こないだの日曜のこと、午前中は近くの集落の堰の手入れや、あれこれ、お手伝いに行きました。ちいさな集落で、高齢者のおうちばかりになってしまい人手が足らないそうです。

午後からは、家に戻ってちょっとだけお散歩にいきました。
今年もウスギタンポポが咲きました。
ウスギタンポポは、花の周りの舌状花(はなびらの部分ですね)の色が薄く、中心付近は黄色いタンポポです。花の色だけが特徴的なのでなく、花の茎がやたらと長かったり、葉も大型で立ち上がるように生えます。すこし珍種のタンポポです。
山の草とか花とか虫とか-ウスギタンポポ

クリの林から田んぼへ抜ける道を行きました。
道端には、モミジガサの若い葉。
若い葉はシドケ(実際の発音は、すどげ)と呼ばれ、山菜になります。
山の草とか花とか虫とか-シドケ モミジガサ

アズマイチゲやエンゴサクの咲き誇っていた草むらは、花が散り、アズマイチゲの葉は、早くも夏の眠りに向けて黄色く枯れはじめていました。
山の草とか花とか虫とか-黄色くなる葉

フキノトウの雌花は綿毛をつけていました。
山の草とか花とか虫とか-フキノトウの綿毛

こ~んなにね、背が伸びるのですね。
綿毛を風に乗せたいので背が伸びるのでしょう。
山の草とか花とか虫とか-フキノトウ 雌花 綿毛

こちらは雄花の枯れつつある様子です。
フキは雌雄が別な株になっているそうですが、うちの近くではフキはやたらと生えているので、おそらく地中の茎もからみあっているのでしょう。雄株のフキノトウも、雌株のフキノトウも混じるように生えていました。
雄株のフキノトウには、雄花だけ付き、綿毛になりません。
雌株のフキノトウには、雄花と雌花が付き、綿毛になります。
文字だけで書くとなんのこっちゃ、という感じですが、とにかく綿毛の付くのは雌株のフキノトウで、雄株のフキノトウは役割を終えるとこのように枯れてしまうんですね。
山の草とか花とか虫とか-雄花 枯れつつある

赤コゴミは育って葉が開き、
山の草とか花とか虫とか-赤コゴミの茂みにヤマユリ

その周りには、ヤマユリがひょこひょこと顔を出して伸びていきます。
夏にはあの大きな豪華な花をたくさんつけてくれるでしょう。
山の草とか花とか虫とか-ヤマユリの新芽

雪解けすぐの春の名残と、夏の到来に向け変わりつつある草むらを進んでいきます。

さて、タヌキのトイレがありますよ。
タヌキは、おなじところに幾度もふんをする習性があります。
ふんの状態を見ると、ここ数日の新しいものはありません。
毎日おなじところにするわけではないようです。
しかし、ここは数年前からずっとタヌキのふんが毎年あってこんな様子なので、かなり長い期間使っているトイレであるのは間違いありません。
何匹も使っているのか、一匹ごとに違うのかはよくわかりません。気になりますね。
山の草とか花とか虫とか-タヌキのトイレ

タヌキのトイレも興味深い観察場所になります。
虫のなかには、動物のふんのあるところにばかり集まるものがいます。
この日は、この虫がおりました。
マットな質感の赤い胸部に黒い星が4つ。う~ん、これはかっこいいです。
山の草とか花とか虫とか-クロボシヒラタシデムシ

これはクロボシヒラタシデムシというふんや動物の死骸に集まる虫です。
こちらは、ねんごろになっておりますね。
タヌキのトイレは、食堂であり、社交場であり、子育ての場所でもあるのですね。
山の草とか花とか虫とか-クロボシヒラタシデムシのペア
シデムシというのは、ほかにもいくつかの種類がありますが、死出虫と書くそうです。
動物のふんや死骸に集まって分解をする役目なのですね。
ここのトイレには、夏にはまたちょっと違った虫が集まります。
たとえば、いくつかのチョウなどはふんを好んで栄養分を補給しにきたりもするようです。
チョウも花にだけ集まるわけではないのですね。

田んぼにはちょっと細めの道を行きます。
道に長めのバラの茎が伸びてきて、ズボンを通して足にちくちく刺さりました。
なにかと思ったらモミジイチゴです。
山の草とか花とか虫とか-モミジイチゴの花

モミジイチゴは白い花を、下向きにいくつもつけておりました。
これから実が育っていき、食べるのにちょうど良いのは7月のはじめのあたりでしょうか。
梅雨の後半の、ざんざんまとめて雨の降るようになりホタルが毎夜舞うもわんと暖かいような夜のころの少し前にモミジイチゴの実が食べごろになります。
道端の春も深くなりゆきます。
仕事に向かうさなかにも、道端に気になるものがありそうなところではちょっと足を(タイヤを?)止めて観察することがあります。

うちの近くでは、タンポポも咲き始めました。
道端には、昔からある在来のエゾタンポポと、海外からやってきたセイヨウタンポポと両方が咲いていました。
おなじような条件なら、エゾタンポポのほうが全体に大きく、背も高くなるようです。
山の草とか花とか虫とか-タンポポ二種

上の写真も、これも先週のなかごろのことなのですが、道端の日陰のあたりにはまだ雪が残っております。でもほんとに少なくなりました。(沢ぞいやスギの林床にはまだまだありますが)
山の草とか花とか虫とか-残る雪

街近くの道端では、タンポポは綿毛になっていました。(街近くですと、ほとんどセイヨウタンポポのようでした)
タンポポは、綿毛になっても愛される草のひとつですね。
ほかの草に比べて、タンポポの知名度の高いこと高いこと。
さらに、タンポポ憎し!というようなことはほとんど聞きません。
これはおそらくは、名前を知っているため、というのが影響しているのではあるまいかと思うのです。名前を知っているとぞんざいには扱いにくいものなのだと思いますよ。
山の草とか花とか虫とか-タンポポ

小学校の近くの道端には、摘んだ跡のあるタンポポの株がありました。
学校の行き帰りに、ちょっと気になってお花摘みをしたのでしょうか。
風の薫るこんな時期の学校からの帰り道、楽しげな情景を思いました。
山の草とか花とか虫とか-タンポポの摘んだあと

カラスノエンドウには蜜を求めてアリが登っており、
山の草とか花とか虫とか-カラスノエンドウ

タチイヌノフグリはちいさくサファイアのような花。
山の草とか花とか虫とか-タチイヌノフグリ

イネ科の草たちも多くなってきました。
これはオオアワガエリでありましょうか。
イネ科の花粉症の原因のひとつなどということもあって、花粉症の方には申し訳ないのですが、イネの仲間の草たちが青々と茂っていくのは、ほんとうに夏が近くなっていく実感があります。
山の草とか花とか虫とか-オオアワガエリかな

出かけた穂。
山の草とか花とか虫とか-穂

こんなふうなのは、トウモロコシのようですね。
山の草とか花とか虫とか-隠れた穂

仕事から帰る暗くなってしまった道端にも、こんなのがおりました。
タヌキですね。
タヌキはほんとにあちこちにおりますね。この夜は、たしか7頭ほどのタヌキに帰り道に会いました。
なかなか撮れないのですが、それほど遠くには逃げずに道端近くからこちらを見ていました。
フラッシュ点けてしまってごめんね。まぶしかったことでしょう。
山の草とか花とか虫とか-タヌキ

うちの田んぼにもしろかきした後にも通っているようで、まさにタヌキのタは、田んぼのタ、でありますね。
山の草とか花とか虫とか-タヌキ横

タヌキは何度も同じ場所にうんちをするので知られてもいます。
ぼくの知っているタヌキのトイレポイントは二箇所ほどあり、そのひとつをこないだ観察に行ったりもしておりました。それはまた別なおはなしですけれど。
5月も下旬に入ると、陽射しはいよいよ強くなり、暖かいというよりも暑いくらいの日があるようになってまいりました。
家のなかのどこかの隙間に隠れて冬を越したクサギカメムシたちは、家のなかをうろうろしていたりします。

クサギカメムシは、そのにおいの強烈なことから、「へくさむし」「へひりむし」「へっぴりむし」などと呼ばれます。
なお、「へくさむし」の「ヘクサ」は、体が六角形なことから、「Hexa(ギリシア語の6)」ではないかというような洒落た御仁もいらっしゃったりします。
カメムシの仲間にはにおいを出すものが多くいますが、これはテントウムシの黄色の汁や、イナゴの口から出てくる緑の汁などとおなじく、身を守る手段であるようです。
でも、手に乗せたくらいではにおいは出しません。
カメムシは、命の危険を感じるとにおいを出してなんとか逃げようとしているわけで、においが出てしまうのは、たとえば足で踏んでしまったり、つかんだりしてしまった場合ですね。
考えてもみましょう、彼らから見たら山のような大きさのヒトが、その指でつまむわけですから、これは一大事です。命の危険を感じて、なんとか生き延びねばなるまいと最後の抵抗を試みておるのです。そうならないように、よく観察したり、愛でたりしたくなったらそっとすくうように手に取るのがよいと思います。この状態で、そっと包むようににぎったり、指でつついたりするくらいではにおいは出さないのです。
山の草とか花とか虫とか-手のりのクサギカメムシ

数日前のとある夜のことです。
ふと近くから濃厚なカメムシの香りがただよいました。
あらまあ、カメムシくんの上に座ってしまったかな?と思ったのですが、においのもとをたどってみると細長いカメムシがいつものクサギカメムシを捕まえていました。
山の草とか花とか虫とか-捕食するオオトビサシガメ

こちらのカメムシは、オオトビサシガメという名があります。「サシガメ」とは、刺すカメムシのことでしょう。これも、家の中で越冬するのが多く、クサギカメムシほどの数はいませんがよく見かける虫です。
色合いがクサギカメムシと似ているので、子どものころなどには、「あの細長いのはへくさむしのオスだ(あるいはメスだ)」というような認識でありました。
なお、こちらのサシガメはにおいは出しませんが、捕まえると刺すことがあります。
クサギカメムシを捕まえているのからわかるとおり、肉食のカメムシの仲間です。
山の草とか花とか虫とか-オオトビサシガメ 横から

この細長いオオトビサシガメにも、ほかの名前がありました。
聞いたはなしでは、山形県の大蔵村の肘折という温泉地ではこのカメムシを「ヴァイオリンヘクサンボ」と呼ぶそうです。「へくさむし」を肘折では「へくさんぼ」なんですね。
ヴァイオリンとは、オオトビサシガメのエレガントな曲線の腹部のへりの様子をヴァイオリンになぞらえたのでありましょう。雅趣に富んだことでありますね。
山の草とか花とか虫とか-ヴァイオリンヘクサンボ

彼らはにおいのためか、見た目のためか、嫌いだという方が多く見受けられる虫のひとつです。
クサギカメムシのにおいの体液は、ひふに直接付着したのをそのままにするとかぶれてしまうことがあります。サシガメのほうは刺しますね(でもほとんど刺しません)。
特段に害をなすようなことをするのでないのに、カメムシ専用の殺虫剤があるほどです。
ぼくなどは殺虫剤のほうが、確実に人体に害があるだろうと思ったりもしておりました。

野外にはハチたちも増えてきました。
これはオオマルハナバチかなと思います。マルハナバチの仲間は、ふわふわの毛、丸っこい体形と花に夢中になっている様子などから、「まるちゃん」と呼び慣らして愛でる方もあります。
彼らの行動の中でなんといっても可愛らしいのは、花の蜜を吸い過ぎて体重が重くなり、飛び立てなくなって地面をころころ転がっていることがある様子でありましょう。
でもやはり、ハチ=刺す、というので嫌うというか怖がる方が多くおりますね。
ハナバチもミツバチも刺すことは刺しますが、ほとんど刺しません。
カメムシのにおいと同じく、つかまれたりした際に最後の手段として仕方なく刺すのです。
山の草とか花とか虫とか-オオマルハナバチ

先日に、とある山の上にトネリコの仲間の花を見に行った際に、暖かい陽射しの中でクマバチが飛んでいました。ピアノなどの曲に、くまばちの飛行、というせわしない曲がありますね。このような情景でありましょうか。
春先のふわんと暖かく、風に木々の花の香りが満ちる頃合に、大きな黒っぽいハチが空中に静止するように飛んでいるのがクマバチ(これはその中のキムネクマバチであろうかと思います)のオスです。
山の草とか花とか虫とか-クマバチ

まるいおしりに、いかにも滑らかそうな黄色の毛皮。ちょこんと立てたふたつの触角。
これが可愛いというのでなくてなにが可愛いというのだろうかという様子ですね。
山の草とか花とか虫とか-クマバチ おしり

クマバチのオスは、今の時期にはなわばりを作って、そのなわばりに入ってきたほかのちいさなハチやアブを追い払っていました。
山の草とか花とか虫とか-クマバチの飛翔

顔をよく見てみましょう。
顔の前に黄色の鼻のようなものがあります。この黄色いのがオスの特徴のようです。
メスにはこれはなく、眼はちいさく、大きなあごが目立ちます。
顔はほとんどが眼、というような眼の大きさです。
こんなふうに、空中を見張りするように飛んでいると、いかにも刺してきそう!と怖く思ってしまうのですが、彼らはオスですから刺したくても刺せません。ハチの針は、産卵管の変化したものなのでオスは刺せないのですね。
山の草とか花とか虫とか-クマバチ 押す

ハチも嫌がられる虫のひとつですね。ハチの場合には、においや不潔な感じ、というのでなく刺すから怖くて嫌、ということでしょう。
ハチもまたたいへんに種類の多い昆虫のひとつです。
そのうち刺すものは、ある説では2%ほど。
ハチの仲間は、まだ名前も生態もわからないものが多くありますが、刺すものなどは大型なのと刺すことで注意深く観察されやすいことから既にかなり知られております。
反面、刺さないハチの仲間のちいさなものなどはまだよくわからない種類がたくさんあり、草むらで網を草をなでるように振る(スウィーピングと呼びます)と、ちいさなハチのたくさんいることいること。そのために、ハチのうち人を刺すようなものは2%よりももっと割合が低いのではないかと思っております。
また、「アブハチ取らず」というように並べて呼ばれたりするアブも、そのほとんどは刺しません。

どうも、虫(昆虫だけでなく)というと、わけも無く嫌いな方がたいへんに多くおり、彼らを殺傷するのにいろいろな手段を講じており、年々様々な殺虫剤の開発される様子は鬼気迫る狂気じみた様子であると思っておりました。
カミキリムシやクワガタ、シロアリなどがいないと森の木々はいつまでも分解されず、毛や鳥の羽根を食べるカツオブシムシやシバンムシがいないと、動物の毛はいつまでも分解されずに残ってしまうことでしょう。あるいは、アブやハエやハチなども植物の受粉と深い関係にあるので彼らがいないとたくさんの木々や草が実ることがないことでしょう。
人類などは居なくなっても地球上のほとんどの生き物は困ることはなく、いっそすっきり安心して過ごすことでしょうけれど、虫たちがいないと人類などはとても生きていかれません。

虫の嫌いなかたに、いきなり、虫に敬意を払いなさいな、というのは無理のあることですが、もうちょっとよく眺めてみると、怖いものは一部だし、たいへんに綺麗好きなものが多いし、彼らの多様な暮らしぶりにだんだんと楽しくなってくるのではあるまいかと思っております。
嫌いなものが多いより、好きなものが多いほうがずいぶんと日々の楽しいことであるのはまず間違いのないことでありましょう。