書か。
「あとはトラベルギアだが、すこし時間がかかるので待っていてほしい。用意できれば呼び出す」
「……はあ。あの……アリッサって娘はここにいるんですか?」
そのときはじめて、女の人の目に感情らしいものが宿った。
「きみはアリッサと――?」
おれは事の次第を説明した。
そうしたらここで待つように言われたのだった。
それから、女の人がおれを呼びに来て、しばらく連れ回される。
長い廊下をぐるぐると歩き、騒々しい音を立てる鳥籠みたいなゴンドラを乗り継ぎ、足が埋まりそうな絨毯の廊下を歩いた果てにある、大きな扉がノックされた。
「飛田殿をお連れしました」
「入って!」
声がした。あの娘だ。
だけどドアが開いたところにいたのは、大柄な男の人だった。
女の人が一礼をして、下がる。ここまで、ということだろう。おれだけが部屋に招き入れられた。
執事、っていうのかな……、男の人の服装はそういう感じだったけど、体格は格闘家みたいで、顔つきは厳めしいおじさんだった。
「本当に会えたね! びっくりしたあ」
そして、アリッサが、そこにいた。
窓を背にした大きな机、大きな背もたれのある椅子にちょこんと腰かけていたのを、おれを見て、ぴょこりと立ち上がった。
「もう登録は済んだの? 歓迎するわ。ようこそ<世界図書館>へ! 私が館長代理のアリッサ・ベイフルックです。よろしくね」
「あ――ええと……、おれ、アリオ……。飛田有生っていうんだけど……」
「アリオがファーストネームね? いいわ、座って。お茶いれるけど、何がいい?」
彼女はよくさえずる小鳥みたいだ、と思った。
「お茶……えと、何が、って?」
「……。アールグレイをお願い」
「かしこまりました」
紅茶の種類を聞かれていたのか。おれが要領を得ないので、アリッサは勝手にそう決めて、執事の人に命じた。なんだかそういう――人に命じることにすごく慣れた様子で、この部屋の様子も豪勢だし……そうだ、たしか「館長代理」と言っていたっけ。もしかして、この娘って、エライ人だったりするんだろうか?
「あ、そうだ。おれ……、あの晩、これを拾ったんだけど……きみのじゃない?」
おれはポケットからそれを取り出した。
あの晩、消えたアリッサたちが夢ではなかったことを確かめるように、懐中電灯をあたりに向けている中、おれが見つけたものを。
それは銀の鎖の懐中時計だった。
「あーーっ!」
アリッサが大声をあげた。
「そっか、あのとき落としたんだ! 拾ってくれたのね、嬉しい! おじさまに貰った大事な時計だったの!」
彼女の喜びようと言ったらなかった。
それならおれも拾った甲斐があったというものだ。紅茶が運ばれてきたが、そっちのけで彼女は何度もお礼を言うのだった。
「本当に感謝するわ。なにかお礼をしなくっちゃ。そうだ、特別チケット発行してあげる」
「お嬢様」
執事の人がたしなめるような声を出したが、アリッサは応じなかった。
「どこでもいいよ」
「何が……?」
「行き先。聞いてないの?」
アリッサは、自分の机の上から、その模型を取って、おれに見せてくれる。ホールにあった機械の、ミニチュアのようだった。円盤状の部品がたくさん重なり合って、塔のようになっている。
「ここが<0世界>。そのひとつ上が、あなたや私がいた世界――<壱番世界>。他にも数え切れないくらいの世界があるわ。ロストレイルに乗れば、どこへだって行ける」
それから――
彼女から聞いた話に、おれは開いた口がふさがらない、といった風だった。
正直、一度ではすべて把握し切れなかったし、あの不思議な列車に乗ってさえ、まだまだ信じられないことだらけだった。
でもそのとき、おれはもう、手に入れてしまっていたのだ。
無限の冒険の旅へと出るための列車のパスを。