稲刈りの準備の合間の日々、時折川へ。
今年のうちの近くのエリアは、ほかでは大雨などになっているのに、すっかり忘れ去られたように雨が降りません。うちの集落は、裏山を水源としたちいさな規模の水道で生活しているのですが、水が不足して、ふもとのほうから、町の水道のお仕事の方が数日に一度水を運んで給水しているような状態になっていました。ありがたいことです。昔のように、自分たちで水を確保するとなったらとてもできなかったことでしょう。それを考えると水道料金は安いものだと思われるのでした。

川は、澄みすぎるくらいに澄んでルアーを流してみても魚の警戒心が強くなっているためか釣れません。(アタリがあったんですが、かけられませんでした)
澄みすぎた川

最上川に行ってみようかと足を運んでみたらもう暗く・・・。秋の夕暮れは早いのですね。
木の船に乗って網をかけている方がいて、おはなしをしてみると、今年はナマズが捕れないんだよね~と言っていました。
夕暮れと漁労

さて、今年もようやく稲刈りへたどりつきました。9月14日のことでした。
この日は朝に作業をはじめたかどうかというところで、一時的に雨が降り、ありがたい雨ではあったのでしたが、すっかり濡れてしまって、風邪をひいてもつまらないので、はじめたばかりの稲刈りが中断をしました。
午後から再開です。(午後からは晴れていたのです)
稲の杭ならぶ

1、2、3・・・ここには8本分の稲束。
稲杭の様子

稲刈りの様子です。
刈るのはバインダという機械(写真を撮っていませんでした)で刈るのですが、一定量を刈り取ると、ひもで稲をがちゃんと束ねて右の地面に置いてくれるのです。
一輪車に毛が生えたくらいの機械なのですが、今使っているものは、近所の方から譲り受けたものなのでしたが慣れないもので、バランスをとるのに腕が疲れること疲れること。クラッチも調子がよろしくなく握力のトレーニングをするような感じでした。長年使ってきたうちの機械は、一昨年に壊れてしまったのです。田んぼに並んだ稲の束は手作業で集めて背負って杭のところに持っていきます。
稲刈りの様子

杭には、縦、横、と交互に穂先が外に出るようにかけていきます。
お日様を浴びて育ったイネに、刈り取って後もお日様の力で乾いてもらおうという感じでしょうか。
コンバインで刈る場合には、その場で脱穀までしてもみになるのですが、この場合には乾く間にも茎からもみへ栄養分が移動して、まだ青さのあるもみが完熟に至ります。なので、コンバインよりは刈る時期がちょっと早いのです。では、完熟するまで植えたままではどうか、というと、刈り遅れるとお米が白くなるハラジロ、割れてしまう胴割れなどが起きたり、イネの茎も枯れつつある時期なので、雨が降ると倒伏して、地面に付して濡れ、もみがだめになったりしてしまいます。少し早めに刈って天日乾燥すると米粒の品質が一定に揃いよいものになるのだそうです。それと、乾燥に要する石油燃料が要りません。ただし、手間ひまと流す汗は何倍にもなります。
稲杭の天日乾燥

翌日(15日)も稲刈りの続き。秋のこの時期に休日(田んぼのある方は休んではないわけですが)などあるのは、稲刈りのためでないかと思っておりました。
ちいさなカナヘビがおりました。
ちいさなカナヘビ

コシオガマの花も咲きましたね。
コシオガマの花

あまり・・・進んでいないようですが。これは二日目の作業前に撮って、その後に撮るのを忘れておりました。写真を見てみると、あまり数を撮っておらず・・・。
そのくらい熱心に作業したのだと思ってください。
稲刈りの様子

この二日間でおおむね8割、いえ9割くらいを済ませ、日当たりの少ない田んぼはまだ青かったので、数日後に刈り取りました。
植えたからにはしっかり刈り取って、と。これでひとまず安心しました。これから一年間は、家族が飢えないくらいに食料が確保できたのだ、という実にシンプルな安心感であるなあと思います。

このあと、二度の稲束の掛け替えをして乾かし、脱穀、もみすり、精米の後に食卓に上るのでした。
昨夜は、山岳会のいもに会があり、先ほど帰りました。いもにを食べ過ぎてまだおなかが空きません。所用にて、これからも少ししたらまた出かけてしまいます。

さて、稲刈りの準備のおはなしの途中でした。
杭に水平の「横木」をつけた日の午後の青空です。
空の青みが、夏とは違ってきたなあと思います。
青空

今年は田んぼに来る鳥たちが多いようです。
カモやホオジロやカラスにヤマドリ。
こないだなどは、ヤマドリが一羽飛び立ったな、と思ったら、次々に飛んで計7羽ほども田んぼに来ておりました。ヤマドリは少なくなったなんてことも聞きますが、ずいぶん育っているようでした。
鳥の食べた稲穂

次の準備のおはなしです。
田んぼの近くに、小屋がけして、昨年のわらや、田んぼで使うホースなどを入れております。
わらを入れておく小屋

ここに取って置いた昨年のわらたばの葉っぱや柔らかなさやを、指を広げて梳くように取り除きます。
右が未処理のわらたば、左が梳いたものです。
梳くと、わらの軸だけが残ります。縄ないなどするときにも、こうやってから綯ったりしますね。
わらの準備

ぼくがその作業をしている間、じいさまはヒエの残ってしまっているのを刈っていました。ヒエはずいぶん取り除いたのでしたが、いくつか残ってしまったのもあり、残したままですとタネがこぼれて来年にたいへんなことになるのです。
しかし、黄金色に稔った稲穂の中のじいさま。青い作業着を纏っております。
・・・はっ!
「その者蒼き衣を纏いて金色の野に降りたつべし・・・」
そうか、そういうことでありましたか。
そのものあおきころもを

さらに深い青になった空、白い雲はいくらか夏の面影がありました。
白い雲

さて、ここから角刈りです。(かくがり、ではなく、かどがりです)
これは、稲刈りの機械が田んぼに入って曲がったりしやすいように、田んぼのはじっこをあらかじめ手作業で刈っておくものです。
田んぼの中には、いろいろな草も生えていて、手作業で刈っているとついつい目に入ってきます。
これは、ハイヌメリでしょうか。意外とみかけないイネの仲間の草です。
ハイヌメリ

ホシクサの仲間のイヌノヒゲ、かな。
ホシクサの仲間も、見分けがややこしいものがあり、はっきりとわかりません。
イヌノヒゲ

今年の田植えの頃に、ぼくが足をやけどしてしまい、機械植えの間に補植をできなかったためできた隙間には、草たちがたくさん。コナギなどのようですね。
イネの隙間に育つ草たち

手作業で鎌で刈っていったら、先ほどこしらえた梳いたわらで束ねていきます。
結び方をご紹介しようと、じいさまに
「写真を撮るのでゆっくりとやってみて」とリクエストしたのですが、一連の流れの動作になっていて、ゆっくりとはできないようでした。
手刈りのわら束結び
※文中では、「結ぶ」「束ねる」と記載していますが、口語では「まるぐ」と言っています。「刈ったさげまるてけろ」という用法です。

束ねたもの。
わら束 結び

では、替わってぼくが結び方を。
これを・・・
これを

こうやって、こう。こちらをそちらにくるんと回して、くいっと差し込む・・・。
いや、やっぱり一連の流れでないとできないです。そういうものなのですね。
こうやってこう
なお、父は「改良まるぎ」というちょっと違った結び方をします。ぼくのやり方もじいさまのとちょこっと違うようです。じいさまに言わせると、「ほどけなければよいのだ」、ということでした。

角刈りがすみました。これで機械も入られますね。
角刈り後

手でまるった束を杭に掛けていく様子。
縦、横、と交互に掛けていくのですが、最初の数段のバランスがむつかしいのです。
イネの杭掛け

とここまで準備をして、ようやく稲刈りに入られるようになるのでした。
次は稲刈りの様子です。
田んぼに咲くハッカの花。葉をちぎると、す~ぅ、とメントールの空気。
葉の付け根に一周、ドーナツのように花をつけます。
ハッカ

コメナモミの葉は柔らかな緑色です。古い時代に大陸からやってきた植物だそうです。
実はぺとぺと粘ついて、これの生えている草むらをかきわけて歩くと、それはもうズボンにぺっとぺとです。取るのが大変です。高血圧に薬効があるとかないとか。
メナモミ

ところどころ、こういった茶色のもみのついた穂があったりします。
茶色のもみには、ちゃんとしたお米が入っていません。
これがイモチ病なのか?と不安になったことがありましたが、どうやら違うらしいです。
不稔の多い穂

茶色のもみをむいてみると、空っぽのものがあったり、こんなやせた米が入っていたり。
どうも不稔というらしいのですが、原因としては暑くなり過ぎて高温障害だったり、逆に寒さだったり、乾燥だったりするようです。イネの花の咲くころには、水を張ってあげないといけないのですが、乾いたままだったりすると増えたりするのかもしれません。(怖くって実地には実験できません)
くず米

次の稲刈りの準備は、田んぼのくろ(畦)に天日乾燥で用いる杭を立てることです。
地面に下穴を開ける際に用いる道具があります。
この道具は、電気も燃料も風力、水力、そういったエネルギーをなにも用いずに穴を開けることができるのです。すごいですね。ハイテックなのです。(つまり人力というわけです)
穴あけ機

この杭立ての作業は、うちの田んぼの場合は、大小10枚ほどの田んぼがあり、それに大きさに応じて、5本~15本ほどの数を立てます。
これがまあ、なかなかひたすらの力仕事でして、下穴を開けては杭を運び、運んでは立て、立てては穴を開け、そのうちに腕がぷるぷるして、ぎゅっと力が入らなくなります。
杭
並びましたね。ちょっと斜めだったりするのは仕方ありません。

草刈りしたくろに立った杭。結局、杭を立てるだけでまるっと一日を要しました。
杭が立った
・・・でもまだ完成でないのです。

別の日。

ノブドウの実がありました。ちいさな細長めのハエがとまっています。
実にはちょこんとなにか突起が。
ノブドウの実

よく見てみると、はあはあ、なにかの抜け殻のようです。
ノブドウミタマバエの抜け殻

とまっているハエの仲間。もしかすると、ノブドウの中で育って羽化したのでしょうか。
このハエの仲間は、おそらうノブドウミタマバエというものです。ノブドウの実のかなりの数に、このハエの幼虫が入っているそうですよ。
ノブドウミタマバエ

ヤマノイモの茎にはむかご。垂れ下がっているのは雌花の花序と、先っちょに実。
イモのつるを見ると、ぼくは無条件にうれしい気持ちになります。
子どものころには、もうちょっと季節が進んで、葉が枯れたころ、つるをたどってシャベルで掘って掘って掘って掘って。父が芋掘りが好きで、山に二人で出かけては掘ったものでした。
そんなわけで、イモのつるの下にはイモがあるのだ、と。
ヤマノイモの雌花と実

草刈りの際に刈らなかった土手に生えていたチカラシバの穂。
ふわふわですね。(触るとそんなにふわふわではない)
透明感があります。
チカラシバ

この日も一日作業をして、これで杭の準備は完了。
杭 横木有り

どこが変わったかといいますと、杭の上下に二箇所、水平にちいさな木の棒がついています。
この木を横木、と呼びます。
これを全部の杭に結びつける作業でした。
下の横木の高さは、ひざこぞうの上あたり。稲束をここにかけて地面に穂が付かないくらいにします。
横木

ふう、準備もいろいろあるものですね。稲刈りの機械の調整などもありますが、そちらはあまり面白くないので端折ります。
次は、角刈り(かくがり、ではなく、かどがりです)をしました。