作業に行ってからもう2週間にもなるのですね。
ついつい長く書いてしまい、その間に稲刈りをして、秋祭りがあって、ストーブにも火を入れる寒さになりました。

さて、2日目のことです。
朝の5時過ぎに山荘を発ち、現場へ向かいました。
三角峰を横切る道を先行するメンバーが進んでいます。
三角峰

オツボ峰下の水場のある鞍部のあたりからは、月山、遠くに鳥海も見えました。好天です。
一日目の夜によく眠ったためか、二日目は前の日の足の重いのがまるでうそのように気持ちよく登れたのでした。
月山、鳥海

化穴山。おはようございます。朝日連峰には、狐穴という地名があり、穴から狐が飛び出したからという由来ですが、化穴からはやはりなにか化けっぽいものが飛び出したのでありましょうか?
化穴

二日目の作業は、一日目には、実は、ぼくたちの1班は、2班とほぼ合同チームとなって作業を進めており(資材を互いに融通するのにそうなったのでした)、二日目は2班の作業箇所に合流して進めていきました。
施工の現場は、標高を上がるにしたがって風の影響が大きく見られました。
この箇所での風衝の様子としては、裸地の砂が、重力によらずに風下のほうへ移動しているということがありました。重力よりも風のほうが強い場所のようです。
砂が上に動く

植物は風下へ帯状に生えていました。
風の跡

石の風裏に育つ植物。
風下に残る植物

それを遠くから見ると、こんなふうに縞々になっているのです。
この日はとても穏やかな山でしたが、この場所の風の猛烈さが伺えます。
縞々

自分たちの作業箇所が終わると、より上部の箇所へ手伝いと作業箇所の確認をしながら進みました。
ここは、排水の影響が大きな下のところのさらなる洗掘を防ぐため、ちょっと上流側に排水を設けたようでした。
作業箇所

ほかの班の作業した箇所を見学したりするのもとてもためになりますね。
面白い箇所を見つけては、話をしながら進みました。
作業箇所で談話

今回の現場では、登山道の外に水を導くべき場所が見つからないところが多くありました。
そういったところでは、今回はとりあえず、登山道の高さを周囲と同じくらいまで戻せるように段をこしらえ、次回に経過を生かして排水まで持っていこう、という方針にしました。
広くなっている箇所

昼も近くなったころ、各班の作業も目処が立ち、一番上部のオツボ峰直下あたりへ。
一番上の作業箇所

ここで、みなさん、早めのお昼ごはんを摂り(朝食が朝の5時前でしたから、もうはらぺこなのです)、その後、作業箇所の説明などの振り返りを行いました。

次回はこの山の手入れのおはなしの最終話の予定です。
タキタロウ山荘へ戻り、夕食の時間になりました。
この山荘には、なんと照明がありました。山荘の横の敷地に太陽光パネルがあり、そちらで発電しているようでした。
照明

ぼくはアルコールを摂取しませんが、みなさんこれを楽しみにしておったようです。
金色の容器に入ったお高めの麦の発酵汁は、地元の山岳会からの差し入れであったそうです。
おさけ

さあさあさあ、という具合でした。
さあさあ

参加者のみなさんで順番に、所属などの自己紹介や、山のあれこれのおはなしをする機会がありました。
自己紹介を
ぼくは、今年の6月に、このブログをお読みのみなさんが古寺からの登山道を登る機会があって、その折に、保全作業をした箇所を見てくれたことなどの紹介をしました。

そんなふうにして一周するころには窓の外はすっかり暗くなりました。
だんだんとお酒も入ってきていたのか、壊れてしまった以東の避難小屋のおはなしをして、感極まって涙する方もあったりしました。それぞれの山に小屋に、それぞれに登られる方の想いがあるのです。
日が暮れた

なんということでしょう。この山荘、屋内に水場が・・・。
これじゃあ住めてしまうではありませんか。
水場があります

普通の流し場ではあまりお目にかからない内容の注意事項がありました。
体や頭をここで洗わぬこと、魚の腹を裂かぬこと、びくを持ち込まないこと、などなど。
守りましょう。
注意書き

外は月夜です。
月夜

この日は、9月6日。いつもより大きな満月になった日の数日前でした。
月夜の水面が撮れぬものかと玄関先に出てみると、タキタロウの調査に同行しているテレビ局の方が夜の映像を撮られていました。
なお、タキタロウの調査は、3日間の日程で行われたそうで、魚探(ソナーで魚の姿を探す機械だそうです)には、イワナやヒメマスの潜らない深さに魚影が確認されたとのことで、調査の関係者の方が熱い口調で説明してくれました。いるのでしょうね、タキタロウ、いるのでしょう。
この時間にも、深い池の底からお月見していたかもわかりません。
月夜の水面

夜は更け、そして明け。
朝の以東岳。小屋がちょこんと見えています。
この時間のちょっと前、朝の4時ころは、雨が降っていて、二日目は雨かなあ、なんて空模様でした。
朝の以東

おかげさまで、空が明るくなっていくのとあわせて雨があがってくれました。
山荘からの出発は、朝の5時の予定でしたが、すこし時間が押して5時15分ごろの出発になりました。
朝の小屋

一行は、二日目の作業のため再びオツボ峰を目指します。
作業中、振り返ると三角峰(1520)。
三角峰方向

道端にウメバチソウ。
ウメバチソウが咲いていた

作業は続いております。丁寧に一箇所ずつ心をこめて作業していきます。
作業中
ぼくだけのんびり景色や花を愛でたりしていたわけではありません。一息つきつつ撮ったのでしたよ。

設置された土嚢です。まわりにふわふわしたのが詰めてあるのは、ヤシ繊維で、これは流れてきた砂をつかまえて、よりしっかり地面に定着させます。
中央がへこんでいるのは、周りを水が流れると、そちらが削られてしまって溝が大きくなってしまうからです。細かな施工のテクニックがあったりするのですね。
土嚢

まだせまい隙間には、こんなふうなのもやってみました。
浮石(しっかり定着している石の下には虫が住んでいたり、地面を押さえるのに役割を果たしているので取ってはいけません)をはめこんで、段差の下にちいさなプールになるようにしてみました。これは、うちの山岳会で時折、歩くついでに施工したりするやり方で、砂をためたり、水の勢いを抑えたりするのに、ちいさいながら効果があるなあと思っていたためここでもやってみました。ちいさいのでそんなには持たないかもしれませんが、悪い方向にはいかないのでないかと思ったためでした。数箇所でやってみましたので、来年あたりにでも確認したいものです。
石のちいさなダム
(左が上流)

こんな感じ。(手前が上流、水は向こうに流れます。)
こんな感じに設置


タカネマツムシソウの装飾花の無いタイプ。(よ~く見ると、一番外側は、ちょこっとだけひらひらっとしているような、してないようなです)
周りにひらひらがないとちょっとさみしいですね。
周りだけ散ってしまったのか?と思いましたが、この株は全てこんな具合でした。
マツムシソウ 周りに装飾花の無いタイプ

こっちがよく見かけるタイプです。一番外側が装飾花になっています。
マツムシソウ

作業箇所。ここは、水流による浸食はまだそれほどでもありませんでしたが、登山道外に流れていく水に含まれる砂を、この土嚢で持って砂だけ留め、風衝草原に砂が影響するのを抑えたいのでこんなふうにしました。
作業箇所1

続いて別の作業箇所。ここは登山道の歩行路を流れる水が、一番手前の土嚢から右に排水されている(これは自然にそうなっていた排水です)のを、砂が流れ出ないようにしました。
歩行路は、人が歩いての摩擦でもって表土がはがれ、それが流れ出ているようでした。一旦、登山道内で段になって留まれば、浸食を抑えることができそうです。
作業箇所2

作業したあたりは、風衝の草原と、砂地と、ササ原がまだらにいりまじったような状況でした。
風の当たるのが強い箇所では、ヒナウスユキソウの根の周りが風で削られ、ウスユキソウの株がひょっこりと立っている感じになっていました。
ヒナウスユキソウの葉

一日目の作業は15時をすこし過ぎるくらいまで行い、大鳥池のほとりの山荘へ帰ります。
三角峰のあたりから見たオツボ峰の下の地形。大きな溝に掘られた地形になっていました。
残雪があのように地面を削ったのでしょうか。雄大な山の時間の流れを感じます。
オツボ峰下部の地形

やがて大鳥池が大きく見えてきました。
おおとり池

樹林帯へ入ったころ見つけた不思議なとげのある茎。
これは?

なんだろうか~?これは?
と思いつつ、周囲を見渡すと、なるほど、答えがありました。
マイヅルソウの実のなっている茎から、実がおっこちたあとだったのですね。
トゲのように見えていたのは、実につながる短い茎だったのです。
マイヅルソウの実の茎

1時間20分ほど歩いて池がだんだん近くなって来ました。
輝く水面

西日に輝く水面の出迎えで山荘に到着したのは16時38分ほどのことでした。
明日は小屋の夜と、二日目の作業の一部をお伝えします。