成熟を経て下降衰退にいたるのは世のつね
今日は西条武衛會稽古日
センスの良い初心者と稽古に及ぶのは実にオモシロイ
窓外驟雨、山も見えない
線香を立ておとなしくしている
石原吉郎詩集にはまって数時間
以下引用
前段略
その男が不意にはじまるとき
さらにはじまる
もうひとりの男がおり
いっせいによみがえる男たちの
血なまぐさい系列の果てで
棒紅のように
やさしく立つ塔がある
おれの耳穴はうたがうがいい
虚妄の耳鳴りのそのむこうで
それでも やさしく
立ちつづける塔を
いまでも しっかりと
信じているのは
おれが忘れてきた
その男なのだ
石原吉郎 サンチョパンサの帰郷
「耳鳴りのうた」一部抜粋
引用終わり
稽古に向かうには自分のすべてを整えて待つ
伝道の「不可能性」のうちに自らを据え
「失語」の我が示しうる一つの意思
いかなる才能も習作の必要に目覚め
彼なる昧爽に自ら親しむことを願う
ああ私は鈍なるかな、そのものの表現のうちに
我に出会えるだろうか