さて、二日目。
初めの1時間ほどは室内で座学でした。
地形や気象と雪の関係や、雪崩の仕組み、雪の山で使う道具のあれこれについて。

これはスノーソーという雪を切るのこぎりのようなもの。
これは剪定用のノコの使い古しなどでも十分だとのことでした。
写真は雪専用のもので、刃の側面には雪の粒の大きさを測る方眼が書いてありました。
山の草とか花とか虫とか-スノーソー

こちらはスノーバーというもの。これは改良型だそうです。
雪の斜面でロープを使う際の支点をとるのに使ったりするそうです。
なにか赤いものが張ってあるのは、製品として売っているものは金属だけで作られていて、それだとロープを延長する作業の際にうっかり引き抜けてしまったりすることがあるのだそうです。
で、この赤いのは山スキーで登る際に使うシールという毛がたくさん生えたものです。
これだと雪のなかでひっかかるように毛が生えていて、抜けにくくなります。
(あとでテストしました)
山の草とか花とか虫とか-スノーバー

その後に野外での研修。
宿からちょっと歩きました。
なかなかに風が強かったりしてすぐそこの方が雪煙の向こうへ。(その先にも幾人も人がいるのですがみえません)
山の草とか花とか虫とか-現場へ

研修の場所へつきました。
ちょっとした雪庇の上です。
山の草とか花とか虫とか-研修の場所

研修の様子。
雪崩の起きやすさを調べるコンプレッションテストをみんなでしてみる、というところです。
山の草とか花とか虫とか-研修の様子

ぼくもしました。
この方法は、こないだの金華山に行った際に小屋番さんがしたのとおなじ方法です。
雪の性質として、人が歩いたりする衝撃は、歩いて埋まった深さから70cm下まで伝わるのだそうです。なので、例えばひざまで埋まるような雪ならひざまでの50cmほど+70cmで表面から120cmくらいの深さまで調べればOKだとのことでした。
山の草とか花とか虫とか-コンプレッションテストの途中

スノーバーの改良型のものの引き抜けへの耐性をはかりで測っています。
雪の条件などで違いそうですが、このときにはたしか垂直に引いて13kg前後だったような記憶があります。
この引き抜きへの強さでロープを支えるのでなく、作業中にうっかり抜けないようにしてあるものです。
スノーバーの刺し方なども教えてもらいました。
山の草とか花とか虫とか-スノーバーの引き抜きテスト
測っているのは遭難救助の方で、この日の午後からは警察、消防と合同で訓練したそうです。昨年は救助出動の多い年で、一日に3件ほど連続で出動などということもあったそうです。どこかの海外の山の遠征で初登頂した方だったかと記憶が・・・。
最近に人気のあったマンガで山の救助のおはなしがありましたが、それの本物のような方なのですね。

こちらは踏み固めた雪の強さを測ってみたところです。
雪の表面を足で踏み固めても、実はかなり表面しか固まらない、というものの実証とあわせて体感したところです。雪面に支点を設置する際に、こういった雪の性質を理解した上でしましょう、というのを伝えるやり方の見本でした。
山の草とか花とか虫とか-踏みつけした雪面の強さ

今回の研修は、今回参加した方にこういった方法を教えるというのではなく、それぞれの指導者がそれぞれの会で後輩などにどのように教えるかの研修でした。
こういった方法は、ここに参加している方は出来て当たり前(ぼく以外は)なのを前提としての内容でした。

時折青空も見えます。
山の草とか花とか虫とか-青空

場所はこんなところでした。
雪庇の下に少し木が生えているので大丈夫ですが、見ているぶんにはちょっと恐そうなところですね。人の立っているところあたりで、小屋番さんがプローブを出して雪庇のあたりの積雪を測ってみたら3mのプローブで地面に届きませんでした。
山の草とか花とか虫とか-雪庇の上

研修は午前中で終了して帰ります。
帰りのこの日はすごい地吹雪になりました。
一台前にいるクルマが見えません。(これはちょっと見えたところ)
一瞬ホワイトアウトするくらいならまだしも、ずっとホワイトアウトしていてちょっと見える、くらいでした。
ここから酒田市内を通過するまでには、道の脇に突っ込んでしまったクルマや、停まったら雪に吹きだまられて動けなくなったクルマ、対向車と正面衝突も3件ほどありました。
海近くの場所の地吹雪というのはほんとうにすさまじいものですね。
帰りの車内では、こんな地吹雪になるようなら、うちのところの2mくらい積もるけれど風が強くないのはほんとうにありがたいね、というはなしになりました。
山の草とか花とか虫とか-なんにも見えない

帰りの月山道路。
雪の横面の青い線がかろうじて見えるくらいでした。この線がなかったらほんとうにどこまでが道路だかわかりません。
山の草とか花とか虫とか-月山道路 青ラインの効果

今回は会長さんのクルマに乗せてもらったので、助手席で恐がってはいましたがなんとか無事に帰れました。若い衆が運転しないで会長に乗せてもらっておそれ多いことでした。

研修の内容などは、まだまだ濃いところがあったのですが、すべては書ききれません。
こういったのを教えてもらってまた山に行くと、なるほどなあと楽しいものですね。
先週の土曜から日曜にかけて、県岳連の登山部研修会に参加してきました。
ぼくは指導員資格を持っていない(山形県内では長らく講習が実施されていなくて残念です)ので本来は参加できないようなひよっこなのですが、会長からお誘いをいただいて参加してきました。

会場は、鳥海山のふもとにある宿舎です。
庄内までは月山と朝日連峰の間を通る月山道路を抜けていきます。
道沿いは4~5mほどの積雪で、通年通行できる道路としてはかなり過酷な道の部類になることでしょう。
道の脇に青いラインが入っているのは、ここはよく吹雪いて(ほんとうにしょっちゅう)ホワイトアウトするため道の端が見えるようになっているのです。
山の草とか花とか虫とか-月山道路

ぼくは今回は会長のクルマに乗せてもらって助手席です。
うわ~、庄内名物の地吹雪ですね~。なんて恐がりながらも写真を撮っていたりするのですが、運転は神経をすり減らすような具合だろうと思います。
地吹雪のほんとにひどいときにはなんにも見えないので、写真はちょっと晴れたところです。
山の草とか花とか虫とか-地吹雪

朝に出発して、庄内を通過するのは昼近くになっていました。
「文下」と書いて「ほうだし(こうだしと書いていましたが、間違っておりますよと教えて頂いて直しました)」と読む地区の「文下食堂」、トビウオだしの美味しいラーメン屋さんによりました。
あっさりしているのに後味がしっかり味わい深いです。おいしゅうございました。
山の草とか花とか虫とか-文下食堂のラーメン

再出発のあともまだ吹雪いています。
ぼくの住む山形の内陸ではこれほどには吹雪きません。
海からの風が朝日連峰でさえぎられるのですね。
(なお、翌日はもっと本気の庄内の地吹雪の中を帰りました。これくらいならまだましだったのです)
山の草とか花とか虫とか-また地吹雪

ちょっと晴れてきましたね。
踏切があり、ちょうど貨車が通りました。
広い庄内平野を雪を巻き上げて通過して行きます・・・。と書きたいところですが、晴れてもまた見晴らしが良くないので広いのかわかりませんね。
貨物列車を引くヂーゼルの機関車がかっこいいのは間違いのないことです。いつか乗ってみたいものです。
山の草とか花とか虫とか-貨車

そんなふうにして、鳥海山のすぐふもとの鳥海山荘というところに着きました。
うちの会からの参加は、会長と小屋番さんとH先輩とぼくの4名。
なお、鳥海山荘は山小屋ではなくて宿舎というか温泉のあるお宿です。
夏にはここに泊まって鳥海山に登るのも良さそうですね。
山の草とか花とか虫とか-鳥海山荘

ここには昨年にもこの研修でやってきていました。
昨年に研修の場所だった鳳来山が見えます。(昨年は、雪崩の簡易な試験方法、深い雪のラッセル方法、雪庇に支点をとって懸垂下降などの内容でした)
今年も行くのかな?どうなのかな?
山の草とか花とか虫とか-鳳来山が見える

一日目午後には、鳥海山にまつわるはなし、遭難対策の全国の委員会に参加しての報告、登山競技(インドアのクライミングのことのようです)や登山道などの保全など各部門からいろいろと報告がありました。
みなさんが特に質問や話題提供の多かったのは遭難の現状についてのものでした。
鳥海山だけで昨年には27件(だったと思いますが)の救助の出動があったそうです。
山岳会などへの組織加入の割合が減少していることなどがやはり話題になります。
また、登山の形態として、パーティを組んで難しい山に挑むような登り方があまりなされなくなったということも話されていました。厳冬期の飯豊や朝日連峰の縦走はかなり前になされたあとは記録が無いのだということでした。
12月中だとまだ雪も少ないのでほんとに厳しい時期から外れる?と思うのですが、1月、2月あたりの記録など目にしてみたいものです。県内の山の精通者が集っているのでやはり最近は登られたということがないのでしょうね。
山の草とか花とか虫とか-書類

資料にロープの結び方などの名前がいろいろあるのだというのを書いてありました。
たしかにそうですね。
フィギアエイト・オン・ア・バイト、と言われてもぼくにはなんのことだかわかりませんが、はちのじむすびと言われるとわかります。
インライン・フィギアエイトノット、もわかりませんが、下のロープを上のロープにくるっと回すやつ、と言われるとわかります。
アイゼンをクランポン、とか、ピッケルをアックス、と同じような感じでしょうか。
クランポンだと、ついつい「くらむぼん」(宮沢賢治の「やまなし」にでてくる)を思い浮かべてしまいます。
山の草とか花とか虫とか-結び方の名前

夜には懇親会がありました。
先輩がたからたくさんおはなしをお聞きすることができました。
例えばある方は、
「晴れた条件のよいときに、すいっと山に登ってきた人と、気象条件が悪くて数日も停滞しながら登ってきた人とがおなじ技術力だと言えるのか?」
と言っていました。(たまたま晴れで登っておいて簡単な山だ、というようなのを戒めたい気持ちだろうと思う)
ぼくは、う~ん、どうなんだろう?と思っていましたが、その先輩は、
「いや!ちょっと待った。気象条件の悪いときに突っ込んでいってしまってるんだから、晴れた日に登った人のほうが技術があるんだな。うんうん。」と自分で納得しておられました。
山に登られる方というのは、なんでしょうね。いろんなことをちょっと違った方向からも考えるような方が多いなと思ったりします。歩く歩数が多いからいろいろな考えをするのかもしれません。

山の草とか花とか虫とか-翌朝
翌朝。
この宿舎のある標高450m付近はそれほど地吹雪になっていませんでしたが、次々に庄内の平野部のあちこちが視界不良や事故で通行止めの知らせがやってきており、海近くはたいへんな風になっているようでした。

二日目は雪崩の研修になります。
尾根を下っていくと、ちょっとした鞍部につきました。見落としてしまいそうな地形の変化ですが、地形図で確認して東へ降りていきます。
山の草とか花とか虫とか-ちょっとした鞍部

ここからは雪崩に気を付けたい斜面に見える(広く木が無い)ところを二箇所横切ります。
先頭からひとりづつ、あまり距離をつめないで横切ります。
万が一に雪崩れたときに、みんな一緒にいると一緒に埋まってしまって掘り出す方がいなくなるからですね。念のため。
山の草とか花とか虫とか-下っていく

降りていく途中に、先ほど登って行った尾根がみえました。
山の草とか花とか虫とか-さっき登った尾根

ちいさな尾根について、小休止。
この尾根は現地でみるとはっきりしているように見えるのですが、地形図からはほとんど読み取れません。ほんのちょっとだけ等高線が曲がっているくらいでした。
山の草とか花とか虫とか-ちいさな尾根

もう一箇所横切っていきます。そろそろ道というところでオッキーさんが足を滑らしました。
スノーシューはこういうところも苦手ですね。
山の草とか花とか虫とか-滑った

道に沿って、スギの幹にしみ出た樹脂を噛んだりしながら下っていきました。
スギの樹脂は噛むとフラボノイドガム(ロッテ)とおなじ香りがします。(花粉症のひどい方は、アレルギー反応があるといけないので真似しないでください)

登り始めの集落のあたりにつくと大きなスギの木が見えてきました。
これと違うところにあるスギにも、先月に会いに行きましたが、これもなかなかの大きさです。
山の草とか花とか虫とか-大杉

人が一緒に写っていると幹の太さがわかりますね。
山の草とか花とか虫とか-おっきーといっしょ

下のほうでは枝が横に長く伸びていました。
上の全体の樹形を見てみると、円錐形になっているのがわかると思います。
大きなスギは、若いスギほどには梢が尖りませんがそれでも全体が円錐形です。
円錐形に枝を伸ばすことで上から降る雪をそれぞれの枝でちょっとずつ受け止めるのだろうと思います。
なお、今回の写真には、スギが多く写っていますが、こないだの太平洋側のスギと比べると梢の尖り方がたしかに違うなと思います。
山の草とか花とか虫とか-横に伸びた枝

雪の集落。
山の草とか花とか虫とか-雪の集落

除雪してある道につきました。
ちょっとした積雪量ですね。
ここよりもっと月山に近い志津というところでは、現在は6mほどの積雪、過去には7m半ほどの雪が積もったそうです。
テレビのニュースで、気象庁の積雪の観測記録更新と報じていますが、観測所の無いところではもっと多いところももちろんありますね。志津は標高700mほどの月山の中腹ですが、もっと上のところならより多くなります。
(別に競争するものでないですが、気象台の方とおはなしした際には東北で最も雪の多いのは月山、飯豊、朝日のあたりだろうということでした)
山の草とか花とか虫とか-集落のなかの道

帰り道。車道のわきの土手も雪崩れることがあり、通行止めになったりすることもあります。
集落のあるあたりでは表層雪崩でどうこう、というよりも斜面全体が滑ってきて道路をふさいでしまったりするのが困ります。
山の草とか花とか虫とか-帰り道

この日はちょっとだけの山歩きで、思いのほか早くに下山したので温泉に立ち寄りました。
ところが運悪く湯の張り替え中とのことでした。
ロビーでいろいろおはなしだけして帰りました。井戸端会議ならぬお湯端会議でした。
山の草とか花とか虫とか-温泉

この山遊びは先週のなかごろのことで、このあとにまたまとまって雪が降りました。
今週末は知り合いたちとスキーに行きたかったのですが、また屋根の雪おろしなどをしないといけないようなので無念ながらお断りしてしまいました。
雪で遊びたいけれど、多く降ると遊ばれない。ちょうど良く降ってくれたらよいなあと思うけれど、空の都合で降るものなのでそんなにちょうど良くはならないものですね。