勝手に論愚選 【朝日俳壇2024.06.23】 | 論愚阿来無の欠伸日誌(ろんぐあらいぶのあくびにっし)

論愚阿来無の欠伸日誌(ろんぐあらいぶのあくびにっし)

「小人閑居して不善を為す」日々大欠伸をしながら、暇を持て余している。どんな「不善」ができるのか、どんな「不善」を思いつくのか、少し楽しみでもある。

 アラコキ(アラウンド古稀)世代が、何に夢中になり、どんなことに違和感を覚えるのかを徒然に綴っていきたい。

勝手に論愚選
【朝日俳壇2024.06.23】
[高山 れおな 選]
豹柄は変へずに伯母の更衣 (川口市 知念 哲夫)
海霧(じり)深し幽霊船はまだ出ぬか (八代市 山下 しげ人)
山手線てふ蛇や蛇ゐて停まり (大船渡市 桃心地)
水中花ブランデーグラスに咲けり (福山市 長谷川 瞳)
けふからの『いつもの奴』は冷奴 (大阪市 上西 左大信)
父の日や背負われて見し子象の眼 (甲府市 辻󠄀 基倫子)
麦秋や離農の人に貰ふ鍬 (岐阜市 三好 政子)

[小林 貴子 選]
ナイターは中止電車は不通なり (朝倉市 深町 明)
ハンモック捩(ねじ)れて捕獲されしごと (東京都板橋区 竹内 宗一郎)
太陽のポイント貯まるトマトかな (横浜市 山田 知明)
そのポストじや入選しないぜ入道雲 (東京都大田区 吉田 かずや)
蟻地獄安息角のありにけり (玉野市 勝村 博)
裸足にて二足歩行を思い知る (新庄市 三浦 大三)
田植機のエンジン始動鬨の声 (嘉麻市 松井 春光)
喉とほる時にめろんと音すなり (垂水市 瀬角 龍平)

[長谷川 櫂 選]
死を願ふ白寿の母や百日紅 (近江八幡市 赤松 ひろみ)
托鉢の一行跣また跣 (富士市 村松 敦視)
経国も済民もなし五月雨 (阿賀野市 波多野 雄三)
これよりは秀衡の国大夏野 (高松市 信里 由美子)
棺桶を背負つて何処へ蝸牛 (筑紫野市 二宮 正博)

[大串 章 選]
廃屋の秘むる光陰蔦茂る (玉野市 勝村 博)
七変化七つの心合わせ持ち (岡崎市 加藤 幸男)
〔評〕「七つの心合わせ持ち」が言い得て妙。七変化は白・青・紫~と咲き継ぐ。
秘境めく山霧秘密めく湯宿 (鎌倉市 小椋 昭夫)
深淵を見てゐる思ひ濃紫陽花 (北名古屋市 月城 龍二)
夏燕万葉集の空を翔け (川口市 青柳 悠)
風鈴の舌換へられし音色かな (下田市 森本 幸平)