暦の上では三連休というような週末だそうですが、昨日今日と、あれこれ仕事の用事、地域のお祭りなどの用向きが入り、その合間をぬって田んぼで作業、と。すこしせわしない数日間です。

さて、ミヤマキタアザミです。
キク科のトウヒレンの仲間の花のひとつで、図鑑の記載を要約すると「多年草で草丈50~70cm、花床に剛毛があり、花は密に散房状に2~8個つき、総苞外片は細長くて反り返り、背に白い毛がある。花は8月。分布域は山形」とあります。飯豊、朝日、月山、吾妻に分布するようです。
山の草とか花とか虫とか-ミヤマキタアザミ

三角形の葉。
山の草とか花とか虫とか-ミヤマキタアザミの葉

今回は特別に許可を得て標本や分析のために採集もしておりました。(ただし、氏名まで申請しての許可で、専門家さんのみ可でした。国立公園なのと生態系特別保護地域ですから相当に厳しい規制がかかっている山域なのです)
登山道を離れて立ち入るのも、専門家さん以外は控えて登山道沿いの株を観察しました。
写真は、専門家の方の調査の様子。
山の草とか花とか虫とか-調査の様子

ミヤマキタアザミはあるところにはたくさんあるのに、無いところにはまったく無い、という生え方でした。ここはササのエリア、ちょっとした距離なのにこちらにはまったく無い、と。
山の草とか花とか虫とか-ササの野原

専門家の方の調査も見ていたかったところですが、そのほかの方は小屋へ向かい、そちらについていてくださいねとのことなので追いかけます。
西朝日から竜門への道は、このようにハイマツやガンコウランにイワウメ、ツガザクラなどちいさな木、スゲなどの草原と岩の間を細く続いています。このあたりは普段とにかく風が強いんですね。この日は雨は降りましたが、驚くほどに無風に近かったです。
山の草とか花とか虫とか-西朝日を下り竜門へ

竜門山を目指す一行。
この稜線部は、一年に何人が通っているのでしょう。
道自体は一枚上の写真を見ていただいたとおりはっきりしているのですが、踏み跡は最小限というような様子です。
このあたりは風衝地(風のあたるところ)ですから、もしもっと多くの登山者があれば踏み跡で道も掘られ、植生もより広く失われるのかもしれません。
飯豊と朝日は原始のままの姿を残す山域だと評されますが、それが残ったのは人口集中している都市部からのアクセスの良くないこと、リフトや標高の高いところまではクルマが入れないこと、つまりちょっと観光に行きましょう、という感じに登る山でないことが要因だろうと思っております。
山の草とか花とか虫とか-竜門山を目指す
素晴らしい山なのは間違いないので、多くの方に来ていただきたいなあという気持ちと、あまりに人が多く入ると山の植生なども失われたりする、という両方の気持ちがあります。

道沿いのヒナウスユキソウの株の多いところ。
6月下旬ころにはそれこそたくさんのヒナウスユキソウが咲いたことでしょう。
山の草とか花とか虫とか-ヒナウスユキソウの株

竜門に近くなってから振り返ります。
山の草とか花とか虫とか-ガスの登山道

このあと、竜門の小屋に着いて17時近くとなっていました。
小屋に入ってからは、夕食を済まし、遠くからいらしたみなさんは思いのほか早くに眠りにつきました。ちょっとお疲れのようでした。

こないだまでK2(世界二位の高峰ですね)に登られていたおとなりの山岳会の方からパキスタンのおみやげの面白い実(いえ、タネですね)をいただきました。
「なんだと思う?」というので、「え?モモの実に見えますが」という具合でした。
山の草とか花とか虫とか-アーモンドの殻付き

現地の方は、歯で割るんだそうですが、日本人にはどうやら無理なようでプライヤを借りて割りました。
見覚えのある中身が出てきました。あ、これはアーモンドですね。
殻のついたままのアーモンドは初めて食べましたが、剥いて売ってあるものよりも香りが一段とよいように思いました。パキスタンの山で待機中に一日中これを割っては食べ、しながら時間を過ごしたそうです。
山の草とか花とか虫とか-アーモンド

ろうそくで過ごす小屋の夜。
左の方は小屋番さん、奥の方がこないだまでパキスタンに居た方。
山の草とか花とか虫とか-小屋の夜

最初に灯したろうそくは元々短かったのですぐに燃え終わり、長いものに替えました。
山の草とか花とか虫とか-ろうそく立て15年もの

なんだか変わったろうそく立てと思ったら、ろうそく立てではなく、一番下は空き缶、そこにろうそくを立てては燃えたら次のろうそく、というのを繰り返して15年でこれくらいの大きさになったそうです。歴史ですな、この小屋の歴史でありますな。
山の草とか花とか虫とか-ろうの様子

このあと、小屋番さんの袋入り即席ラーメンの美味しい作り方のおはなしがあり、実際にその方法で煮たものをいただきました。
袋に書いてある説明書きとちょっとだけ違う方法なんですが、小屋番さんの言うとおりにするとワンランク上の美味しさになるなあと(山で食べたから美味しいということもあるかもしれませんが)思いました。
でも、その方法はここでは秘密です。竜門小屋に行って、運よくその小屋番さん(ほかの方も交代で入っていたりしますから)にお会いできたら聞いてみてください。

翌日も雨は続き、そのなかを下山します。
小屋番さんと鐘に別れを告げて西朝日へ向かいます。
山の草とか花とか虫とか-鐘

大朝日小屋近くのハイマツ。
一昨年に、ハバチの幼虫がいたところですが今年はまだ見当たりません。
ここに来るまでにずっと見てはきたんですが、見つけることができませんでした。
季節的にはもうちょっと後が大きくなっているころなので、紅葉のころにまた探してみたいなと思います。
山の草とか花とか虫とか-ハイマツ

ここが一昨年に作業したところ。
実はこの山に行った日は、飯豊のほうで保全作業が行われておりました。
朝日のほうへたくさん集まって頂いたので、飯豊のお手伝いに行きたいという気持ちも強くあったものの、先に入った日程がこちらだったものですから・・・。
ところで、石組み、きちんと残って効いているようです。
山の草とか花とか虫とか-一昨年の保全作業の場所

登山道は中岳をトラバースして進みます。
中岳山頂近くで雨が落ちてきました。みんなでレインウェアを着込みます。
風はこれ以上ないくらいに穏やかな日でありましたから、雨だけならあまり悪天候というまででもないようでした。

中岳をひとつ過ぎたちいさなピークのあたり。
遠くからお越しのみなさんは、ちょっと疲れてもきたようです。
口数は少なくなり、黙々と歩いておられました。
山の草とか花とか虫とか-中岳を過ぎたあたり

でも時折山肌が遠くまで見える瞬間もありました。
うわあ、良い景色ですねえ。と。
今回は全国各地からいらっしゃっておりますが、東北の山は高いというよりでかい、というようなことを言っておりました。
山の草とか花とか虫とか-東側の斜面

晴れていれば西朝日は目前に見えるだろうところ。
1712ピークの東側斜面のあたり。
山の草とか花とか虫とか-1712ピーク付近

黙々と歩き、行く道はガスがもくもくとしております。
山の草とか花とか虫とか-もくもく、西朝日の南

西朝日のすぐ南側の鞍部が見えました。
あのあたりも登山道からの砂の流出と水流で掘られたところがあります。
山の草とか花とか虫とか-西朝日近くの鞍部

ここですね、ここも以前に保全作業でちいさくダムをこしらえたはずです。何年前のことだったでしょう。
山の草とか花とか虫とか-掘れているところ

上の写真の北側の登山道の様子。
ここは深く掘られてしまっています。ここもなんとか手を打たないといけないのでないかという感じがしますが、どうしてよいのかわかりません。(ここはうちの山岳会でなく、おとなりの山岳会の管理のエリアですし)
白い砂は花崗岩の風化して砕けたマサ(真砂?)と呼ぶ粒の大きなものです。
山の草とか花とか虫とか-西朝日近くのガリー侵食

マサは風下の草原に登っていくような感じに積もっておりました。
風で運ばれるのでしょうか。
山の草とか花とか虫とか-まさ 風下へ

もうそろそろで西朝日というところに着くと、ようやくおめあての草がありました。
山の草とか花とか虫とか-おめあてのミヤマキタアザミ

この草は、ミヤマキタアザミという草だそうです。
アザミという名前ですが、アザミではなくトウヒレンの仲間であり、朝日連峰が基準産地(タイプ標本と言ったりもしますね)になっているそうです。
今回いらした東京の大きな博物館の先生の観察の目的は、このミヤマキタアザミとトリカブトの仲間(その先生は最近にガッサントリカブトというのを新種として提案されたそうです。※写真の人は、その先生ではなく同行の方です。)でありました。
とにかくお目当ての草があって、ひとまずの目的は果たせそうであります。

このあと、竜門の小屋を目指します。
小朝日岳から下る途中に教えてもらったナンゴクミネカエデ。
カエデの図鑑を持ってはいるので、名前は聞いていましたが、ここにあるとは思っていませんでした。(そうかなあと思ってはいましたが、なにせ名前が南国なんて付くものだから)
葉の先のひょろっと伸びた部分が長いのが特徴だそうです。
山の草とか花とか虫とか-ナンゴクミネカエデ

熊越え付近まで降りてのウゴアザミ。
これはこないだの月山の頂上付近にたくさんありました。ちょこっと雰囲気が違っておりますかね。細かく観察すれば、月山のものとはきっと違いがあるのでしょう。
山の草とか花とか虫とか-ウゴアザミ

ガスは濃くなったり、少し晴れたりしながら経過しております。
ガスの向こうにちらりと見える木々も趣がございます。
山の草とか花とか虫とか-熊越え付近のガスの中の木々

熊越えから少し進んで平坦なところに出ると、三角点がありました。
あれれ?こんなところに三角点があったかしらん?と思いましたが、地形図を見るとたしかに1591mと独標があるようです。
山の草とか花とか虫とか-三角点

このあたりでみそパンを・・・。
山の草とか花とか虫とか-みそパン

タカネヨモギ。
なんとなくアスパラガスっぽいですね。
山の草とか花とか虫とか-タカネヨモギ

セリの仲間のウイキョウかなにかかしらん?とこれまで通り過ぎていた草ですが、この日は花が見えたので見てみるとキク科の花のつくりでした。足場がよろしくない箇所で、これよりは近くに行かれませんでした。
山の草とか花とか虫とか-タカネヨモギの穂

銀玉水でも休憩し、そこから登っていきます。
振り返ると小朝日岳までが見えていました。
山の草とか花とか虫とか-銀玉水を登り振り返る

銀玉水を登りながらもいろんな草を教えてもらったり、確認したりしておりました。
銀玉水から登って、大朝日岳から続くゆるやかな勾配の尾根に到着する寸前は、岩がごろごろして傾斜が急です。
山の草とか花とか虫とか-銀玉水からの登り

奥の院の北側のあたりの岩。地衣類が無彩色の岩肌に彩を添えております。
山の草とか花とか虫とか-岩に色合い

ここまで来ると小屋は目前になります。
一行は進みますが、ぼくは奥の院に手を合わせないと気がすまないのでなむなむと。
山の草とか花とか虫とか-奥の院

小屋の手前のタカネナナカマド。木の背丈はちいさいのに実が大きいのが特徴的です。
う~ん、赤いですな。(カメラの設定で赤くなりすぎました)
山の草とか花とか虫とか-タカネナナカマド

小屋、見えないなあと思いながら進むと、ガスのなかからぽつんと現れた大朝日岳の避難小屋。
山の草とか花とか虫とか-大朝日小屋

ここでもう13時20分ほどになっていました。
古寺鉱泉を発ったのが5時30分ほどでしたからもうちょっとで8時間というペースでした。
今回は植物の観察も目的ですからじっくり見たり、解説してもらったりしている間に時間も過ぎるわけですね。

ここから、中岳、西朝日、竜門と三つの山を越えて竜門小屋を目指します。