憂愁 | 卍老人残日録

卍老人残日録

-真剣道継承未完- 

おれたちがどこで出逢うとしても

それは おれのさだめであって

君の知るところではない

とりわけ自由という

カニスが好きな色の服は

ある日は橙だった

 

人が集まれば その数だけ

自由も権利も投げつけ合うもので

服とはそんな世情に属する

 

梅雨の湿った日に

頭からシリコンをひっかぶり

足先まで固めたような

うしろめたさを

旗のせいにして

重心をさらにもちあげようとしている

古い時代の傾きは必要だったのか

 

ぬすっとたちの耳から

百年も漏れているタバコの煙さながら

どれも同じ手抜かりに

悔いが悔いを反復し

希望が希望を上書きする

どうどう巡りのあげく

やっともぐりこんだ薄い寝床に

おもいもかけない

夜明けが来るその朝

君たちのけじめは

どうつけるのだ

 

たしかに それらは

バカげた発案により

継続された

汚泥のような恥だが

あの人たちの思惑で

簡単にはすまない

人は言われたようにするがいい

ただ 誰が命令し

何のためにと

訊く必要はあるだろう

 

 

 

 

夏至過ぎて

昼なお昏き

陋屋に

蒼き川音や

なすこともなし