次にはとある草と虫のちいさな池に行きました。ここはちょっと深いのでながぐつでは入られません。
山の草とか花とか虫とか-ちいさな池

学芸員さんが、「あれ~?なんで無いの???」と不思議がっていたのは、ホソバタマミクリという草です。ようやくここで見つけたのは池のそこからちいさなひょろひょろした葉を伸ばした姿でした。
山の草とか花とか虫とか-ホソバタマミクリ 水の中の葉

よく見ていくともうちょっと育ったのもありました。
水の底から葉を伸ばして、水面まで届いたところですね。
山の草とか花とか虫とか-ホソバタマミクリ 育ちつつある

育ちつつある途中で抜けてしまったものが浮いていました。
根っこはこんなふうにあまり頼りがいのある感じではありません。
山の草とか花とか虫とか-ホソバタマミクリ 根

葉はよく見ると二重というか、中空のつくりになっていて、その中には空気が入っているようです。これできっと水面に葉を伸ばすのですね。
山の草とか花とか虫とか-ホソバタマミクリ 葉
例年であれば、この時期にはもう育ってミクリの名のとおり、栗のいがのような実をつけていたのかもしれません。いろいろ想像しましたが、場所などから考えると今年は雪解けが遅く今でもこれしか育っていないのかもと思いました。

もっと浅いちいさな池にもホソバタマミクリがありました。
山の草とか花とか虫とか-ちいさな池

こちらのものは、水上にはっきり葉を出して育っていました。上の写真の池よりも浅くて、これくらいのほうがホソバタマミクリは育ちやすいのかもしれません。
山の草とか花とか虫とか-ホソバタマミクリ

こちらの葉にはこんな食べ跡がありました。
山の草とか花とか虫とか-ホソバタマミクリ 葉のたべあと

葉には新品の十円玉のような色をした細長いハムシのなかまがいくつもいました。
なんとかネクイハムシというハムシのなかまで、なんとかネクイハムシ・・・。そのなんとかが思い出せません。せっかく聞いたのに残念です。メモ帳が要ったかもしれませんね。
山の草とか花とか虫とか-ネクイハムシの一種

この虫は、ミクリの仲間しか食べられないそうです。
もともとちいさな池に細々と生えるミクリを食べて生きる虫たち。
ちいさな池というたいへんに狭い範囲で命を繋いできたのだなあと思いました。
「もしここのホソバタマミクリが無くなってしまったらこの虫たちはどうなるでしょう?」と聞くと、「ここの個体群は絶滅してしまうだろうね」とのことでした。
山の草とか花とか虫とか-ネクイハムシの一種
池塘、池はいくつもあるのですが、それぞれに生える草に違いがありました。
ひとつひとつがちいさな閉じた系になっているのですね。
ちいさな池の草と虫を眺めて、なんだかすごく微妙なバランスで生きているものだなあ。
なんとなく行き先が不安だなあと思うものの、きっとヒトの暮らすこの星も宇宙からみたら似た感じで、土の玉にうっすら空気のあるところにいて、ちょっとだけあるでこぼこに登ったり降りたりして草を眺めたりしている生き物がいるなあ、という具合でしょうか。

Plant×50

ホソバタマミクリ・・・1種×50=50円

蟲×50

なんとかネクイハムシ(学芸員さんにまた会ったら聞きたいと思います)・・・1種×50=50円

8月1日から累計2,850円

2012年7月:4,150円
2012年6月:3,750円
2012年5月:2,450円
2012年4月:1,450円
2011年9月~2012年3月:16,700円
2011年4~8月:18,150円
そうそう、そうでした。
今回の鳥原山では、学芸員さんの調査に同行をしているのです。
ここは国立の自然公園だとかいろいろの規制があり、調査をするために湿原の中に入るのには特別の許可が要ります。調査は毎年継続して実施しているそうで、今年はなんだかんだとお忙しかったようで時期が遅くなってしまったようです。また、調査には単独では行かずに同行者が要るようでした。それで同行することになったのです。
まずは、このちいさな草。
これはミヤマヒナホシクサだそうです。
山の草とか花とか虫とか-ミヤマヒナホシクサ 花

湿原のうち、水の深すぎない、でもほかの草の丈も高すぎない。そんなところに生えていました。どれだかわかります?高さがほんの数センチの草です。
山の草とか花とか虫とか-ミヤマヒナホシクサ 生えているところ1

じめっとしたところに、何かの苗のように生えているのが今回調べるミヤマヒナホシクサです。
定規が4本組になったような枠でそのなかの株数を数え、その数をだいたいの面積に乗じて記録しているようでした。
山の草とか花とか虫とか-ミヤマヒナホシクサ 生えているところ2

根元はちょっと太めで、そこから葉がいくつかまわりに出て、頭花は茎の伸びたのにひとつ黒いのがついていました。
山の草とか花とか虫とか-ミヤマヒナホシクサ 全草

鳥原湿原のうち、この南東部は昔にテント場に使われていたこともあったそうです。
そのためか、その当時、踏みつけなども頻繁で今は木道とロープで湿原内には入らないようになっております。ミヤマヒナホシクサは、この草原の溝のようになったところに生えていました。登山道からはミヤマヒナホシクサの生えているのはなかなか気がつきません。
山の草とか花とか虫とか-ミヤマヒナホシクサ 場所
ミヤマヒナホシクサは山形では、絶滅危惧Ⅰ類(絶滅寸前)となっているようです。

踏みつけだけでなく、湿原はだんだんと草丈の高い草、または木が生えるようになっていって乾燥化していくものです。希少な草があるのも大事だし、でも湿原が自然のままに遷移していくのも節理だし、むつかしいところだなあと思いました。
山の草とか花とか虫とか-変わりゆく湿原

草原のところどころに見える白い花は、イワショウブでした。(これは数は数えませんでした)
ちょうど花の時期でした。
山の草とか花とか虫とか-イワショウブ

こちらはユリの仲間の花のようです。
山の草とか花とか虫とか-イワショウブ 花

また、草のところの根元にはモウセンゴケがびっしり生えていました。
地面を触ってみると、乾燥化しつつあるとは言っても触った指がしっとりするくらいの湿り気はどこでもありました。
山の草とか花とか虫とか-モウセンゴケ たくさん

場所を移動して、今度は池塘のあるところに行きました。
調べる草のあるところまで移動するのに、草をなるべくふみつけにしないように慎重に歩き、ミツガシワのあるところでは池塘の中をそっとそっと歩きました。
お次の調べるものは、ホロムイソウでした。池塘と池塘の間の島のようなのに生えておりました。この草も普段歩くところからは見ることができません。
これもおなじように定規の4本組のもので数を数えていきます。
山の草とか花とか虫とか-ホロムイソウ 実

ほんとうは、ホロムイソウも花の時期だと分布の場所と数を数えるのに良かったようです。
ホロムイソウはもう実をつけていました。
山の草とか花とか虫とか-ホロムイソウ 実 拡大
こちらも、絶滅危惧Ⅰ類(絶滅寸前)となっているようです。

池塘のなかを歩くのはほんとうにそわそわする気持ちでした。足をそっと置き、でも足の置き場がよろしくないとひざまである長靴のうえまで水が来てしまいます。幾度か足がずぶずぶと沈んでしまいました。
それでも、風が池塘に漣を起こし、草が揺れ、水面に入道雲が映るところをオオルリボシヤンマがいくつもホヴァリングし、羽音を響かせます。楽園というところがあるのならきっとこんなところだろうと思いました。ヤンマは稿を改めることにして・・・。
(許可を得ての調査など以外には木道からはずれたりしてはいけません。許可を得ていても、後ろめたい気持ちになりつつ入りました。必要な調べ物ではあるのですけれども。たいへんに貴重な体験でした)

話は変わってこちらはミヤマナラです。
これは極端にちいさな葉のミヤマナラに思いました。
でも、葉の大きさはかなり変化するとのことでした。
山の草とか花とか虫とか-ミヤマナラ

葉の一枚一枚はぼくの指先ほどしかありません。
あれれ?これはなんだろう?と思ってしまうくらいにちいさく感じました。
山の草とか花とか虫とか-ミヤマナラ葉
でも、芽はたしかにナラの仲間の芽でした。(冬芽の観察は夏にも役にたつかもしれませんね)

さて、もうちょっとおはなしは続きそうです。

Plant×50

ミヤマヒナホシクサ、イワショウブ、ホロムイソウ、ミヤマナラ・・・4種×50=200円

8月1日から累計2,750円

2012年7月:4,150円
2012年6月:3,750円
2012年5月:2,450円
2012年4月:1,450円
2011年9月~2012年3月:16,700円
2011年4~8月:18,150円
鳥原の小屋のとなりには霊山朝日嶽神社があります。
いや、霊山朝日嶽神社のとなりに小屋があります。
ぎい、と戸を開けて参拝しました。
山の草とか花とか虫とか-霊山朝日嶽神社

神社のとなりには、こんな木があります。
山の草とか花とか虫とか-クロベ

葉は、うろこが重なるようになっています。
これはクロベ、またの名をネズコ、という木です。
山の草とか花とか虫とか-クロベ 葉

この木は湿原のほうにもいくつかあって、そちらでは風の来る方向が枝が無くなっていました。
(写真の右、1/3くらいの二本の木)
うわあ、山だなあという樹形ですね。
山の草とか花とか虫とか-クロベ 樹形

このほかに写っている針葉樹は、ヒメコマツ、またの名をキタゴヨウ。
ヒメコマツは古寺鉱泉の裏の尾根に生えていて、なじみのある木ですがここのものはより水平に広がるようなものや、風でねじれたようなものもありました。
山の草とか花とか虫とか-ヒメコマツ キタゴヨウ

さて、沢にいたきらきらした虫のはなしをするのでした。
この沢は、湿原からしみ出たような水が流れていて、こないだの時期はこのところの雨の少ないためか水量が少なくなっていました。
小屋の前に水場からひいていた蛇口もなくなっていました。
コケの上だと目立つのですが、1cmほどの長さでしょうか。ちいさなきらきらした虫がちょこちょこ動いています。砂地のところにもいるのですが、砂と同化して見えません。
山の草とか花とか虫とか-沢の虫

沢の上流側は、水場になっているので、そちらよりも下流に少し水の中に入りました。
こういうこともあろうかと防水のカメラを持ってきていたので、ちょっと撮ってみましょう。
これは葉の上にいたものです。葉が葉脈だけになっているのは、この虫たちが食べたからでしょうか。見事なレースになっておりました。
山の草とか花とか虫とか-トビケラ 葉を食べる

こちらは二匹ならんで葉の軸を食べてるみたいです。
虫は、きらきらした筒のようなものに入っております。
これはトビケラのうち、ツツトビケラと呼ばれるものの仲間のようです。
きらきらしているのは、砂つぶのうち、雲母などを集めて巣である筒を作っているからのようでした。(なお、新潟の飯豊連峰近くに、雲母と書いて「きら」と読む温泉がありました。まさにきらきら)
山の草とか花とか虫とか-トビケラ ペア

カメラを水中に入れていたら、水の温度が低いためかレンズの内側が曇っちゃった・・・。(そのうちに直ります)
カメラを持ち替えて、水面のうえから撮りました。
この写真では、虫の乗っているのは石ですね。これが花崗岩(朝日連峰のものは、もっと細かく言うと閃緑岩だとかなんとか)で、この岩はいろんな結晶が集まったような石なのですが、そのなかに雲母も入っています。石が風化して、砂つぶになって、そのなかから平たい雲母を集めたのでしょう。
山の草とか花とか虫とか-花崗岩とトビケラ

こちらでは、コケの森のなかをうろちょろしていました。
トビケラの仲間の幼虫は、流れの強いところのものは、石にくっついた巣を作って網を張ったり、小石ごと石にくっついていたりしますが、流れのゆるいところに住むものはこんなふうに巣を背負って歩いて移動しているのを見ることができます。砂つぶのほか、木の枝や木の葉なども材料にしますね。
山の草とか花とか虫とか-コケの中から
ちょろちょろと動いているのを眺めるときらきらして素敵なのですが、写真だとちょっと伝わりませんね。残念。ここに行くことがありましたらちいさな沢をそ~っと覗いてみてくださいな。

こちらは、コカゲロウの仲間の幼虫のようでした。
カゲロウともまた幼虫の様子が違います。これは結構ちいさいのですが、ミニチュアの魚のようでした。
山の草とか花とか虫とか-コカゲロウの仲間

水生昆虫の幼虫などの図鑑は、今のところ手に入りやすい網羅的な図鑑は無さそうです。
(フライフィッシング関係の「水生昆虫ファイル」というのは持っているのですが・・・。)
もっと詳しく調べるとなると顕微鏡だとかなんとかを使って、文献にあたりながらやらないといけなくなるようです。・・・それはやめておきます。

さて、明日はちいさなちいさな草のはなしです。

Plant×50

クロベ(ネズコ)、ヒメコマツ(キタゴヨウ)・・・2種×50=100円

蟲×50

トビケラの仲間、コカゲロウの仲間・・・2種×50=100円

8月1日から累計2,550円

2012年7月:4,150円
2012年6月:3,750円
2012年5月:2,450円
2012年4月:1,450円
2011年9月~2012年3月:16,700円
2011年4~8月:18,150円