大朝日岳から帰った翌日。父が雪でひっくり返ったクルミの木を切ってキノコのほだ木にするのを手伝ったり(父がチェンソで切り、それを運ぶのはぼく、という感じ)していました。5月の連休は、子どものころから田おこしをしたり、雪での倒木を片付けたり、山菜を収穫して干したりする時期でした。
つまり、連休だからどこかに出かけたということが子どものころから無く、この休みは山や田んぼの仕事をするためにあるものだと理解していたのでした。

この日は、午前中は暖かくなり、春の盛りという感じでした。
クリの林も枝がずいぶん折れました。
林の下は、落ち葉の茶色からだんだんと色づいてきました。
緑の草の葉に、白い花、赤紫色の花。
山の草とか花とか虫とか-カタクリ咲くクリの林

赤紫色はカタクリの花です。
植えたわけではないのですが、ここはカタクリが群生するようになりました。
いえ、実はちゃんと植えたかたがおります。カタクリのタネはありんこたちがあちこちに運んで植えるのです。クルミはリスが植えますが、カタクリはありんこが運んで植えますね。
山の草とか花とか虫とか-カタクリの群生

こないだ古寺山と小朝日の鞍部で見つけたものは、曇りだったせいか花弁がしっかりと開いていませんでした。
暖かい日照のある日には、カタクリは花弁の先を花のうしろのほうへ反り返します。
山の草とか花とか虫とか-カタクリの群生アップ

陽があると、花びらは陽を透かしてさらに明るい色合いに見えます。
そうなんだよな~。この風景なんだよな。春はこういうものでした。
山の草とか花とか虫とか-カタクリ アップ

これはほんとにぐるんと反り返っています。反り返りすぎ。
春が来たのが嬉しくて、そりゃあと気合が入りすぎたように思えてほほえましく思いました。
山の草とか花とか虫とか-カタクリ 反り返った花弁

上からばかり見ていると気がつきませんが、カタクリは花の中心にこのような模様を隠しています。
これは虫を呼ぶための模様だそうです。模様の先は白っぽくなって、その先が赤紫色になっているのですね。
山の草とか花とか虫とか-カタクリ 虫寄せの模様

足元はこのようでした。
カタクリにエンゴサクの仲間、キバナノアマナにキクザキイチゲ。たくさんあって、どこを歩いても何かしら踏んでしまうようでした。
山の草とか花とか虫とか-葉の量

カタクリは、約7年ほどかけて育ち花を咲かせるそうです。
カタクリは、片栗粉の材料として(今はでんぷんはジャガイモなどから採るのが多いでしょうか)知られていますが、それには花の咲いてしまった株は向かないそうです。
これは5年か6年ほどの株のようですが、これくらいに大きくなり、かつまだ花の咲かないのが片栗粉を作るのには良いそうです。
花をつけるのは植物にとってはたいへんにエネルギーの要ることで、花が咲くほどの大きさになると根っこは逆にでんぷんの量が減るのでしょうね。
山の草とか花とか虫とか-カタクリの葉

これはまだ2年ほどの葉でしょうか。
カタクリの一株の寿命は約20年ほどと聞きました。
足元を良く見ると、これくらいの葉はたくさんあって、あと15年ほど後はこの世代がたくさん咲いてくれていることになるだろうなあと楽しみが続きます。
山の草とか花とか虫とか-カタクリのちいさな葉
カタクリは、「かたがっこ」と呼んで山菜として収穫して干して保存食にします。
これはばあちゃんたちが山を歩いて収穫をするのですが、これにもコツがあっておなじところを毎年採っていると少なくなってしまうのです。3年に一度その山のものを採るということを聞きました。山菜はこういう草たちとのおつきあいがあってこそ、いつまでも採れるものですね。
たくさんあるからみんな採ってしまおうと若輩ものほど思うものです。
ほんとの上手な人はたくさんは採りません。
山に行ってしこたま採って(この場合は盗ってと書くほうがしっくり)、おいらは名人と思っているようなのはいやすたがりのまぢしゅうです。

そうだ。
先日に小朝日と古寺山の鞍部にあったものは、葉がまるっこくて地面にぺたりと伏すような葉になっていました。
うえのクリの林のものは、枯葉のうえに大きく葉を広げています。
そして、こちらは、スギの林にちょっと入ったところにあったものです。
山の草とか花とか虫とか-暗いところのカタクリ

この株は、葉の模様が少なく葉は立ち上がり細くなっていました。
おなじ種類の植物とは思えないほどの変化があります。
草たちは動けないけれどこうやってかたちをちょっとずつ変えて、その地に生きているのですね。

Plant×50

カタクリ・・・1種×50=50円

5月1日から累計850円

2012年4月:1,450円
2011年9月~2012年3月:16,700円
2011年4~8月:18,150円
翌朝も風とガスの濃いのが続いていました。
山の草とか花とか虫とか-雨の小屋

鐘はさすがに横を向きませんが、ロープで編んだ鐘をならすひもは横を向いています。
帰りは、小屋の不用品をザックに入れて荷物をおろします。今回は75Lのザックでしたが、背負っておろすものは小屋番さんが登山道で集めていたごみだとか、お客さんが小屋へ置いていってしまったペットボトルだとかそういうのが多く、軽いのにがさばってザックに収まりきらないのでロープでザックにくくりつけていきました。これがまた、風にあおられて歩きにくいったら。
山の草とか花とか虫とか-風の鐘

小屋を出発したのはゆっくりめに8時30分。
帰りの銀玉水の下りのところでは、滑落停止の練習をしながら下ったりしていきました。
ピッケルも持っているだけではね、だめですから練習しなくっちゃいけませんね。
小朝日岳を10時ごろに通過し、古寺山には10時30分くらい。
ここまではまだガスというか、霧雨と風が強くてカメラはしまったままでした。
古寺山の下の、島のようになったところで早めに昼食にして、そのあとにカメラをだしました。
山の草とか花とか虫とか-古寺山帰り

これはハナヌキ峰の雪庇。
ここは登りではハナヌキ峰のうえに上がって通っていきました。
帰りは、斜面をトラバースしていきます。(夏の道もここはトラバースしています)
この雪庇は、今年は大丈夫っぽい感じですが、年によっては張り出して今にも落ちてきそうな感じのこともあります。
山の草とか花とか虫とか-ハナヌキ峰の雪庇

ハナヌキ峰を通り過ぎ、そちらからふもとへ伸びる尾根を眺めました。
山の草とか花とか虫とか-ハナヌキ峰からの尾根1

ここから古寺の集落までこの尾根は伸びていて、ここは来年の3月ごろにでもスキーで来たいところだと思いました。今年も3月にここを通りたいとも思ったのですが、日程が合いませんでした。
山の草とか花とか虫とか-ハナヌキ峰からの尾根2

下っていくにつれて、ブナの枝には赤みのさしてくるのを感じます。
山の草とか花とか虫とか-ブナの赤い芽

赤みを帯びたブナの枝先と、その向こうにはすでに新緑のブナ林。
山の草とか花とか虫とか-ブナの赤い芽と新緑

そして、ところにより木々はもう黄緑色に変わっていきます。
山の草とか花とか虫とか-色づく斜面2

これは、「お久しぶり 春の大朝日岳へ2012年 1」で覚えておいてくださいね、と書いたブナです。
山の草とか花とか虫とか-チェックしてねブナ

翌日の下りには、このように変化していました。(陽の具合と、写真の露出のせいもだいぶありますが・・・)
山の草とか花とか虫とか-ブナチェック

手の届くところのブナの新しい葉はこんなふうにふわふわの毛があります。
この毛は夏ごろになるとすっかりなくなってしまいます。
葉の出たころにこういうふうに毛のあるのはなぜでしょう?
山の草とか花とか虫とか-ブナの新しい葉
ブナの葉は、これから大きく広がっていきます。
はなしに聞くと、朝日連峰のブナの葉は、太平洋側のブナの葉の何倍も大きいそうです。
これは、雪の多いところでは春の融雪のころに葉を広げることもあり、葉を大きくする水分に困らないからだといいます。

雪の上には、ブナの葉が展開するのに振り払った芽のうろこが散らばっていました。
山の草とか花とか虫とか-雪モミジ

古寺鉱泉には13時ちょっと前に着きました。
山の草とか花とか虫とか-鉱泉へ

古寺鉱泉にコンニチハ。
山の草とか花とか虫とか-古寺鉱泉へコンニチハ

春の一日というのは、ほんとうに大きな時間ですね。二十四節季というものの、春には一日がそれぞれ一つの季節のようです。

Plant×50

ブナ・・・1種×50=50円

5月1日から累計800円

2012年4月:1,450円
2011年9月~2012年3月:16,700円
2011年4~8月:18,150円
古寺山からは、しばらく夏の道と雪の上とまじるような道で、岩もあちこちにあり、気温も雪の表面が凍るほどではなかったのでアイゼンははずしていきました。

古寺山から小朝日岳に向かう途中のダケカンバの根元のあたりの雪のないところにカタクリが。
ここでカタクリを見たのは、実ははじめてです。ふもとのものよりも葉がずいぶん小さく感じました。
山の草とか花とか虫とか-カタクリ 小朝日手前

ふえ~。周りはまだまだ残雪で、標高もあるから寒いのによく咲いています。
山の草とか花とか虫とか-カタクリ2

開き気味のものもありました。晴れていればきっとくるんと開いていたことでしょう。
山の草とか花とか虫とか-カタクリ

そして付近にもうひとつ。
こ、これはヒメイチゲでしょうか。なんてぇちいさい!
山の草とか花とか虫とか-ヒメイチゲ

図鑑では、葉も花も水平に空に手を広げるように開いているのですが、これも天候のためかうつむいていました。グローブで指の大きさも大きめに見えていますが、それでもこのちいささの花。
実際に見ると、ほんとうに驚くほどの可憐さがあります。いやあ、良かった。ここに来て良かった。
さて、もう帰りましょうかね、というくらいに満足いたしました。
山の草とか花とか虫とか-ヒメイチゲ 大きさ

小朝日岳に向かう途中は、夏の道が出ているかと思うとこのように雪のあるところもありました。
雪庇がばっかりと口をあけています。
山の草とか花とか虫とか-裂け目

小朝日岳を登っていきます。このあたりからガスがかかったり晴れたり、めまぐるしく変わっていきました。
山の草とか花とか虫とか-小朝日岳を登る

ガスが晴れたときには遠くが見えました。小朝日岳の向こう側も夏の道が出ています。
山の草とか花とか虫とか-小朝日岳の途中から

小朝日岳には13:27に到着。
山の草とか花とか虫とか-小朝日岳山頂

ここで青空も見えました。
色が濃く藍色のような空でした。
朝日連峰には、西からの風のためでしょうか、向こうから雲がこちらに越えてきているようです。
山の草とか花とか虫とか-西朝日方向

向かう大朝日岳方向も雲のなか。
これからテクテクと歩いてあの雲のなかに行くわけか・・・。
こういう風景も山の楽しみですね。これはふもとにいたら出会うことのない光景です。
山の草とか花とか虫とか-大朝日方向

小朝日岳からは、ちょっと急な斜面を下り、熊越えを抜けたところ。
ここから雲のなかのようです。
アイゼンをつけたままだと、こういうところの石にひっかかったりして逆に危ないように思いますし、木の幹や草を鉄の爪で踏みつけることになるので、こういうところはぼくはこまめにはずしたいと思うのでした。だって草や木に会いにきているのだから。(もちろん要るところでは要ります)
山の草とか花とか虫とか-登山道

9月に来たときに、ハバチの幼虫が発生していて気になっていたハイマツのあたり。
ハイマツは、風のあたる葉の束の上のほうがオレンジになっていました。
ここは確認しておきたかった箇所です。
山の草とか花とか虫とか-ハイマツのオレンジ

だんだんと風が強くなり、ガスは雨粒に変わってきました。
銀玉水からの登りのところに着きましたが、ここから先の登りはまた凍っていること多い斜面なので、アイゼンをつけて登っていきます。まわりの地形はなんにも見えません。
ここを登っていくと、風が強くなるので登る前にレインウェアのジッパーをしっかり閉じたり、身に着けたもので飛ばされそうなものがないか確認していきます。
山の草とか花とか虫とか-銀玉水からの登り

ここからは、カメラはザックにしっかりと片付けてしまったので写真はありません。
しっかり歩いているつもりでも風でよろけてしまったりするのでした。
また、口を開けると、風が吹き込んで鼻のほうへ風がスゴゥ~、と吹き抜けて鼻水がどこかに飛んできます。

小屋へは15:30くらいに着きました。写真は、小屋についてからカメラをザックから出して撮りました。
夏ならば速い人なら4~5時間ほどの道のりですが、この日は8時間ほどの登りとなりました。(休憩とおしゃべりをしすぎ)
山の草とか花とか虫とか-小屋へ

途中から離れていた4人のパーティもほどなく到着して、静か過ぎない小屋の夜になりました。
風の音はゴウゴウと一晩中続いて、丈夫なはずの小屋も時折揺れたりするのを感じました。この日の前日には吹雪だったそうです。小屋の玄関のところの温度計は1℃となっていました。


Plant×50

カタクリ、ヒメイチゲ、ハイマツ・・・3種×50=150円

Climb×100

古寺山、小朝日岳・・・2座×100=200円

5月1日から累計750円

2012年4月:1,450円
2011年9月~2012年3月:16,700円
2011年4~8月:18,150円